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自己資金ゼロでも不動産投資の融資は受けられる?ローンの基礎知識も詳しく解説

 2022/07/27 ローンの組み方 この記事は約 14 分で読めます。 1,467 Views
不動産投資 融資

不動産投資の融資とは、アパートやマンションなどの不動産を取得する際に、その不動産を担保にして金融機関から融資を受け、家賃収入で返済していく方法です。

今回は、あなたが不動産投資をはじめる前に、知っておきたい融資の気になるポイントをまとめました。

不動産投資の融資と住宅ローンの違いとは?

ご自宅を所有されている方の中には、住宅ローンを借りる経験をされている方もいるでしょう。
しかし、不動産投資の融資は住宅ローンの基準とは主に次の2点が異なります。

 

1. 融資の審査・基準が厳しい
住宅ローンの場合は、ご自宅として暮らす「住まい」を購入するための融資になりますので、年収・勤続年数・勤務先与信などによる「個人の返済能力」が基本的な審査基準となります。

対して、不動産投資の融資は、アパートやマンションなどを購入し、賃貸経営を行うという「事業」に対する融資になります。
そのため、不動産投資の融資は、個人の返済能力に加えて、購入するアパート・マンションの事業性や採算性(家賃収入に対する返済比率、空室率、修繕等を考慮した事業計画)なども審査されます。

融資をする金融機関としては、サラリーマンのような一般的に収入が安定している方であれば、住宅ローンの返済が滞る可能性は低いと考えられています。
万が一返済が滞れば、ご自宅から出ていかなければならなくなるため、大抵の方は何があっても優先的に返済されるからです。
したがって、サラリーマンなど収入が安定している方であれば、住宅ローンは基本的に返済能力に応じた融資を受けることができるのです。

しかし、不動産投資の場合はアパート・マンションを事業として継続的に経営していくことになります。
家賃の下落、空室率の増加、修繕、金利上昇など、賃貸経営に関する様々なリスクが発生する可能性があります。

特に返済原資となる家賃収入は空室や家賃下落などにより変動するため、金融機関にとっては継続的かつ確実な借り入れ返済にリスクが伴うと考えられます。

よって、サラリーマンなどの安定収入である給与所得を基準とした返済能力での住宅ローンと比べ、不安定な要素のある家賃収入に対しての不動産投資の融資が厳しくなるのです。

 

2. 金利設定が高い
住宅ローンと比べ、不動産投資には事業リスクがあるため融資審査も厳しくなり、融資にリスクがある分、適用する金利水準が高くなります。

現在の金利水準では、住宅ローンは1%未満になるケースがありますが、不動産投資の融資は、あなたの属性にもよりますが、1%~3%代が一般的です。

 

不動産投資ローンと住宅ローンの順番を間違えるな!融資審査や金利を徹底比較

 

自己資金はどのくらい必要か?

物件購入の際は、物件価格の他に「業者への仲介手数料、登記費用、抵当権設定費、損害保険、固定資産税・都市計画税の精算金、契約印紙代、その他諸雑費」などの諸費用が必要となります。

これらの費用は一般的に融資対象外となるため、購入する物件価格の他に目安として7〜10%程度の自己資金を準備しておく必要があります。

更に、融資を受ける前に物件の売買契約を締結しますが、その際、一般的に未完成の物件は5%、完成物件の場合には10%相当以下の手付金が必要となります。

よって、一般的に物件価格の10%から30%くらいの自己資金は準備しておいた方が良いでしょう。

併せて、金融機関から融資を受けられるかどうかの視点ではなく、万一のリスクに対応できるだけの自己資金や余剰金を確保しておいた方が良いでしょう。

なぜなら、家賃が入らない空室時の返済原資、修繕費用などの資金を確保し、リスク対応に備えておく必要があるからです。
空室が発生すると、家賃収入がなくなるため借入返済が厳しくなります。
場合によっては、給与所得や貯金から返済していかなければならなくなり、生活設計に支障がでる可能性があります。
少なくとも、空室で家賃が入らなくても毎月の返済が大丈夫となるように、返済額の数カ月程度は余剰資金を確保しておくと安心です。

