相続税対策で不動産投資を始める前に、知って欲しい3つのこと
相続税対策なら、不動産投資!とすぐに思い浮かぶ方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
家族に1円でも多くの資産を残したい。
そう考えるのは当然ですが、あまりにも行き過ぎた「節税」と言われる対策はリスクが大きくなります。
相続対策とは、相続税対策ではありません。確かに、資産家にとって相続税の節税は大きなテーマですが、必ずしも相続税を少なくすることが相続対策にとって最良の方法と言えないケースがあります。
適切な相続対策を検討する上で、何が大切なのかお伝えします。
今後、相続が発生する可能性のある方は、相続税の仕組みを知る参考になさってください。
突然の相続への備え方
相続は年齢に関係なく、家族や親に財産があれば突然訪れます。また、景気に関係なく訪れる相続というものに対し、過去におきたバブルの崩壊によって、「節税対策=相続対策」という時代は終わり、状況は一変しています。
節税ができても納税を考えなければ相続破産となり、遺産分割が進まなければ相続が「争族」に変わってしまいます。
資産デフレの時代も意識した事前の対策をしっかり立てることが大切です。
相続というものを考えるとき…
相続とは人の不幸を前提としており、家族間では話しにくいものです。
- 相続への対応とは、残される子どもに対する親の義務ではないでしょうか?
- 家族円満を望み、子どもたちの生活設計をも考え、多くの悩みを強いられているその親の気持ちを理解し、親の生きがいとは何かを考えるべきは、子どもたちの義務ではないでしょうか。
相続という山を越えることだけが目的であるかのような相続対策は、冷たい数字の世界で終わってしまいます。
もう一度『相続対策』という言葉の中に込められた本当の意味を考え、認識することが大切です。
相続税対策で不動産投資が効果的な理由
平成27年の相続税改正により、節税対策としての不動産投資を行う方も多くなりました。
これから検討される方もいることでしょう。
確かに、現在の日本の税制において大きな効果が望める対策としては、不動産投資や土地の有効活用と呼ばれるアパート・マンション等の賃貸住宅建設も効果のある選択肢と言えます。
なぜならば、土地建物は現金に比べて評価額が低く抑えられるだけでなく、定期的な家賃収入を得ることが可能だからです。万が一の事態でも、家賃収入により残された家族にとっても安定的な暮らしを提供できるなど、効果が期待できます。また、保険替わり、評価額の減税特例など、アパート経営には様々なメリットがあるのです。
相続対策「3大対策」のポイント
では、具体的な相続対策の3つをご紹介します。
1.遺産分割対策
2.納税対策
3.節税対策
大切なのは、上記、1→2→3の順番で考えることです。
どんなに節税ができていても、分割で家族がもめ、納税もできなくなる・・・。
ということは避けなければなりません。相続対策とは、残されるご家族への対策ですから、「円満な代替わり」をすることが大切なのです。
遺産分割対策で争族トラブルを回避
遺産分割対策が一番大切な相続対策とも言えます。
遺産分割として、金融資産ならば1円単位で分けることができますが、不動産は簡単にはいきません。
ある意味、不動産は分割しにくい資産と考えられ、家族全員で共有にされるケースも見受けられます。
しかし、相続されたご家族は、売りたい・自分で使いたい・貸したいなど、各々利用したい形態が異なる場合があり、共有の場合は相続人各々が自由に処分・利用ができません。
遺産分割を考えず、分割しやすい金融資産を活用し、不動産投資を行ってしまったばかりに、残されたご家族は、遺産分割で苦労することも考えられます。
残されるご家族に、どのように分割するのかを十分検討・理解した上で不動産取得をすることも大切です。例えば、相続人が妻・子2人の場合、3億の物件1つよりも、1億×3棟にし、残されるご家族3人に1棟ずつ分けるという選択肢もあります。
①家族を「争族」から守る遺言書
相続税の納税がなくても遺産分割は必要です。財産一つを巡って「争続」という相続になりかねないという事です。「財産がそんなに多くないから」や「うちの子に限って」は通用しない時代です。
万一に備えて保険に加入すると同じものとして、遺言書を残しておくことも相続トラブル回避のためにも有効と言えます。
②エンディングノート
近年、日本では「終活」がブームになっています。
その際、法的な拘束力はないのですが、「エンディングノート」と言われるものも注目され、書籍等が多く出版されたりしました。
「エンディングノート」とは、自分に万が一のことがあった場合でも、残されるご家族が困らないように様々なメッセージを書き留めておくもので、自分史や、残されるご家族への「最後の手紙~ラブレター」のような意味合いも含みます。
遺言書とともに、家族への想いや安心感のために残しておくことが多いようです。
相続税納税対策で相続破産を防ぐ
①相続税の金額を計算し、必要な現金を把握する
相続税の納税対策を考える前に、まずはご自身が万が一の時、どのくらい相続税が発生するのかを理解することが必要です。
その上で、問題なく納税できるのか、あるいは節税しなければ納税できない(大切な資産を手放さなければならない)等の問題がある場合には納税対策を検討する必要があります。
その方法としては、
・ 節税対策を加味したバランスの検討
・ 事前に手放してもよいと思う土地等の不動産の明確化
・ 生命保険の活用
など、総合的に判断することが、無理のない納税対策へとつながります。
②土地を売却して現金化、納税額を確保する
もし、納税する現金がないならば、「今すぐ土地を売却する」ことをお勧めします。
ですが、土地を売却するにも税金がかかるので、売買代金の2割弱が発生することになります。
売るタイミングは、資産デフレの状態ならば売り急ぐ必要はありませんが、将来確実に値上がりすると見込めないのであれば早めに売却し、現金化しておいた方が相続発生時にも分割しやすいですし、売却して手に入れたお金を「使う」というということができます。
納税対策で、納税資金を確保
では、納税する資金が確保できたら、相続対策はしなくて良いのでしょうか?
