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不動産小口化商品の「匿名組合型」「任意組合型」節税するならどっちが良い?

 2022/02/17 不動産小口化商品(不動産特定共同事業) この記事は約 8 分で読めます。 10,647 Views
不動産小口化商品 節税

不動産小口化商品とは、不動産特定共同事業法に基づく商品で、不動産投資信託(J-REIT)よりも実物の不動産投資に近い感覚の資産運用商品です。

つまり、不動産投資に近いため、商品選びのポイントは不動産投資の物件選びと同様な面が多くあります。

不動産小口化商品で相続対策をしたいと考えている方が増えている昨今ですが、不動産小口化商品には様々なタイプや仕組みがあり、それぞれに特徴があるため、資産運用・資産形成・節税対策など目的に応じた商品選びをすることが大切です。

今回は、代表的な「匿名組合型」と「任意組合型」それぞれの特徴と、不動産小口化商品で節税するためにはどうすれば良いのか、その具体的な仕組みや方法をご紹介します。

 

「不動産小口化商品とは何か」を知りたい方は、「15分でわかる!不動産小口化商品選びのチェックポイント」をご覧ください。

 

 

「匿名組合型」は短期で金融資産の運用をしたい方にお勧め

不動産小口化匿名組合型

【仕組み】

  1. 各投資家が事業者と匿名組合契約を結ぶ
  2. 投資家が組合に金銭を出資
  3. 事業者は、保有している不動産の管理・運営を行う
  4. 事業者は、運用で得た収益を投資家の方へ分配

 

「匿名組合型」とは、事業者が投資家と匿名組合契約を締結して出資を受けます。

事業者が取得した不動産を賃貸等によって運用し、その収益を出資割合に応じて投資家に分配します。不動産の所有権は事業者に帰属し、投資家は事業者から利益分配を受ける権利と出資金の返還請求を行う権利を取得します。

投資家は事業者との匿名組合契約に基づき出資します。不動産の所有権は事業者のままなので、登記費用の負担もありません。
投資家同士が契約関係になく、不動産に投資家の名前が登記されないため、匿名性があります。
出資金額の範囲内が投資家の責任となり、分配金は雑所得となります。

 

 【特徴】

不動産小口化商品として、現在もっとも多く販売されている仕組みが「匿名組合型」です。 長くても10年以内の商品が多く、短期で金融資産の運用を考えている方にはお勧めです。

 優良な物件への投資が少額(1万円~)から可能な商品も多く、様々な資産運用の観点からも分散投資先の一つとして利用しやすいと言えます。

 また、ほとんどの商品が優先劣後構造を採用しており、より元本の安全性が高められています。クラウドファンディングなどで募集されている商品の大半も「匿名組合型」の仕組みです。

 一方で、1棟所有する不動産投資と比較すると、安全性が高まる分、収益の分配率は低くなります。

 

不特法の図解

 

「任意組合型」は節税目的の方にお勧め

不動産小口化任意組合型

【仕組み】

  1. 投資家と事業者と任意組合契約を結ぶ
  2. 投資家は、不動産の共有持分を購入
  3. 投資家は、共有持分を任意組合に現物出資
  4. 事業者は、組合の代表として不動産の管理・運営を行う
  5. 事業者は、運用で得た収益を投資家の方へ分配

 

「任意組合型」とは、事業者が投資家と任意組合契約 を締結します。

投資家は共有持分(金額に応じた不動産の持分)を購入し、その購入した不動産の共有持分を組合に現物出資します。

組合運営を行う事業者が、投資家から出資された不動産を管理・運用し、そこから生まれた収益を投資家に分配します。現物出資をしていますが、共有持分を購入したのは投資家であり、不動産の所有権は投資家にあります。つまり、不動産の所有権は組合財産として共有となり、登記簿には投資家自身の名前が記載されます。そのため、匿名性はありません。

登記を2回することになる分、諸費用が必要となりますが、登記をすることにより所有権を第三者に対抗することができ、実物の不動産を所有していることと同じような投資とも言えます。

一方で、最近は「金銭出資」と呼ばれる任意組合型の商品が主流となりました。

組合の運営を行う事業者が不動産を取得し、投資家は任意組合契約に基づき金銭を出資し、金額に応じた共有持分の地位を取得します。現物出資との大きな違いは、対象不動産に対して登記を行わないため、登記費用はかかりません。

任意組合型の特徴として、現物出資および金銭出資もそれぞれ現物不動産を所有している事になるため、不動産の税制が活用できます。収益の分配金は不動産所得となり、売却時の利益は譲渡所となります。

 

【特徴】

「任意組合型」の商品は、不動産の所有権は投資家にあり、資産として物件を所有している形態に近い投資となります。運用期間も長期の商品が多く、物件を所有して不動産事業を行っている感覚に近いので、複数の物件に金融資産を分散投資できることもメリットです。不動産を所有していることと同じ特徴を活かし、最近では相続税や贈与税の節税対策商品として活用されています。

つまり、相続・贈与税対策として金融資産の評価圧縮効果を考えるならば、匿名組合型の商品ではなく、任意組合型の商品を選ばなければならないという事です。

 

 

出口にメリットのある商品も!

