不動産投資の融資条件は物件購入後にも交渉した方が良い理由
不動産投資をされる方は、金融機関からより有利な条件で融資を受けようと努力されているかと思います。物件選びと同様に、不動産業者にあれこれ条件を伝えて金融機関と交渉してもらうケースも多いでしょう。しかし、金融機関との交渉は購入時だけではありません。意外と多いのが「借りっぱなし」の状況です。
何が問題なのか?
金利相場と比較して、高い金利のままで借入されている方も少なからずいるのです。
あなたが「低金利時代」と言われるこの数年の間で物件を取得しているならば、まさに「低金利」で物件を取得されたことでしょう。
しかし、本当に低金利なのでしょうか?
もし、初めて取引を行う金融機関で融資を受けたならば、実は相場よりも高い金利で借入をしている可能性もあるのです。
物件を取得して数年経過しているのであればチャレンジしていただきたいことがあります。それは、金融機関との交渉です。金利などの融資条件を見直すことが出来たならば、キャッシュフローを向上させることが出来るのです。
低金利時代なのに金利が高い理由
金融機関はあなたの与信を見て、融資条件を判断します。
初めての取引ならば、あなたが堅実に不動産事業を行い、借り入れ返済をしてくれるかどうかの判断がつきません。給与所得の振込口座なのでコツコツと貯金をしてきた履歴があれば、与信も高まりますが、取引がなければ人物像がわからなのです。取引実績がないのですから、どんなに堅実です!とアピールしたところで確証がなくリスクを見ざるを得ないと推測できます。
つまり、リスクを想定し、担保条件や融資限度額、そして金利が高くなっている可能性があるという事です。
あなた自身で確認しなければならない理由
ここでポイントなのが、物件を購入する際に親切に手伝ってくれた業者は何もしてくれません。なぜなら、彼らは物件を売ることが仕事だからです。売った後は仕事が終了しているので、何もしてくれないのです。
更に、融資を受けている金融機関からは「金利を下げましょう!」と自ら言ってくる金融機関は、ほぼないと思っていた方が確実です。
運よく、他の金融機関から借り換え提案の営業が来る可能性はありますが、数年間程度では難しいかもしれません。つまり、あなた自身で金利引き下げや借り換えの交渉をする必要があるのです。
管理会社選びでも差がつく融資条件!
単に物件管理をするだけではなく、金利交渉や借り換えなどの相談にも乗ってくれる管理会社があるのです。資産運用のサービスと言って、プロパティマネジメントだけではなく、アセットマネジメントもしてくれる会社という事です。
資産運用をトータルでサポートしてくれる管理会社であれば、不動産投資による賃貸経営をあらゆる面からサポートしてもらえます。金利が高いことに「気づかなかった」という状況もなくなります。
初めて不動産投資を行うならば、まずは手厚いサービスのある管理会社に委託することで、融資の面でも有利になるのです。
金利が低くなる理由
もし、初めての取引金融機関ならば、家賃収入の一部積立貯金や返済実績を含む取引実績を数年間積み重ねることで、取引開始時よりも、あなたの与信が高まっていることがあります。
物件を取得した時よりも、給与所得や役職が上がっていることもプラスの要因です。つまり、もっと有利な条件で融資を受けることが出来る力が備わったという事です。その場合は、金利引き下げの交渉をすると良いのです。
借り換えによる金利引き下げの可能性もあります。数年間返済を行う事で、当初よりも借入元金が少なくなっています。元本も少なくなり、堅実に返済や貯蓄実績が見えるようになっているため、金融機関もリスクが少なくなっていると判断し、もっと有利な条件に変更してくれるかもしれません。
お願いしてみることは無料なので、金融機関に確認・相談してみることをお勧めします。
借入期間を延長し、キャッシュフロー向上も!
新築物件を購入したのであれば、返済期間も長期で借り換えすることも可能です。
例えば、新築木造アパートの場合、融資を受けた金融機関の基準で、30年間までとか、耐用年数の22年間までなどの条件で融資を受けている可能性があります。諸条件を満たせば、35年融資が可能な金融機関も存在しますので、借り換えにより返済期間も延長でき、キャッシュフロー向上の可能性もあるのです。
木造アパートでも長期ローンが可能
木造アパートでの長期ローンのポイントは、建物の「劣化対策等級」です。劣化対策等級2が以上であれば、35年の融資をしてくれる金融機関があります。
もし、あなたが劣化対策等級2以上のアパートを所有しているのであれば。借り換えを含めて返済期間の延長を検討してはいかがでしょうか?
