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海外不動産投資のメリットとデメリット|よくある失敗パターンを解説

海外不動産投資 メリット 失敗

人口減少・少子高齢化が深刻化する国内不動産市場に不安を感じて、海外物件を検討する方が増えています。ただし、海外不動産投資を日本国内と同じような感覚で始めてしまうと、物件選びや売却時に大切なポイントを見落として失敗する可能性もあるので、注意が必要です。

今回は海外不動産投資でよくある失敗パターンや、失敗を避けるために知っておきたい注意点をご紹介します。海外不動産投資では何に気をつけてエリアや物件を選べばいいのか、海外物件の購入で融資は下りるのか等について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

 

海外不動産投資のメリット・デメリット

節税対策や高い利回りを求めて海外不動産を購入する方は少なくありません。世界経済が好調を維持する中、日本は人口急減・超高齢化が懸念材料となっています。人口が減れば住宅を購入したり賃貸する人も少なくなるので、国内不動産市場への影響も不安視されています。

そこで注目されているのが、人口増加や経済成長が続いている海外不動産です。海外不動産投資の特徴やメリット・デメリットは次の通りです。

 

①高い利回りが期待できる

②売却時の節税効果が高い

③融資が下りない

④為替変動リスク

⑤政治情勢リスク

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

高い利回りが期待できる

海外不動産投資のメリットとしてまず挙げられるのは、利回りの高さです。不動産投資で得られる収益は賃貸運営によるインカムゲイン(家賃収入)と、売却によるキャピタルゲイン(値上がり益)です。

海外不動産投資で人気の国・エリアの賃貸利回りは次の通りです。

国・エリア 賃貸利回り
インドネシア 7.09%
フィリピン 6.13%
マレーシア 4.82%
シンガポール 4.74%
日本 4.38%

(出典:Global Property Guide)

 

一方、売却時のキャピタルゲインについては、2019年第1四半期における過去1年の住宅価格上昇率は次の通りです。

国・エリア 住宅価格上昇率
フィリピン +15.017%
ポーランド +6.832%
ドイツ +3.586%
オーストリア +3.207%
タイ +2.297%
日本 +1.976%

(出典:INTERNATIONAL MONETARY FUNDより)

このように低成長が続く日本と比べて、世界の経済成長の恩恵を受けている国では、賃貸時・売却時の両方で高利回りを期待できるのが海外不動産投資の魅力です。

 

売却時の節税効果が高い

不動産投資では家賃収入を得るための必要経費として建物の減価償却費を計上できます。減価償却費とは経年劣化による建物価値の減少分を経費として計上できる会計方法のことです。一般的には建物が古く償却期間が短いほど、減価償却費を大きく計上できるので、赤字経営として確定申告すれば所得税や住民税の減税につながります。

2020年(令和2年)には税制改革が行われ、海外不動産投資の償却費に関する規定がかわり、海外不動産投資の減価償却費と日本の所得とを損益通算することが出来なくなりました。そのため、海外不動産の減価償却費による節税効果は期待できなくなりましたが、売却時にかかる譲渡所得税に関しては減価償却費相当額を控除できるようになりました。つまり毎年の確定申告で減税にならなくても、売却時の利益を減価償却費で圧縮する形で譲渡所得税を軽減できる場合もあります。

 

融資が下りない

海外不動産を購入するために金融機関のローンを利用するのは難しいのがデメリットです。国内金融機関のほとんどは海外不動産に対して融資は行なっていません。国内不動産を担保にフリーローンを利用できる銀行もありますがやはり少数です。

一方、現地銀行でローンを組む場合でも、現地に住んでいることが条件になるなど厳しめです。例えば経済成長の続くフィリピンでは、住宅ローンを組むためには外国人登録証(ACR-Iカード)のほかに居住証明や雇用証明書などが必要になります。

不動産投資は少ない元手でローンを組んで運用するなどのレバレッジを効かせたスキームが魅力です。しかし海外不動産投資では現金を多めに用意する必要があるので、キャピタルゲインを中心に狙ったり、節税対策のために購入するなど、別のアプローチで運用方法を考えることが重要になります。

 

為替変動リスク

海外のコンドミニアムを購入する場合、頭金などを分割で支払うことができます。しかし代金の支払いは現地通貨で行うので、為替変動によっては支払い金額の負担が増える可能性があります。