また、一時金が必要となり、不動産の購入時に投資した自己資金相当を回収しようとした場合に、物件の売却を考える可能性もあります。
もし、そのタイミングが不動産取引市場の価格が下がっている時期で売却しようとすると、借入残高よりも安い金額でしか売却できないことも想定されます。

つまり、売るに売れない状況で一時金が確保できないという事になるのです。
このような事態を防止するためにも、余裕のある資金計画で不動産投資を行っておかなければ、リスク対応ができません。
現在の預貯金の中から、無理のない範囲で自己資金の金額を考えておき、その金額内で融資を受けて取得できる不動産投資を行いましょう。

 

固定金利・変動金利、どちらの借入がよいか?

将来の金利上昇を見据え、低金利時代のうちに固定金利を選択する方が良いでしょう。

しかし、借り入れ当初は金利が低くても、固定金利期間終了時にはその時点での金利水準が適用されます。
固定金利期間中に余剰資金を貯めておき、固定金利期間終了時に繰り上げ返済するなど、金利上昇リスクに備えた資金計画を立てましょう。

ただし、固定金利期間中に借入元本の一部繰り上げ返済を行うと、違約金等の諸経費が必要となる場合があるので注意してください。

変動金利の場合、融資条件にもよりますが5年間は返済額が一定です。
実際には半年ごとに金利の見直しが行われますが、金利が上昇していても返済額は5年間一定となり、家賃収入から支出する返済額は変わらないのです。

5年目以降の返済額も、今までの返済額から25%の増加までとなっています。
同じ返済額の中で、利息と返済元金の割合が半年ごとの金利見直しで変動するため、借り入れ当初の金利が低く、金利が上昇しても返済額は変わらないのですが、ちっとも元金返済していないというような現象が起こります。
変動金利であっても返済額は一定のため資金計画は立てやすいのですが、なるべく早期に借入元金の繰り上げ返済を実行していく資金計画をお勧めします。

以上を踏まえて、融資申し込みの際には現在の固定・変動金利の水準を比較しながら、ご自身の返済計画にあった選択をすることが大切です。

 

金利が上昇したら返済額が増える?

将来的に金利上昇リスクも考えられ、当然金利が上昇すれば返済額にも影響します。
同時に家賃も上昇してくれれば良いのですが、上昇するにしても時間差があります。

よって、家賃の上昇は期待しない方が無難です。
固定金利を選択していても油断はできません。

なぜなら、固定金利期間が終了すると、その時点での金利が適用されるからです。
金利上昇リスクに備えるためには、低金利時代でも油断して収益を浪費してしまうのではなく、繰り上げ返済をするなど借入元本や返済額を計画的に低減する工夫が必要になります。

 

返済期間はどのくらいに設定すべきか?

借入期間については、可能な限り長期での期間を設定することをお勧めします。

たとえば、新築物件の場合は木造アパートでも劣化対策等級2以上であれば、30年・35年の融資が可能な金融機関もあります。
長ければ長いほど、月々の返済額が少なくなり、キャッシュフローは良くなります。

長期だと利息の払い総額は多くなりますが、時間のメリットを享受できます。
月々の返済額が少なくなれば手残りが多くなるため、家賃の下落や空室率等、万一のリスクにも対応しやすくなります。

余剰資金がたまったら、繰り上げ返済すれば良いのです。
繰り上げ返済も、月々の返済額を減らす方法、月々の返済額はそのままに返済期限を縮める方法があります。

 

現在、借入があっても融資をうけられるか?