返済総額は、事業期間内では多くなります。しかし、月々の返済が少なくなるためキャッシュフローが向上します。更に返済比率という総収入に対する返済額の割合も低くなるため、資金ショートによる破たんリスクも低減できます。
築浅のRC物件(鉄筋コンクリートの1棟マンション)
RC物件ならば、返済期間も延長できる可能性があります。
耐用年数は47年なので、融資期間が30年ならば、17年の余力があります。35年の融資期間でも、残り12年あるのです。つまり、10年後でも、残り37年残存期間がありますので、返済期間を5年や10年延長できる可能性があります。
借り換えの場合でも、新たに返済期間30年で借り入れできる可能性があるのです。
初期投資は高額になり、木造アパートと比較すれば利回りも低くなりがちですが、長期の資産価値という点で、長持ちするRC物件の方が融資上もメリットが大きいと言えます。
まとめ
低金利の時には融資条件を見直しし、金融機関に交渉することが重要です。現在融資を受けている金融機関に対して金利引き下げの交渉をしてみましょう。
ある程度の返済実績および預金実績を積むことで、あなたの与信が高まっている可能性がありますので、チャレンジしてみる価値があります。
融資を受けていない銀行をあたってみるのも良いでしょう。借り換えが可能となり、今よりも金利が下がる可能性があるので、融資を受けている銀行だけに限らず交渉をしてみましょう。
また不動産投資の仲間がいるならば、何人かに融資金利の目安や相場感をヒアリングや相談してみましょう。
同じ金融機関で融資を受けていても、適用金利は一緒ではありませんので、ご自身の適用金利の方が高ければ、交渉によって金利を引き下げてもらえる可能性があるのです。
一度チャレンジしてダメでもあきらめないでください。融資条件は、あなた自身の与信によるところも大きな要素です。また数年間、返済および預金実績を積んだ上で交渉すれば良いのです。
金利が上昇している時代には条件が不利になるケースもありますので、金利相場を投資家仲間から情報収入するなどし、メリットがありそうならば条件交渉しましょう。
もう一つの要素は返済期間です。返済期間の延長は、購入後すぐに応じてくれない可能性が高いのです。なぜなら、返済期間の延長は「リスケ(リスケジュールの略)」です。融資を受けて数年で返済が厳しくなったから融資期間を延長したいのかと思われるからです。この場合は、思い切って他の金融機関に借り換え相談する手段があります。
ただし、あなたが融資を受けた返済期間よりも長く融資期間を設けてくれる金融機関が存在するかどうかが重要です。
例えば、木造アパート22年の耐用年数までのA銀行と、35年までの期間を設定できるB銀行があるとします。
あなたがA銀行で22年の返済期間で融資を受けているならば、B銀行に相談すると、返済期間の延長ができる可能性があるのです。
その際、借り換えをすると金利が低くなれば良いのですが、高くなってしまうケースもあります。しかし、返済期間が延びることによるキャッシュフローの改善が見込まれるならば、借り換えを選択することにもメリットがあります。
月々の返済額を低くすることで、今後の空室率・家賃下落リスクに対応できる幅が広がるからです。
つまり、返済比率(「借り入れ返済額÷満室時における家賃・駐車場などの収入合計×100=返済比率(%)」で計算する「総収入に対する返済の割合」)を下げる効果があるからです。
金利引き下げや返済期間の延長は、融資を受けている金融機関が積極的に対応してくれることは、まずありません。稀に、他の金融機関が借り換え提案の営業にきてくれることはありますが、そのことには期待せず、あなた自身でアクションを起こすことが必要です。
まずは融資を受けている金融機関、そして他の金融機関にも情報収集目的で借り換えの打診をしてみることで、有利な条件が引き出せるかもしれません。
金融機関の融資目線も時代とともに変化しますが、少なくとも金利相場と比較してご自身の金利が高いならば、交渉をすることが不動産投資の安定経営に繋がります。
今の低金利のうちに、ぜひ取り組んでみて下さい。