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不動産投資の12のリスク対策と、失敗しない3つのポイント

不動産投資 リスク対策

不動産投資には様々なリスクを伴います。したがって、不動産投資のメリットよりも不安の方が大きいという方も多いのではないでしょうか。

しかし、不動産経営における「リスクを理解し、その対応策を学ぶこと」により、不動産投資を成功させることができるのです。事業にはリスクがありますが、このリスク対応策を理解できれば、しっかりと考えてコントロール(対策・対応)することができるようになり、不安よりもメリットを大きく感じることができるようになります。

今回は、不動産投資の主な12のリスクと、その対策や不安解消の3つのポイントを解説します。

 

不動産投資の12のリスク対策

不動産投資 リスク対策

不動産投資には12のリスクがあります。

  • 空室リスク
  • 家賃下落リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 借入返済リスク
  • 金利上昇リスク
  • 経年による建物の老朽化リスク(修繕リスク)
  • 設備トラブルリスク
  • 入居者トラブルリスク
  • 資産価値や売却時の価格下落リスク
  • 流動性(現金化)リスク
  • 天災等の災害や火災リスク
  • 事故、風評被害リスク

不動産投資を成功させるためにも、まずはリスクをしっかりと理解する必要があるため、それぞれの内容と対応策を解説します。

 

空室リスクへの対応

空室とは、賃貸需要や入居者ニーズと物件の立地・間取り・広さ・住宅設備・家賃などの不一致が一般的な原因です。

一般的には、物件の間取り、住宅設備、セキュリティ、デザイン、管理、貸し方、家賃など、様々な方法で他の物件と差別化を図ることにより、空室リスクを低減できると言われています。

確かに、人気の間取りや設備などにリフォームすることも大切ですが、一方で物件が良ければ入居者が必ず決まるのでしょうか?
例えば、このままでは入居者が決まりませんよ!といわれ、部屋のリフォームに大きな費用をかけたにもかかわらず、リフォームしていない部屋に入居が決まったなどという事例があります。

つまり、それだけでは不十分です。

最も大切なことは、入居者募集をお願いする管理会社や賃貸店の入居者募集力により、空室リスクは大きく異なるという点です。

何年も空室だったのが、管理会社を変更しただけで入居者が決まったという話もよく聞きます。
広告宣伝に使う費用を増やしたり、フリーレント期間(家賃の支払い免責期間)を設けたら決まったなど、むやみにリフォーム費用をかけなくても入居者を決めることができる可能性も十分あります。

このように、同じ物件でも管理会社や賃貸店を変更するだけで満室になることが多々あるため、まずは物件の良し悪しの前に、物件所在地に強い管理会社や賃貸店選びを重視すべきです。

 

家賃下落リスクへの対応

年数が経過することにより、どうしても家賃が下落するリスクがあります。
また、デフレが長引き個人の所得が伸び悩む時代では、家賃の下落が起こりやすいと言えます。

そのリスクを回避するためには、余裕のある収支計画で賃貸経営を行うことが重要です。家賃が下落しても、全額自己資金で購入した物件であれば、手取り収入が少なくなるだけなので、給与所得など、不動産投資以外の収入で生活できる方であれば、大きな問題にはなりません。

しかし、借入で不動産投資を行っていると、家賃の下落により返済ができなくなることが考えられます。そのためにも、余裕のある資金計画として、ある程度の自己資金の確保をはじめ、手取り収入を貯蓄したり、繰り上げ返済を行うなど、収支計画の余力を高めていくことが大切です。

さらに、力のある管理会社や賃貸店に入居者募集を委託することで、家賃の下落率を低くすることができます。やはり、管理会社選びが重要なのです。

なお、サブリース(空室保証)の仕組みを活用しているから空室や家賃の下落リスクがないと勘違いしないようにして下さい。家賃相場とサブリース賃料の乖離が発生した場合には、賃料の値下げができるようになっている契約が大半だからです。

 

家賃滞納リスクへの対応

入居しているにも関わらず、入居者が家賃を払ってくれないリスクです。
家賃滞納が発生した場合には、素早く催促するなどの対応を行うことが重要です。

しかし、滞納が何ヶ月も続けば、想定した収益が確保できないだけではなく、収入がないため借入返済にも影響します。

また、弁護士に依頼して立ち退いてもらうなどの大変な手続きが必要となり、収入がないばかりか費用もかかるため、厄介な問題です。

このような滞納リスクを回避するためには、滞納が発生した場合の保証(滞納保証)をしてくれる仕組みがある管理会社を選ぶこともポイントです。

 