資産家の方は多くの不動産、特に代々土地を受け継いでいる農家の方々もいらっしゃいます。
「土地を売って、相続税を納税すれば良い」と考える方もいるでしょう。
確かに、相続対策の選択肢として考えられる方法ですが、不動産市場が悪化したらどうなるでしょうか?
実際の相続が発生した際に、思うような価格で土地が売却できない。という話をよく耳にします。
また、相続税の申告は、被相続人がお亡くなりになったことを知った日の翌日から10カ月以内に行うことになっていますので、その間に土地を売却しなければなりません。
お金ではなく物納という方法がありますが、条件は厳しく、認めれらることはとても難しくなっています。
また、相続税は現金による一括納付が原則で、分割や延納という方法もありますが、税務当局による審査があり、許可されないケースも多くあります。
残された相続人やご家族がそのために生活がひっ迫したり、納税のために売りやすい資産や収益のある資産を先に売却はおすすめしません。相続税の納税対応は、「残った資産で生活設計が無理なく送れること。」を基準に考えるべきです。
いざ、相続発生時に慌てず・困らずに対応できるように、事前に納税への準備が大切なのです。
追伸:以前にお聞きした話です。
先祖代々守り続けてきた資産(土地)なので、親戚や世間の目もあり自分の代で土地は売れない。と、話される方がいました。
なのに、「相続対策は土地を売って収めるから大丈夫。」と言うのです。
相続発生時に土地を売るのは「子ども」である相続人であり、先祖代々受け継いできた資産を、自分では売れないにもかかわらず、子どもたちに売らせるのでしょうか?
もし、子どもたちも「親から受け継いだ資産は先祖代々の資産なので、しっかりと守る」という、同じ気持ちを持っているとしたら、「土地を売って収めるから大丈夫」という手段は、相続トラブルの先送りをしていることになります。
③相続税の節税対策不動産投資のポイント
相続税対策として物件選択をする場合に注意すべきポイントは、取得価格と相続税評価額の差を確認することが大切です。
土地については、取引する土地価格と路線価を比較します。路線価よりも購入価格(取引価格)の方が高ければ、相続税の節税効果は現れます。
建物は、取引する建物価格と固定資産税評価額を比較します。
建物相続税評価額のベースとなる固定資産税評価額よりも購入価格(取引価格)の方が高ければ、相続税の節税効果は現れます。
新築物件は、その差が大きく相続税の節税効果が得やすいのですが、一般的に築年数の経過した利回りの良い物件は、相続税の節税効果が低い場合があります。
なぜなら、一般的に古い物件は価値がないとされ、固定資産税評価額も低くなりますが、価格を下げて売却するケースもあるからです。
リノベーションして新たな価値を生み出す物件が隠れている可能性もあり、悪い物件とは言えませんが、空室が多く早期売却をしたい物件は、売買価格より相続税評価額の方が高い物件となる可能性もあります。
節税だったはずの目的が増税にならないよう注意と、物件の見極めが必要です。
生前贈与を活用した相続対策
相続対策として「生前贈与」と言われる方法を行う方もいます。
一般的に金融資産で行われていますが、不動産を活用した生前贈与の方法にもメリットがあります。
最近は、不動産の小口化(不動産特定共同事業の任意組合方式)により、節税効果のある商品として販売されているものもあり、相続対策が必要な60代以降の方々を中心に、金融資産と相続税評価額の差を活用した生前贈与の節税商品としても活用されているのです。
贈与税は贈与する資産の評価額に対して課税されますが、贈与後の将来受け取ることのできる家賃収入に対しては課税されません。
保険は将来受け取ることの権利を評価される場合がありますが、将来受け取ることのできる家賃に対しては課税されないため、子どもたちへ将来の収入確保という点でも活用の検討の余地はあるのではないでしょうか。
生前贈与を行うメリット・デメリット
生前贈与は、節税効果の大きなメリットがありますが、メリットがあるからといってむやみに活用することはお勧めしません。
