Media
メディア

不動産投資における「テナント物件」「居住用物件」メリット・デメリット

テナント物件 メリット デメリット

不動産投資といえばワンルームマンションに代表される居住用物件が一般的ですが、店舗や事務所といったテナント向けの物件も人気です。テナント物件は利回りが高めなほか、預かった保証金を償却できるなど、居住用物件にはない魅力もあるため、個人投資家からも注目されています。

今回の記事では、テナント物件と居住用物件のメリット・デメリットについて、特徴を比較しながら解説します。不動産投資を始めようかと考えている方、テナント物件について詳しく知りたいという方は、本記事をご活用ください。

 

テナント物件の特徴

テナント物件とは店舗や事務所などが入居する物件のことです。テナント物件の主な種類には、ビルや商業施設、路面店が入る建物や大通り沿いのロードサイド物件などがあります。まずはテナント物件の特徴を詳しく見ていきましょう。

 

①居住用物件より利回りが高め

②預かった保証金を償却できる

③原状回復の手間と費用がかからない

④空室期間が長くなるリスクが高い

⑤景気の影響による賃料の変動が大きい

 

メリット①居住用物件より利回りが高め

テナント物件の最大のメリットは、居住用物件に対して「利回りが高い」ことです。テナントは、居住することを主な使用目的とするわけではなく、収益を生み出す経済活動を行うことなので、収益を含めた家賃設定ができ、高利回りにつながります。

 

メリット②預かった保証金を償却できる

店舗や事務所として貸し出すテナント物件では、敷金に相当する「保証金」が多いのも大きな特徴です。テナント物件が契約時に支払う保証金は、物件によって家賃の何カ月となるのか異なりますが、人気の高い物件となれば、10カ月分以上に設定できるケースもあります。

このようにテナント物件の保証金が高いのは、家賃を支払えるかどうかがテナントの経営状況に左右されるのも一因です。万が一、家賃の滞納があれば、保証金から支払うことになります。また退去時における原状回復工事ができない場合にも、保証金を充当するので高めに設定することが必要です。

また、居住用物件の場合は敷金を償却することはできませんが、テナント物件の保証金は、物件によって年間何パーセント償却という形で差し引くことがあるので、滞納がなければそのまますべて返金する必要はありません。あるいは、解約時に何カ月分を差し引くと契約書に記載する場合もあるので、オーナーの収入とすることができます。

 

メリット③原状回復の手間と費用がかからない

テナント退去後の原状回復工事はオーナー負担にならない点も、テナント物件の利点です。

居住用物件の場合、賃借人が退去したあとの清掃費用は敷金から充当します。しかし経年劣化と判断されるクロスの張り替えや、キッチンやバスタブなどの交換費用はオーナーが負担することになります。

一方、テナント物件の場合、基本的には室内をスケルトン状態で貸します。内装や設備はテナントの負担で工事して、退去時にもテナント負担で元のスケルトン状態に戻します。そのため、内装や設備の入れ替えなどの費用で収益性が損なわれることがありません。

 

デメリット①空室期間が長くなりやすい

テナント物件でテナントが退去し空室となる理由はいくつかあります。その1つが「業績不振」のため家賃が支払えないケースです。業績不振となる原因はいろいろとありますが、テナント物件の立地などによっては、集客しやすい業種と集客が難しい業種に分かれます。

そのため、立地や物件にマッチした業種のテナントが見つからなければ、空室期間が長引く可能性があります。また近隣に同業者が多い激戦区となれば、テナントが入りづらいケースも少なくありません。1テナントに物件を貸し出していた場合は、空室の期間は収入がゼロになってしまうため、融資の返済などにも注意が必要です。

 

デメリット②景気の影響による賃料の変動が大きい

入居するテナントは景気の動向によって業績が左右されます。そして景気後退による業績不振に陥ると、多くの場合、賃料の値下げ交渉をしてくるか、家賃の安い物件への引っ越しを検討します。

オーナーとしては空室を避けるため、家賃の値下げ交渉に仕方なく応じるケースも少なくありません。そのため、住宅用物件よりもテナント物件は賃料の変動が大きいのがデメリットとなります。

 

デメリット③立地が良くても空室や賃料の値下げが起こる場合もある

テナントの場合、どんなに立地が良くても業種・業態やテナント経営者の資質などにより、事業の撤退や業績不振が起こります。そのため、空室の発生や賃料の値下げ依頼が起こる場合があります。

 

居住用物件の特徴

続いて、居住用物件の特徴とメリットとデメリットを確認してみます。

 

①分散投資しやすい

②融資を受けやすい

③収益性はテナントより低い

④競合が多い

 

メリット①分散投資しやすい

賃貸物件の運用には空室リスクがつきものです。これはテナント物件も居住用物件も変わりません。そのため、不動産投資はリスク分散が大切なポイントになり、居住用物件は分散投資をしやすいのがメリットと言えます。