借入返済リスクへの対応

物件を取得する前は、必ず収支計画を検討してから購入すべきです。
不動産投資で破綻しないように注意するためにも、ゆとりある返済計画を立てておくことが重要です。ギリギリの返済計画では、金利上昇や資産デフレによる家賃の下落を吸収できません。

この収支計画も「儲かる」という目線ではなく、返済比率を目安に考えて見てはいかがでしょうか?返済比率とは、月間家賃収入(または年)に対しての月間返済額(または年)の割合です。

例えば、家賃収入が月々20万円とすると、毎月の返済額は10万円以下にしましょうという事です。自己資金の割合などで「返済比率を50%以下にできる物件を選ぶ」という目安にしておくことがお勧めです。

 

金利上昇リスクへの対応

借入を利用して不動産投資を行う際、変動金利と固定金利が選択できます。
低金利の時代では、なるべく長期の固定金利を選択することで、金利上昇リスクを回避できます。

固定期間は一定ですが、固定期間終了後はその時点での金利水準になりますので、その時点で金利が上昇している時の備えとして、余剰金を繰り上げ返済できるようにしておくことも重要です。

低い金利の時代に極力収入を貯めておき、固定金利見直し時期に繰り上げ返済をすることで、金利上昇による返済額アップに備えることもできます。

さらに、ある程度の自己資金により借入総額を抑えておけば、金利上昇による影響は全額借入よりも少なくなります。収支計画をチェックし、金利上昇に備えた返済計画を立てることが大切です。

 

経年による建物の老朽化リスク(修繕リスク)

年数経過により建物は老朽化します。
老朽化した建物のままでは、新たな入居者がなかなか決まらなかったり、家賃設定を下げざるを得ない状況になったりします。

また、建物の寿命そのものも縮めてしまう可能性もあります。
建物の修繕は虫歯治療と同じで、早め早めに実行しておくことが時間とコストを低減できるのです。

そのためにも、事前に資金計画で修繕費を想定しておくとともに、定期的に建物の状況を点検し、修繕のタイミングや費用のかからない修繕方法などを提案してくれる管理会社を選びましょう。

また、修繕費やメンテナンスコストを低減する長寿命化されたアパート・マンションを取得することも大切です。劣化対策等級と言われるものもその1つです。(劣化対策等級3が一番良くて、次は2です。

参照:住宅性能表示制度ガイド-国土交通省

特に新築物件を紹介してもらう際には、この点もチェックしてください。
管理会社によっては、修繕などのメンテナンスフリーをうたっている賃貸経営システムがあります。費用を平準化することができるシステムなので、収支計画の見込みが立てやすく安心です。ご心配の場合には、それらのシステム利用を検討することも良いでしょう。

 

設備トラブルリスク

水漏れ・エアコン故障などの住宅設備に関するトラブルがあります。
特に築年数が経過すると発生しやすくなります。

暮らしに必要な設備のトラブルのため、迅速に対応しなければ家賃を値引きしなければならない可能性があります。
また、これらのトラブルは、いつ発生するのか予測ができず、技術的な対応も必要となるため、当然に仕事をしながらでは緊急対応できません。

このようなリスクに対応するためには、「365日24時間クレーム対応可能な管理会社」に建物管理を委託することがポイントとなり、あなた自身での対応や業者手配は不要となります。

 

入居者トラブルリスク

入居者同士やご近所とのトラブルなどが発生する場合があります。
また、鍵の紛失・ごみの捨て方・騒音など、些細なことも含めて様々なクレームやトラブルが発生する場合があります。

放置することで入居者が退去し、空室リスクなどが高まりますので、早期の対応が必要です。これらのトラブルも、いつ発生するのか予測ができず、トラブルの内容によっては長引く対応になる場合があります。しかし、管理会社に建物管理を委託することで、あなた自身での対応は不要となります。

 

資産価値や売却時の価格下落リスク

不動産価格は10年ごとに増減すると言われています。
今は価格が高騰している時期と言えますが、これから先は下がる可能性が高いと言えます。

これから先は資産価値が低くなる可能性があります。将来の資産形成が目的であれば、家賃収入による収益性が第一です。つまり、不動産価格が下がっても収支計画が維持できれば、さほど影響はありません。