例えば、フィリピン通貨のペソは2020年3月以降は対円で上昇しています。円高になれば物件購入金額に対して実際に支払う日本円は少なくなりますが(為替差益)、円安に振れれば購入時に計画していた支払い額よりも多くの現金を支払うことになります(為替差損)。

また、物件を売却する際は、円高になれば少ない円に換算されてしまうので損になりますが(為替差損)、円安なら受け取る円が増えることになります(為替差損)。

 

政治情勢リスク

不動産投資ではエリア選びは重要な要素の一つですが、新興国では国のトップが変わることで開発計画が急遽中止になることもあるので注意が必要です。

例えば、マレーシアでは2018年にマハティール政権の誕生により、予定されていた高速鉄道の開発計画が見直されることになりました。そのため再開発を見込んで値上がりが期待できたコンドミニアムも、その後の価格上昇に期待するのも難しくなったという事例があります。

このように、海外不動産投資では政権交代で不動産投資の環境にも影響が及ぶ可能性があることを認識しておきましょう。

 

海外不動産の購入でよくある失敗パターン

海外不動産投資では完成前の物件(プレビルド物件)を安く購入して、完成後に高く転売することができます。しかし、プレビルド物件投資では、物件自体が完成しないリスクに注意する必要があります。

 

プレビルドで購入したコンドミニアムが完成しないケース

プレビルド物件の販売を行っている会社は、その売上を建設費用に充てていることがあります。そのため、売れ行きがよくない場合は、建設を進めるための資金が確保できず、建設自体は続くとしても完成までに相当の年数がかかるケースもあります。そうなれば賃貸運用を始められないので、投資計画を大幅に見直す必要も出てくるでしょう。

 

賃借人がつかないケース

新興国のコンドミニアムの中でも都市部にある高級物件は、現地の人を対象として建てられたものではありません。賃借人の対象となるのは、海外から仕事に来ている駐在員や、外国人の富裕層などです。

家賃設定の高いコンドミニアムは賃借人の需要が限られるため、エリア選びを間違えると賃借人がつきにくい可能性があります。場合によっては売却するまで借り手がつかず、家賃収入を得られないケースも想定されます。

 

海外不動産の売却でよくある失敗パターン

次に海外不動産の売却で注意したいポイントを見ていきましょう。

 

完済前に売却できないケース

不動産は基本的に所有権が移転しなければ、転売もできません。一方、プレビルドのコンドミニアムは、支払いが終わる前でも所有者であるデベロッパーと協議し、購入権を売却する形で転売できるのが特徴です。

しかし、新興国では経済成長を見込んで相当数のコンドミニアムが都市部に建設されており、一部では過剰供給状態になっています。そのため多くの投資家が同じような時期に転売しようとすれば、需要が追いつかず、希望価格で売れない可能性もあります。当初予定していた売却価格よりも大幅な値下げを迫られる場合もあるでしょう。

 

外貨を持ち出せずに没収されるケース

海外不動産は、国によって外貨の持ち出しに制限がある場合もあり、それを知らずに日本へ持ち出そうとすると没収される可能性があるので注意しましょう。

例えばフィリピンの場合、1万ドル相当額を超える外貨を持ち出す場合には事前の申告が必要です。また、5万フィリピンペソ(約10万円)をフィリピンに持ち込む、あるいは持ち出す場合は、フィリピン中央銀行の許可が必要です。

このような申告手続きをせずに売却後のお金を日本に持ち出そうとすると、没収されることもあるので事前によく確認しましょう。

 

海外不動産投資で失敗しないために大切なコト

海外不動産投資で失敗しないためには、まず現地のルールをよく調べることが大切です。キャピタルゲインが見込めるエリア選びから、不動産の購入手順、購入後の運用方法、管理会社、売却手続きなどについて一通り理解しておかなければ、思わぬ事態に遭遇した時に冷静に対処できません。

海外には日本とは異なる商取引のルールがあります。海外不動産投資の始め方や物件の選び方については、販売している企業がセミナーなどを無料で開催していることもあるので、情報収集のために参加しておくのもおすすめです。

 

まとめ

海外不動産投資を始める際は、日本と異なる購入手続きや運用方法について、事前によく調べておきましょう。新興国の例のように政権が変わると不動産取引のルールが変わることもあるので、外国人投資家は影響を受ける可能性もあります。海外不動産投資のセミナーでは、現地の最新情報を入手できるだけなく、失敗しないための対策やポイントについても学べるので、時間がある方は積極的に足を運んでみてください。