特にマイホーム(持ち家)の方は、おそらく住宅ローンを利用されていると思いますが、資産背景と借入残高のバランスおよび返済能力にて総合的に判断されます。

ご本人以外の家族や両親も含め資産背景と借入残高のバランスを評価されるケースもあります。
つまり、世帯収入・資産背景において不動産投資をする「余力」があるか審査するのです。

その結果、資産全体の評価や価値よりも、借入残高の方が大きい「債務超過」の状態になっていなければ融資を受けられる可能性は十分あります。
よって、借入があるから不動産投資ができないという事ではありません。

ただし、借入先が消費者金融やカードローンなどを利用している場合には、仮に債務超過になっていなくても融資を受けることができない可能性があります。
消費者金融やカードローンに依存しなければ生活できないと判断されたり、所得が高くても「浪費家」として評価され、堅実な事業を行えないと判断されてしまう可能性があるからです。

 

どれくらいの年収があれば、融資が受けられるか?

一般的に年収500万円程度が基準と言われていますが、融資金額が少ないため取得できる物件が限られます。
例えば、中古アパートや区分所有マンションなどの物件価格が低いものを選びましょう。

年収が700万円、800万円以上になったら、新築アパートも視野に入れられます。
また、年収と合わせて貯金の額も重視されます。

ある程度の金融資産(貯金など)が確保できていることも必要です。
どんなに年収が高くても貯金が少ないと浪費家としてみなされてしまいます。

つまり、不動産投資による家賃収入も浪費し、空室発生や家賃下落の際には借入返済できない可能性があると判断され、融資してもらえないという事です。

前述の通り、不動産投資はリスクがあることから、住宅ローンと比べて審査・基準や条件が厳しいのです。
基本的な基準としては、現在の年収で生活できていることが前提で、年収が低い場合には生活設計のための不動産投資とみなされる場合があります。

生活費充当が目的のような不労所得目的での不動産投資には、基本的に融資のハードルが高くなります。
この場合、一般の金融機関では融資が難しいと考えておいた方が良いでしょう。
所得の少ない方は、不動産投資ではなく、別の形で収入を確保することを考えましょう。

 

年収が低くても融資は受けられるのか?

ご本人個人ではなく、ご家族・ご両親も含めた世帯収入で判断されます。

例えば、あなたのご実家が不動産事業を行っている資産家の方であれば、ご実家の方に保証人等になってもらうとか、ご主人の収入が多い場合には専業主婦でも融資を受けることは可能な場合があります。

 

フルローンは可能か?

物件の担保評価によっては可能です。
しかし、お金がないからフルローンという考え方は通用しません

余裕のある資金がないからフルローンで不動産投資をしたいという方には融資をしてもらえません。
「お金はあるけど、現在は低金利だからそのメリットを享受するためフルローンとしたい。」が正解です。

不動産投資は少ない資金で大きな物件を取得できることがメリットです。
しかし、借入は必ず返済しなければいけないものだという事を忘れずに、自己資金と融資額のバランスを考えましょう。

また、フルローンと言っても、実際には物件を取得する際には「仲介手数料、登記費用、抵当権設定費、損害保険、固定資産税・都市計画税の精算金、契約印紙代、その他諸雑費」などの諸経費が必要となります。
少なくともその費用として、概ね物件価格の7〜10%程度を目安として自己資金を準備しておく必要があります。

併せて、契約時に必要となる手付金も事前に自己資金で支払う必要がありますので、フルローンといえども、自己資金が一切なしで不動産投資ができるという事ではありません。

 

フルローンNGでも、自己資金が多ければ融資が受けられるか?

その通りです。
自己資金が多ければ融資を受けられるケースがあります。
なぜなら、金融機関への返済リスクが低減されるからです。

 

担保提供と融資額の関係は?

購入する物件担保が基本です。

購入予定物件の担保評価によっては、購入価格よりも担保評価が低い場合があります。
この場合、基本的には物件担保評価までが融資可能な額となりますが、追加担保を提供することで融資の金額を増やすことが可能な場合があります。

 

保証人は必要?

ご本人の属性や年齢などにより必要となる場合があります。
基本的には親・配偶者・ご子息などが求められる場合があります。

同じ物件で融資打診しても、金融機関により保証人が必要・不要が異なりますので、金利や返済期間などの融資条件も比べて選択しましょう。

保証人が求められるケースは、万が一の時に借入返済を保証してもらうだけではなく、あなた自身に相続が発生した時に、誰がこの物件を引き継ぐのか?を明確にするための意味合いが強いケースがあります。

 

元利均等返済と元金均等返済はどちらが良い?