価格が安い時に売らなくても良い状態にしておくことです。
併せて、物件を購入する段階で価格の下落が激しく予測されるエリアは避けておくべきです。

物件所在地に強い会社であれば、エリアのマーケットを熟知しているので、将来性なども考慮した物件紹介が可能なのです。

 

流動性(現金化)リスクへの対応

不動産市況により、急遽一時金(お金)が必要になって売却しようとしても、希望通りの価格で売却できるとは限りません。また、すぐに現金化できない場合もあります。

収支計画をチェックし、ある程度の預貯金は常に確保しておき、中長期的なスパンでの賃貸経営を考えておくことが大切です。また、不動産売買の相談にも乗ってくれたり、場合により自社で買取りしてくれる管理会社もあります。

流動性(現金化)を重視する場合には、不動産売買に強いのかどうか管理会社選びの際に確認しておくポイントにもなります。

 

天災等の災害や火災リスクへの対応

地震・水害・火災などで建物の倒壊や消失リスクがあります。
万一に備えて火災保険・地震保険の加入や、建物そのものの耐震や防火性能の高い物件を選ぶことも大切です。

構造的には、木造アパートよりも鉄筋コンクリート造の方が優れていますが、最近の木造アパートも耐震性に配慮した物件があります。物件価格は耐震性が高い分、高額になりますが、リスク対策としては有効です。

また、立地の選択もあります。
ハザードマップを参考に、集中豪雨による河川氾濫、噴火、活断層などを避けた立地選びを検討する方法もあります。東日本大震災以後、津波リスクを考える方もいますので、心配な方は海抜を意識した土地選びをしましょう。

歴史ある町は、災害の影響を受けずに人が暮らし続けてきたエリアとも言えますので、地域の歴史を勉強することも物件選びには役立つかもしれません。

不可抗力とも言える天災などの大災害は予測が難しいリスクでもありますが、保険に加入しておくとともに、力のある管理会社であれば、早い復旧活動をはじめとする災害時の対応を備えていますので、リスク低減につながります。

 

事故・風評被害への対応

アパートやマンションで死亡事故などが発生してしまったら、その部屋は次の入居者募集に影響がでる場合があります。気にしない人もいるのですが、場合により家賃を下げて募集しなければならない可能性があります。

複数の部屋がある1棟アパートやマンションの場合には、1部屋分の家賃が下がることになるため、戸数が多い物件であれば、全体の収入に対して影響が少ないと言えます。

ところが、大事件が起こると物件そのものに人気がなくなる場合もあります。
このようなリスク対策として2棟・3棟とエリアの異なる複数の物件を所有することでも回避できます。

つまり、ポートフォリオという考え方です。

しかし、複数戸、複数棟を所有するためには、資金と時間がかかります。
資産形成をしていく上で、徐々にステップアップしていくことになるため、最初からポートフォリオを実現する不動産投資は難しいものとなります。

まず大切なことは、収支計画をチェックして家賃が下がっても借入返済が可能な状況にしておくことです。また、力のある管理会社は迅速な事故対応や、その後の入居者募集にも力を発揮しますので、このようなリスク対策のためにも管理会社選びがポイントとなります。

 

不動産投資のリスクを未然に防ぐ3つのポイント

不動産投資 リスク対策

以上のように、不動産投資には様々なリスクがあり、対応策がありますが、そのすべてのリスクをコントロールして不動産投資を成功させるためには、時間と労力、そしてノウハウが必要となります。

仕事をしながら、限られた時間でそれらをすべて網羅し、不動産投資を成功させる3つのポイントをご紹介します。

 

エリアに強い、賃貸管理会社に相談する

不動産投資におけるリスク対策は、優秀な管理会社に委託することで、ほぼ回避あるいは低減できるといっても過言ではありません。

全国には優良な不動産会社・賃貸管理会社がたくさんあります。
しかし、重要なのは「物件所在地」の近くで活躍している管理会社に依頼をすることです。

物件の近くで活躍している管理会社・賃貸店であれば、設備のトラブル含め入居者の迅速な対応が可能となります。これは、退去者の抑制および入居促進にも繋がるため、不動産投資の安定化のためにはとても大切な要件となります。

