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要注意!?新築区分マンション投資で節税できても債務超過のリスクとは?

新築マンション 節税 リスク

新築マンションの価格は高く、減価償却費を大きく計上できるので、一見すると節税効果が高いように思われます。このように、新築区分マンションは投資対象として人気物件となっていますが、節税目的で購入する場合は注意が必要です。

そこで今回の記事では、新築区分マンションを節税目的で購入することにどのようなリスクがあるのかについて、詳しくご説明します。

 

「新築区分マンションで節税対策」がおすすめできない理由

居住用としては人気が高い新築区分マンションですが、節税対策としての投資用ではおすすめできない理由は以下の通りです。

 

①新築区分マンション投資は収益を生み出しにくい

②債務超過になる可能性

③減価償却の計上が売却時の税負担を増すことも

④節税効果は徐々に薄れる

⑤融資が受けられなくなる

 

それぞれ詳しく見てみましょう。

 

新築区分マンション投資は赤字になりやすい

新築区分マンションは、ローンの返済や管理費・修繕積立金などの支払いを、家賃収入だけでまかなうのが難しい投資物件です。その理由として、新築区分マンションの購入金額の高さがあります。

新築区分マンションの購入金額には、そのマンションを販売する会社の利益が上乗せされています。家賃も新築当初は高く設定できますが、中古となれば金額を下げることになるでしょう。

しかし、ローンの返済額や管理費などは変わらないため、収益性も次第に低下する可能性があります。そのため、新築区分マンションを購入して賃貸運用すると、収支がマイナスとなり利益を生み出すのが難しくなるのです。

新築区分マンションは耐用年数が47年と長いので、経費計上できる減価償却費も最大で47年間継続します。そのため、節税効果だけを見れば魅力があるように思えます。その節税ぶんを含めて収益を継続して出すことができればよいですが、新築区分マンションの利回りは基本的に低めです。

十分な節税効果を得られず、総合的な収支がマイナスとなる可能性があれば、注意が必要です。

 

債務超過になる可能性

債務超過とは、マンションを売却しても、ローンを完済することができない状態のことです。例えば、収益性の高いマンションは、担保価値を高く評価されるのでそれなりの価格で売却できます。しかし、収支の合わないような担保価値の低い区分マンションは、売却しようにもローンを完済するだけの値段がつかないことがあります。

ローンを完済していないマンションを売却する場合、残債は現金で支払わなければなりません。売却時にローンを完済できないと、抵当権を抹消できないからです。

保有を続けると収支が赤字になる区分マンションは売却する必要があります。しかし、担保価値が低く売却できない場合、任意売却(任売)をするか、最悪の場合には自己破産という形になってしまいます。

ただし、任売で債務を残したままマンションを手放すことができても、ローンの残債は残ります。その返済の目処がつかなければ、やはり自己破産ということにもなりかねません。

新築区分マンションはそもそも、購入時点で販売会社の利益が購入価格に上乗せされているため割高です。その上乗せ分は売却時に削ぎ落とされるため、購入直後からの値下がりにより、債務超過となる可能性があります。

 

減価償却の計上が売却時の税負担を増すことも

新築区分マンションを購入すると、売却時には購入時に支払った販売会社の利益分が削ぎ落とされることで、値下がりするケースがほとんどです。このとき、譲渡益は発生しないからといって安心していると危険です。

売却時で計算する取得価額は、減価償却費が差し引かれることになります。減価償却費を計上するほど、取得価額が大きく減少するため、売却時の譲渡益が発生しやすくなります。そのため、売却時の価格が購入時の価格を下回ったとしても、減価償却がそれ以上だと譲渡所得税を支払うことになりかねません。

 

節税効果は徐々に薄れる

新築区分マンションは耐用年数が47年と長く、節税効果もそれだけ長く続きます。しかし経費として計上できるローンの金利部分(土地分は除く)は年とともに減少します。つまり節税効果は年々薄れるということです。

購入時の試算では収支がプラスとなっても、節税効果が次第に薄れる点には注意しなければなりません。購入時での収支には現れないメンテナンス費用なども、築年数の経過によりかさむようになります。そうなれば家賃も次第に減少していくでしょう。

このように節税効果が薄れて家賃収入も減少し、逆に出費が増えると収益性は悪化していきます。その点を考慮したうえで、新築区分マンションを節税目的で購入するかどうかを検討しなければなりません。

 

融資が受けられなくなる

「節税対策」や「将来の年金代わり」をはじめ「月々●●円で資産が持てます」などのキャッチコピーで区分マンションがおすすめされるケースがあります。

しかし、よく考えてみれば「月々●●円」持ち出ししていることがわかります。また、不動産投資で利益ではなく損失を出しているため、所得税が一部還付されるのです。所得の高い高属性の方であれば所得税も高税率なため、還付金はメリットとして感じられますが、本当に得しているのでしょうか?

