木造3階建てアパートでコストと収益のバランスを確保!メリット・デメリットも
近年、木造3階建てアパートが増えてきました。
都市部に多い準防火地域で禁止されていた木造3階建てアパートが、1999年の建築基準法の改正により建てられるようになりました。その結果、利便性の高い都市部でも木造3階建てアパートが多く建築されており、その見た目の良さや需要の高まりから、オーナーや個人投資家の間でも注目される物件の一つとなっています。
今回の記事では、アパート経営を検討している方のために、木造3階建てアパートの収益性やコストなど、メリット・デメリットについて分かりやすくご紹介します。
木造3階建てアパートの特徴とは?
3階建てアパートは、構造設計自体が2階建てアパートと異なります。では、具体的にどのように違うかみてみましょう。
構造設計が義務付けられている
通常の木造2階建てアパートの場合、延べ床面積が500平方メートル以下であることや高さ13メートル以下であるといった条件を満たせば、構造計算の審査を省略できるのが特徴です。これを建築基準法第6条第1項第4号による「4号建築物」と呼び、4号特例として審査が免除されています。
そのため、この4号特例に該当する2階建て木造アパートを建築する場合、コストを抑えるために構造計算を省略するケースが多くなります。
一方、木造3階建てアパートの場合、構造計算が必要になるので、木造2階建てアパートとは異なり、すべての建物において耐震性などの安心感が強みとなっています。
耐火性能が求められる
木造3階建てアパートを建築するためには、主要構造部を1時間準耐火構造とする必要があります。
具体的には、外壁や間仕切壁の耐力壁、柱や床、そして梁などは火災において1時間は耐えられるようにしなければなりません。ほかに屋根や階段は30分間損傷せずに耐えるようにするなど、細かく指定されています。
このため、木造3階建てアパートの建築コストは、2階建てアパートよりもかかりますが、居住者からみれば安心できます。そして、この安心感は入居者の集客力にもつながります。
遮音性・防音性は木造2階建てアパートと変わらない
耐震性や耐火性においては木造2階建てアパートよりも高い性能となる木造3階建てアパートですが、遮音性に関してはさほど変わりません。
木造アパートは鉄筋コンクリート造よりも遮音性が低いことから、生活音に関するトラブルが少なくありません。この点においては木造3階建てアパートも、2階建てアパートと基本的に大きな違いはないと考えてよいでしょう。
木造アパートでも入居率や定着率を高めるためには、遮音性を高めることもポイントの一つなので、建築コストと収益性を考慮して工夫を凝らす必要もあるでしょう。
木造3階建てアパートの4つのメリット
それでは、木造3階建てアパートを経営するメリットを見ていきます。
狭い土地を有効活用できる
木造3階建てアパートを建設すると、同じ土地でも木造2階建てアパートより収益性を高めることが可能です。都市部に多い防火地域及び準防火地域で、条件さえ満たせば木造3階建てアパートを建築できるようになりました。これは地価の高い都市部における狭い土地の有効活用につながると考えられます。
狭い土地の場合、2階建てアパートでは部屋数をあまり確保することができません。しかし3階建ての鉄筋コンクリートとなると建築コストがかかります。その点、木造であれば鉄筋コンクリートほどの建築費はかからず、部屋数も確保できるので、狭い土地を有効活用することができます。
入居率と収益性が高まる
木造3階建てアパートにすると部屋数が増えて家賃収入が増えるだけでなく、入居率が高まることもあります。
例えば、集合住宅を借りる際に、防犯面などの理由で1階を避ける人は少なくありません。2階建てアパートの場合、1階部分と2階部分の2択となるため、集客力の低下につながることがあります。
しかし、3階建てアパートでは、これまで1階を避けていた人にとって、「3階の部屋を選ぶ」という選択肢が増えることになるため、入居率の向上にもつながります。
また、集合住宅は階数が上がるほど家賃単価も高くなる傾向があります。3階部分の部屋ができることで、家賃も高めることができるので、収益性の向上にもつながります。
耐震性・耐火性が高い
木造3階建てアパートは木造2階建てアパートよりも、地震や火災に対する対応性が高いのもメリットと言えます。これは入居者へのアピールにつながるため、入居率の向上につながるでしょう。
2階建てアパートと異なり、3階建てアパートを建築するためには、耐震性と耐火性の審査を通らなければなりません。特に「防火地域」で建築するとなれば、さらに高い耐火性能を求められます。
これは建築費の増加にもつながりますが、住むために必要な安心感を担保に賃料単価を上げることによって収益性を確保することも可能です。
高級感がある
3階建て木造アパートは耐震性や耐火性を確保するため、2階建て木造アパートよりも重厚感のある建材を使用します。そのため、高級感が得られるのもメリットにつながります。
また3階という高さが建物の規模を大きく見せるため、他の2階建て木造アパートと差別化することができます。これも入居希望者に好印象を与えることから、入居率の向上につながります。
木造3階建てアパートの3つのデメリット
続いて木造3階建てアパートのデメリットを見ていきます。
建築コストが高くなる
木造3階建てアパートは木造2階建てアパートよりも、坪単価の建築コストが高めになります。同じ3階建てを建築する場合、鉄筋コンクリートと比べれば建築費用は少なく済みますが、建物強度を確認するための「構造計算」が必要となるため、その分だけ設計における経費がかかり、コストが高くなります。
さらに木造3階建てアパートには耐火性能も求められるため、外壁や屋根などで火災に対する耐久性が高い素材を使わなければなりません。その分だけ建築コストが増えるというわけです。
また、木造アパートはローンの借入期間が短いので、建築費がかかると毎月の返済額も増えてしまいます。ローンは家賃収入で返済しますが、空室が想定より多く発生すれば、持ち出しとなる可能性もあります。
2階部分は上下階に挟まれるため、音の問題が生じやすい
木造アパートは、鉄筋造と比べて生活音などの問題が発生しやすくなります。これは2階建ても3階建ても変わりません。
特に3階建てアパートの2階の入居者は、上階からの生活音と下階からのクレームの両方に悩まされる場合があります。その結果、定着率が下がり、空室率が高まる可能性もあります。
そのためオーナーとしては、居住者に対して生活に関する注意喚起を行うか、あるいは設計の段階で遮音性を高める対策が必要になります。
ローンの借入期間が短くなる
3階建ての賃貸住宅を建設するには、木造アパートのほかに鉄骨造と鉄筋コンクリート造などの選択肢があります。木造3階建てアパートの場合、建物の耐用年数が22年と短いためにローンの借入期間も短くなります。
多くの銀行では、アパートローンの借入期間を最長でも耐用年数以内の22年としています。これが鉄骨の場合、耐用年数は最長34年、鉄筋(鉄骨)造なら47年となるので、借入期間もその分長くなります。
ただし、建築費の増加につながりますが、住宅性能評価の劣化対策等級2や3を取得することにより、木造アパートでも借入期間を30年や35年などの長期にすることができます。
一方で木造アパートは減価償却も22年と短いため、節税効果が高くなるというメリットもあります。
まとめ
木造3階建てアパートは、特に土地が狭い都市部において収益性を高めることができます。一方で木造2階建てアパートでは義務化されていない構造計算が必要になるなど、コスト面における課題もあります。ただし、このような費用面のデメリットは、集客力や入居率の安定にもつながることがわかります。
木造3階建てアパートの経営を検討する際は、このようなメリット・デメリットがあることをしっかり踏まえて、慎重に判断することが大切です。
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