そして、どんなに優秀な管理会社でも「丸投げ」はいけません。
「お願いしているから安心・大丈夫」といって、何も考えない・何もしないのはNGです。

不動産オーナーとして、相談をするだけでなく管理会社とのコミュニケーションを大切にしてください。どんなに優秀な管理会社でも、「うっかり」が起こり得ます。

また、多くの物件を取り扱っていれば、「優先順位」が働いてしまう可能性もあります。顔の見えるオーナー様が所有する物件は、物件担当者も何かと気にかけてくれます。

しかし、あなたの物件が「優先順位の低い物件」になってしまうと、空室に対する入居者案内も後手になることも考えられます。そうなれば、空室が長く続くことになりますので、当然収入は入りません。

不動産オーナーとして管理会社の物件担当者には、こまめに連絡するなど、コミュニケーションが不可欠なのです。サラリーマンでも、メールや電話くらいの時間は確保しましょう。

また、土日も営業している会社が多いので、休日に連絡や打ち合わせをしたりすることも可能です。奥様が専業主婦ならば、平日の時間を作ってもらい緊急対応してもらう事も1つの方法です。

そのためにも、物件購入の段階からご夫婦で不動産投資を考えることも大切です。わからないこと・不安なことを気軽に質問でき、アドバイスをもらえる会社をパートナーとして選ぶことが重要なのです。

特に、「空室リスク」「家賃下落リスク」「家賃滞納リスク」などの収支計画に関するリスク対応や、「経年による建物の老朽化リスク(修繕リスク)」「資産価値や売却時の価格下落リスク」「流動性(現金化)リスク」などの資産価値に対するリスク、「設備トラブルリスク」「入居者トラブルリスク」などの突発的なリスク対応には管理会社選びが非常に重要です。

また、「天災等の災害や火災リスク」「事故、風評被害リスク」などの不可抗力にも対応してくれる賃貸経営の重要なパートナーなのです。

以上のように、物件所在地に強い賃貸経営のサポートやノウハウのある管理会社・賃貸店がある業者に委託することが、不動産投資のリスク対応に必要不可欠だということがわかります。

さらに、物件選びの段階で管理会社から購入物件の良し悪しについてアドバイスをもらっておくことで、物件選びで失敗するリスクも低減することができます。

 

賃貸経営における収支計画をよく理解する

これは、融資を含めたお金に関することなので、管理会社などからアドバイスを受けることができますが、委託することはできません。

あなた自身のライフプランでもあるため、他人に委託することはできないのです。

初めて不動産投資を行うのであれば、収支計画や銀行融資、そして賃貸経営についてのリスク回避をどのように考えていけば良いのかアドバイスしていただける会社に相談することが大切です。

そして、お金に関するリスクは万が一の時は自己責任です。
最低限、借入返済と固定資産税などの税金は必ず支払わなければいけません。ご自身のお財布なのですから、この分野はしっかり勉強・理解しましょう。

この「収支計画をよく理解すること」で回避あるいは低減できるリスクは、「借入返済リスク」「金利上昇リスク」などの返済に関するリスク対応や、「経年による建物の老朽化リスク(修繕リスク)」「資産価値や売却時の価格下落リスク」「流動性(現金化)リスク」などの備えにもなります。

 

物件の立地は自宅から1時間以内を目処にする

物件を購入してからのリスク回避のためにも、目の届く範囲の立地であることが重要です。

ご自宅から近くの物件にしておくことで、気軽に物件をチェックしに行くこともできますし、管理会社との打ち合わせもしやすくなります。

物件の状況確認や入居者ニーズも把握しやすくなるため、収支の予測をする上でも相場観や賃貸市場を把握しやすいというのは有利なポイントとなります。

また、賃貸事業の業務を委託し、リスク対応も代行してくれる管理会社とのコミュニケーションが取れていれば、速やかなリスク対応が可能となります。

つまり、「物件所在地で賃貸管理に強い会社に相談する」ことや、「収支計画をよく理解する」上でも、物件の立地は自宅から1時間以内を目処にすることが有効なのです。

 

以上、この3つの条件を満たさないのであれば物件を買うべきではありませんし、不動産投資をすべきではありません。

仕事をしながら副業で不動産投資をするわけですから、賃貸経営に時間が取られるという事は本末転倒の資産形成になってしまいます。

不動産投資をはじめる段階からリスクを把握し、対応策を考えておくことが大切です。

 

リスク対策に失敗した例

不動産投資 リスク対策

リスクを考えずに不動産投資を行ってしまった結果、不動産投資に失敗した例をご紹介します。

 