元利均等返済とは、「元金+利息」の合計、つまり返済額が均等になる返済方法です。

元利均等返済イメージ

金利変動がなければ、返済期間中は返済額が一定となり資金計画が立てやすいのですが、利息の支払いは元金均等返済よりも多くなってしまいます。

元金均等返済とは、「元金」が均等になる返済方法です。

元金均等返済イメージ

初回の返済額が一番多く、元金返済が進むにつて利息の額も減っていくことから、年数経過ごとに返済額が少なくなります。

一般的に金融機関は元利均等返済になり、返済計画とキャッシュフローに合わせ、返済方法の選択をすれば良いのですが、悩んだときは元利均等返済をお勧めします。

利息の支払い総額が少ない元金均等返済の方が良いかと思われるかもしれませんが、不動産投資においては先々の返済計画が立てやすい元利均等返済の方が、安定経営しやすいからです。

家賃収入による繰り上げ返済を計画的に行い、支払利息の総額を減らしていけば良いのです。

 

一般的な融資限度額の目安は?

一般的に不動産投資における融資限度額の目安は、年収の5倍程度がベースと言われています。

年収が高ければ6倍以上、低ければ4倍以下など、ご自身の属性や購入する不動産の事業性を加味し、各金融機関の基準により審査・判断されます。

あくまでも一般的に言われていることなので、実際には個別に金融機関に融資打診する必要があります。

 

有利な条件で融資を引き出すテクニックはあるか?

融資を受けるためのテクニックや特殊な方法での銀行借入交渉はやめましょう。
正直に現状の情報を開示し、きちっとした事業計画により融資を打診すべきです。

なぜなら、後々真実が金融機関に伝わった場合、信用力という点で非常に大きなマイナスポイントになってしまうからです。
無理な方法で資金調達しても借りたお金は返さなければなりません。

金融機関は、基本的に貸付けしても間違いなく返済してもらえるか? で判断します。
万が一、無理に資金調達しても、ご自身では気づいていない本来負担できない範囲でのリスク対応を分担することになるかもしれません。

金融機関は、融資をすることもビジネスなので、基本的に問題ない融資はOKしてくれます。
ご自身の資産背景や属性、物件の事業計画をもとに、ある程度融資実行するためのアドバイスもいただけます。

王道なやり方で条件交渉することが一番です。

 

返済ができなくなった場合は?

万が一、融資の返済ができなくなってしまったら、自己破産や任意整理などの債務整理が必要となる可能性があります。
信用力がなくなりますから、新規の融資やクレジットカードなども使えなくなってしまいます。

よって、安易な不動産投資はせずに、余裕のある資金計画により不動産投資は行いましょう。

 

不動産投資の指標「イールドギャップ」とは|正しい活用方法を解説

 

まとめ

最近はサラリーマンに対する不動産投資の融資が厳しくなりました。
その理由は、不動産向け融資がバブル期を超える過去最高を記録しているからです。

相続対策などの目的でアパート・マンションも数多く建設されました。
金融緩和の影響もあり、「誰でも・いくらでも」融資を受けることが出来るような流れから、多くのサラリーマンも不動産投資を行いました。

少子高齢化に伴う空室問題に関連し、融資を受けた方々が返済不能になる事象を危惧しているため、不動産向け融資の基準や条件が厳しくなったのです。

しかし、言い換えれば「誰にでも・いくらでも」ではなく、あなた自身の与信と事業性を加味し、リスクの許容範囲を精査した融資限度額や条件になったと言えます。

つまり、最近の融資状況が異常であり、正しい融資の審査基準や評価の仕方に戻ったと言えます。

これから不動産投資をはじめようと考えている方は、この融資状況の推移を理解し、無理のない物件規模からはじめるようにして下さい。

 

不動産投資の最適な返済比率は50%以下!シミュレーションで徹底解説

 

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