例えば、節税目的で始めた新築区分マンション投資は、ローンの支払いに管理費・修繕積立費といった支払いが月々の家賃収入を上回るケースがほとんどです。 ローンを支払うとそのマイナス部分がかなり大きなこともあるので、節税した効果と、その新築物件を買った投資の赤字、通算して考えてみると損をしているケースが大半です。これでは、不動産投資をやっている意味がありません。

また、収支がマイナスの物件を所有し続けても、ローンを完済(全額返済)するまでは、「将来の年金代わり」にはなりません。

ひどいケースになれば、収支がマイナスで担保評価の低い区分マンションを持っていることで債務超過となり、次の不動産投資に対する融資が受けられなくなることもあります。このような状況では、収支(利回り)の良い優良物件を購入し、新築マンションのマイナスを補塡しようと考えても融資が受けられず、どうにもなりません。損をしてでも売却するしかないのです。このような状態に陥っている高額所得者の方が、実は意外と多いのです。

 

節税対策にはどのマンションが向いている?

それでは上記をふまえて、節税対策用に購入するマンションの気を付けるべきポイントや、どのような物件が向いているのかを説明します。

 

①キャッシュフローと将来の資産価値を見極める

②賃貸需要の多いエリアのマンション

③中古マンション

④高層マンション

⑤少ないローン負担で購入できるマンション

 

 

キャッシュフローと将来の資産価値を見極める

すべての新築区分マンションが悪いわけではないので、「節税対策」「将来の年金代わり」「月々●●円で資産が持てます」などの営業トークに惑わされず、しっかりとキャッシュフローや将来の資産価値を見極めてから購入を判断しましょう。

例えば、立地の良い入居者ニーズが見込める場所で、新築プレミア価格ではない物件であれば、購入時からの価格下落は低く、資産価値も維持できます。この際、「都心だから」などの言葉にも惑わされないようにしましょう。どんなに良い立地でも、新築プレミア価格で購入したら、数年で資産価値が下落してしまうからです。また、人気の場所でも供給過多になれば価格は下落するので注意が必要です。

このような視点は、不動産投資を行う上で、どんな物件でも共通のチェックポイントとなるので参考にしてください。

 

賃貸需要の多いエリアのマンション

前記のように、節税目的であっても物件選びでは賃貸需要の多いエリアを選ぶことが重要です。賃貸需要が多ければ、家賃収入を安定して得られるので、必要に迫られて売却する理由なども無くなります。

築年数が古くなれば減価償却費も相当に計上するため、売却時における取得価額も低くなります。その結果、譲渡所得税が発生することにもなるでしょう。

しかし、売却しなければそのような税金は発生せず、収益を生み続けます。譲渡所得税を気にする必要がなければ、減価償却費を目一杯計上して節税効果を享受できます。

そのように売却せずに収益を生み続けるためには、賃貸需要の多いエリアの区分マンションを選ぶことがポイントになります。

 

築浅の中古マンション

中古マンションは耐用年数が築年数により変わります。そして減価償却費は、取得価額と定額法による償却率により算出します。償却率は耐用年数が少なくなるほど大きくなるので、築年数が古いほど減価償却費は基本的に大きくなります。

減価償却費が大きくなれば計上できる経費が多くなるので、節税効果も高くなるというわけです。もちろん、中古マンションは修繕などの維持費もかかるので、節税効果だけで投資対象としての良し悪しは判断できません。あくまでも節税を含めた収益性を判断して、どの程度の築年数であれば得をするのかを考える必要があります。

築年数が古くなるとメンテナンス費用の負担も大きくなります。そこで節税対策として購入するのであれば、例えば築浅の中古マンションなどが候補に上がります。

 

高層マンション

節税効果はマンションの種類によっても異なります。低層マンションよりも高層マンションのほうが節税対策に向いています。これはマンションの取得価額における、建物分の割合が多いのが理由です。

例えば、同じ敷地面積に建っているマンションで、「5階建て」と「15階建て」の2種類があるとします。そしてその部屋数は、「15階建てマンション」が「5階建てマンション」の3倍あるとします。

この場合、15階建てマンションの土地保有率は、5階建てマンションの1/3となるため、土地の取得価額もそれだけ少なくなります。

建築費用は単純比較できませんが、15階建てマンションのほうが5階建てマンションよりも共有部が増えることから高くなるでしょう。つまり取得価額のうち土地分は少なく、建物分が多くなるため、減価償却費も多く計上できるというわけです。

 

少ないローン負担で購入できるマンション

不動産投資は自己資金が少なくてもローンを組むことができます。しかし、節税効果を高める目的であれば、ローン負担はなるべく少なくしたほうがよいでしょう。というのも、ローン返済の金利部分が経費として計上されるため、年数の経過によりその額は少なくなるからです。

例えば、課税所得が高いという方、節税効果を優先したいという方は、ある程度の自己資金を投じて購入できるマンションがおすすめです。返済額が少なければ、耐用年数がゼロとなり、節税効果がなくなった後でも収益を生み出しやすくなります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。新築区分マンション投資は100%失敗するというわけではありません。しかし、節税効果を期待できるものの、債務超過に陥りやすい点には注意も必要です。

もちろん課税所得が相当に高ければ話は別ですが、収益面でのリスクがあることは否めません。また、次の投資にも支障をきたす場合があります。

純粋に節税目的での不動産投資を考えるならば、収益性を加味しつつ、築古1棟アパートなどの選択肢もあるため、新築区分マンションこだわらずに探すのもよいでしょう。