表面利回りだけで物件選びをしたケース

例えば、物件価格1,500万円、年間家賃収入105万円、表面利回り7%の中古ワンルームを紹介され、その利回りの高さに魅力を感じて購入したケースです。

ところが、物件購入後に管理費・修繕積立金や固定資産税などの経費が年間38万円もかかった結果、実質利回りは4.5%に落ち、さらに年間の返済額68万円(借入額1,200万円、借入利率3%、25年返済)を考慮すると、年間収支はマイナス1万円の赤字となってしまいました。

このように、物件購入時の表面利回りばかりに気をとられて購入すると、実際には収支がマイナスになってしまう可能性があるのです。

また、入居ニーズが低い地方の物件や人気のない物件などは、どんなに利回りが高くても入居率の低下や空室の長期化に注意が必要となります。

事前に収支計画が理解できていれば、購入予定の物件がある地域の賃貸需要を踏まえ、空室率や家賃下落率を考慮し、修繕費などの費用も加味した収支計画を確認していることになり、このような物件は購入しなかったはずです。

 

修繕費用が思わぬ負担となったケース

築25年の中古ワンルームを1,200万円で購入した後、購入後約半年で配水管の破損事故が発生したケースです。

その結果、配水管や流水に伴う天井などの修理が必要となり、修理費用250万円を負担することになりました。

さらに購入後2年目には修繕積立金が月1.5万円から2万円に値上げされ、3年目には大規模修繕のための一時金30万円が徴収され、収支が大きく低下してしまいました。

このような古いマンションなどを購入する場合、事前に管理会社へ相談していれば、老朽化の状況や過去の「修繕履歴」が確認でき、購入後の修繕費用を予測した上で収支計画をチェックしておけば、収支が大きく低下するリスクは避けられたケースです。

 

工場の移転で入居率が著しく低下したケース

物件は最寄り駅から徒歩25分ですが、周辺には工場が多いために賃貸需要が高い地域でした。

その地域にある大企業の従業員や関連企業の社員などを対象としていた、単身者向けの1棟アパートを購入後、数年後に企業が撤退したケースです。

企業の撤退により単身の入居者が集まらず、やむなく売却するも、購入時より30%も低い金額でしか売れませんでした。

この失敗例では、次のリスク対応を考えておく必要があったのです。

 

  1. 特定の入居ニーズに依存した物件は慎重に検討

大学の学生や企業の社員などを見込んで建築された物件の場合、その大学や企業が移転や閉鎖されると入居者が減少するため、万一の時には別の入居者ターゲットでの賃貸ニーズが考えられるのか検討しておく必要があります。

長期の予測は困難ですが、地域に強い管理会社であれば、数年先の移転などの可能性や周辺地域の変化などの分析をはじめ、大学や工場撤退後の賃貸需要についてもアドバイスがもらえます。

つまり、事前に入居者募集が強い管理会社に相談していれば、低減できたリスクです。

 

  1. 空室時での借入返済額を確保する

大学や企業が移転した場合、一度に多くの空室が発生する可能性も考えられます。

また、別の入居者ターゲットで募集する場合にも、家賃を値下げしなければならない可能性も否定できません。

これらのリスクに対応するためにも、収支計画において、数か月間の空室にも対応できる借入返済額相当の資金確保や、家賃下落にも対応できる返済計画を検討しておく必要があります。

つまり、企業の撤退リスクを加味した利回りや収支計画をチェックして物件選びをしていれば、低減できたリスクです。

 

まとめ

不動産投資による賃貸経営を始めたばかりのころは特に問題もなく、またメリットになっていたことも、10年・20年と時間の経過とともにデメリット(リスク)に変わる可能性があります。

例えば、物件を取得した時は金利が低く返済額が少ないため収益性が良かったものが、時代の変化とともに金利が上昇し、収益が圧迫されるという場合があります。

また、新築当時は家賃や入居率が高かった物件も、時代の流れとともに賃料下落・空室率増加などのリスク発生も無視できません。

これらのリスクを低減・回避するためには、物件紹介から入居者募集・建物管理・賃貸経営の相談などにトータルでサポートしてもらえる会社を選択することが重要だとわかります。

ある意味、物件選びの前にパートナーとなり得る会社選びが重要であり、購入物件の地域に強い会社であることがポイントです。

不動産投資を始めるならば、信頼できるパートナーを見つけ、相談・検討しながら、しっかりと準備を行うことが大切です。