不動産小口化商品の中には、運用期間中の分配益のみならず、出口での分配益も期待できる商品があります。

運用期間開始から、ある一定期間経過後~運用期間満了時までの間に、市場価格を見て事業者が投資対象物件を売却します。その売却益を投資家に分配する商品、つまり、キャピタルゲインも狙える商品があるのです。

例えば、任意組合型は物件所有をしているのは投資家の方々のため、売却代金は共有持分に応じて投資家へ分配されます。一方で、価格が上昇しているタイミングで売却できれば、売却益のメリットを享受できるのですが、価格が下落したタイミングでの売却は、元本相当が目減りする可能性もあります。つまり、リスクもあるがリターンも期待できる商品と言えます。

匿名組合型は優先劣後構造により、ある一定まで価格が下落したとしても優先的に分配される仕組みです。つまり、元本の安全性を確保している商品が多いのですが、価格が上昇していても、メリットを享受することができません。一方で、匿名組合型の商品でも、投資家の方へ一部売却益を分配する仕組みの商品もあります。

このように、商品ごとに特徴があり、あなたの資産運用の目的とリスクに対するリターンのバランスで商品選びをすることが大切です。

 

不動産小口化商品にもリスクがある

不動産小口化商品は、他の投資商品と比較してミドルリスク・ミドルリターンの特徴があり、少なからずリスクがあります。それは、元本・分配金の保証がされていないことです。

その理由として、不動産小口化商品による投資家への分配金の原資は、投資した不動産から得られる家賃収入等の収益となるため、経済情勢や賃貸状況により変動する可能性があるからです。

また、出資法により元本の保証が禁止されています。さらに、運用期間中に大災害や予期せぬ修繕等の費用発生など、不動産投資と同様なリスクが内在しているのです。

不動産小口化商品の選び方として大切なポイントは、不動産投資に近い投資商品であることから、物件や事業者の安全性・信頼が重要となります。安定性・安全性の高い特徴を持つ不動産小口化商品を期待する方は、高い利回りや大きな売却益(キャピタルゲイン)を期待しないほうがいいでしょう。

 

プロが選んだ物件にプロと一緒に投資する商品

不動産小口化商品は、免許を受けたプロの事業者が選んで運用している物件に対して投資します。言い換えれば、プロが選んだ物件にプロと一緒に投資し、投資家に代わりプロが運用するようなものです。

さらに、優先劣後構造の仕組みであれば、賃料下落(収益減少)や元本割れのリスクは、まず事業者が受けることになり、投資家の方へリスクヘッジがなされています。よって、賃貸経営や物件選びに優秀で実績豊富な事業者が販売している不動産小口化商品であれば、よくわからない物件に投資するより安全性が高いと解釈することもできます。

 

「不動産小口化商品」「投資信託」「J-REIT」とは?資産運用の違いを徹底比較

 

まとめ

不動産小口化商品は、大きく分けて、匿名組合型と任意組合型があり、それぞれ特徴が異なります。

節税目的ならば任意組合型の商品、短期・中期で資産運用を考えるならば匿名組合型というように、あなたの投資目的に応じて商品を選ぶ必要があります。

また、同じ匿名組合型でも、優先劣後構造の商品や、出口で分配メリットを享受できる商品(キャピタルゲイン)など、内容が異なります。

併せて、運用期間や最低投資金額(口数)、予定分配利回りなど、商品ごとに異なります。

商品の特徴や内容を理解し、あなたの投資目的にあった商品を選択することが大切です。少しずつですが、不動産小口化商品を販売する事業者も増えつつあります。商品ラインナップも増えることで、選択肢が広がりつつあります。

あなたの投資目的に合った不動産小口化商品が見つかれば、初めて不動産投資を行う方の入門編として、不動産投資のステップアップや勉強にも利用できます。

また、株や投資信託などの金融資産の運用商品とともに、ポートフォリオとして不動産小口化商品による運用も一考の余地が十分あるのではないでしょうか?

 

定期預金より不動産小口化商品がおすすめな理由5つを紹介!

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