テナント物件はある程度の広さが必要となるため、初期費用や借入金が多くなります。そのため、複数の物件を所有するのは資金的に難しい場合もあります。一方で居住用物件の場合、中古のワンルームマンションのように数百万円あれば購入できる物件もあります。運用が始まれば、追加でワンルームマンションの買い増しをすることもでき、物件数が増えれば空室リスクの分散も図りやすくなります。

また、1テナントの場合は空室が発生すると収入がゼロになってしまいますが、1棟アパートやマンションは複数の住戸があり、一度に全戸退去が発生しない限り収入がゼロにはならないので、分散投資と同じ効果があります。

 

メリット②融資を受けやすい

高額な不動産を購入するためには、銀行からの融資は不可欠です。そして居住用物件は融資を受けやすいのがメリットとなります。

ただし、不動産投資向けの融資は厳しくなりつつある状況に注意も必要です。特に2018年のスルガ銀行による不正融資問題以降は、投資物件への貸し付けが厳しくなっています。そのため個人の属性を高めることも必要になるでしょう。

とはいえ、居住用物件はテナント物件よりも融資を受けやすいと言えます。これは審査対象となる物件の収益性が、テナント物件よりも居住用物件のほうが安定していると評価されるからです。

一方のテナント物件は立地によって賃貸需要も大きく制限されます。そのため、空室が長期化しやすく、ローンの返済にも影響を及ぼすため、金融機関による審査も厳しくなります。また、テナントの与信力が低いと融資が厳しくなる場合もあります。

 

デメリット①収益性はテナントより低い

テナント物件と比べて居住用物件は利回りが低めです。また築年数の経過により家賃も下がる傾向があります。

そのため、居住用物件を運用する際は、どのようにして利益を確保するのか計画を立てることが大切です。たとえば節税効果を受けつつ短期間での売却により利益を確保するのか、あるいは長期的に収益が得られる物件を探して保有を続けるのかといった計画を立てることがポイントになります。

 

デメリット②競合が多い

テナント物件は収益を見込める立地が少ないので、競合が少ない傾向があります。一方の居住用物件は立地にもよりますが、競合となる物件が多い点がデメリットになる場合もあります。

特に、周囲に新築物件が建つ場合などは、賃借人の募集や高い家賃設定が難しくなります。そこで家賃を下げるなどの対応が必要となり、結果として利回りの低下による収益の減少を余儀なくされる可能性があります。

 

不動産投資の物件選びで注目すべき4つの条件と優先順位

 

テナント物件は初心者にお勧めできない

テナント物件と居住用物件にはそれぞれ異なるメリットとデメリットがあります。では、不動産投資の初心者にテナント物件は向いているのでしょうか。答えは「いいえ、向いていない」です。詳しく見ていきましょう。

 

テナント物件は案件によって利回りが大きく異なる

居住用物件は同じエリア・立地環境であれば、築年数にもよりますが利回りは大きく変わりません。

一方、テナント物件の場合、少し場所が変わるだけで利回りはかなり変わるため、物件探しも簡単ではありません。例えば、一般的には奥に入り込んだお店よりも路面に面した店舗のほうが集客性は高いと考えられていますが、業種によっては路地裏の隠れた名店などという付加価値が加わるケースも少なくないため、一概には判断できません。

集客性の違いは売上げに直結するので、業績に大きな影響を与えます。その結果、入居するテナントによって業績に違いが生じ、利回りも大きく変動することになります。つまり、居住用と比べ、ハイリスク・ハイリターンと言えます。

また、テナント物件の立地によって売上げを出しやすい業種が異なり、業種によってテナント需要も異なります。集客が見込める好立地のテナント物件であっても、その需要が少ない業種であれば空室期間が長引くことも十分あります。

 

テナント募集のノウハウを持つ不動産屋が少ない

居住用物件の場合、集客のためのノウハウがある程度は確立されています。ワンルームマンションやアパート、戸建て等については、ほとんどの不動産屋にノウハウが蓄積されているので、賃借人をつけるのはそこまで難しくはありません。

一方、テナント物件を扱う不動産屋は、居住用と比べて少ないため、集客のためのノウハウを持っていないケースもあります。テナントをつけられる仲介業者を探すのに苦労するという意味でも、不動産投資の初心者にはテナント物件はお勧めできません。

 

不動産投資は1棟目の物件選びが重要な理由

 

まとめ

一般的に不動産投資の対象となる居住用物件に比べて、テナント物件は初心者には敷居が高いのが特徴です。そのかわりノウハウさえ確立できれば、高い利回りが期待できる魅力もあります。居住用物件での不動産投資に慣れた人や、店舗経営の経験のある方は、テナント物件を検討してみてはいかがでしょうか。

 

年収2000万以上の高額所得者が選ぶべき不動産投資物件とは?