実際に起きた、よくあるケースでの悲劇をご紹介します。
都内に暮らす60代のAさんは相続対策として生前贈与を活用し、子どもたちに金融資産を贈与していました。当然、金融資産を受け取る側の子どもは喜びます。
その結果、子どもたちは、ある程度まとまったお金を苦労せずに手にすることができるため、「お金に困ったらお父さんにお願いすれば良い!」という甘えが生じます。
仕事を辞めてしまうケースや、浪費家になってしまうなど、一度手に入れた生活水準を下げることは難しく、生活が苦しいなどという結果になりかねません。
子どもたちへの節税や孫の将来のためにと行った行為が、結果、目論見と違う方向に向かってしまったら、何のための生前贈与だったのでしょうか?
税金対策としては、単に節税すればよいのではなく、心の通った対策を構築しなければ、冷たい数字の世界で終わってしまいます。教育上の面でも、効果的とは言えないケースもあります。
漠然とした不安により、相続税対策を決断できない場合
ここまで、相続対策の①遺産分割対策、②納税対策、③節税対策の方法を解説してきました。必要だと解っていても、借入不安・空室問題をはじめ、漠然とした不安感により、不動産投資や土地の有効活用に踏み切れないという方も多くいます。
むやみやたらに不動産投資をはじめとする遊休地の有効活用など、節税になるからと言って事業化を選択することはお勧めしません。
漠然とした不安感をお持ちになるのは正しいと思います。
しかし、考えてみてください。
防衛本能として何もしないことが、結果として多くの資産を手放すことになり、場合により相続破産、家族の崩壊を招くことも起こり得るのです。
不況と言われる時代においても、相続対策として何らかの事業化を選択した人はゼロではありません。
少子高齢化で、これから人口が減ると言われている中、なぜそんなに不動産投資やアパート・マンション建設が盛んになるのでしょうか?
全てが正しい選択をしたとは言い切れませんが、なぜ事業化を選択したのか、何を基準に考えるべきなのか、考えてみることも必要です。
答えは、ご自身の「相続」というものに内在するリスクをよく把握し、不動産投資や有効活用に内在するリスクとの比較検証が必要です。
ご自身の相続対策としての課題をしっかり認識し、不動産投資や有効活用のリスクを十分把握した上で、それらのリスクを解決・回避・低減できる方法があれば、不動産投資や有効活用による相続対策が成り立つのです。
不動産投資の効果としては、節税効果が一番に考えられますが、分割・納税対策の有効性を活用した上で、物件選びや事業規模を適切に判断しなければなりません。
円満な代替わりをめざして
相続の問題は不幸を前提としており、家族間では話しにくいものです。だからこそ、相続対策は「親の義務」と言えます。
相続するのはご自身の財産ではありますが、相続税で苦しむのは残されたご家族です。「争族」や「相続破産」のような、後々の問題にならないように対策をすることが大切です。
誰に何を頼むべきか、どのような対策を講じるべきか、事前に所有する財産を整理すると同時に、いざというときに頼れる専門家や、業者との関係性を構築しておくことで、ご家族の不安を軽減することに繋がります。
子や孫に財産を平等に残すためにの、生前贈与、遺産分割には弊社の不動産小口化商品「まちシェア」の活用もご検討ください。
不動産特定共同事業に基づき実物不動産に1口100万円から出資できる商品です。湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムが事業主体となり、複数の投資家から出資等を募り、その資金により実物不動産を取得・運営・管理し、得られた利益を投資家で分配する仕組みです。湘南の賃貸物件にを小口化することで、1口100万円単位で購入が可能な商品設計。現物不動産の所有と同等の税制メリットを受けられるため、贈与・相続税の軽減に効果を発揮します。また、口数単位での相続が可能となっており、相続対策商品として、多くの客様にご活用をいただいております。
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