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物件選びで注意すべき「違反建築物」や「既存不適格物件」の違いを解説

既存不適格物件 違反建築

今回は、違反建築物や既存不適格物件に該当するそれぞれのケース・違いをはじめ、投資する上での注意点などを解説します。

市場には、非常に魅力的な利回りで流通している中古物件を目にすることがあります。
しかし、その物件は「違反建築物」や「既存不適格物件」の可能性もあり、物件選びの際には注意が必要です。

正しい物件選びの知識としてお役立てください。

 

「違反建築物」「既存不適格物件」とは

違反建築物とは

建物をつくる際には「建築確認申請」を提出し、行政の許可および工事中から検査を受けて、建物完成時に「検査済証」を取得しなければなりません。

 

「建築確認申請」・・・建物を新築する際には、行政に対して「この場所にこんな建物を建てますよ!」と申請が必要です。行政は、申請された内容を確認し、問題がなければ「建ててもいいですよ!」と許可(建築確認済証)を出します。

「検査済証」・・・建物が完成したら工事完了届を提出し、行政の完了検査を経て、合法的に建築物だという証明をしてもらいます。

 

また、一定の増改築・用途変更等についても同様な手続きが必要です。

この手続きをせずに新築した建物や増改築・用途変更等を行った建物は、「違反建築物」となります。
つまり、違反建築物とは法令に違反した違法とされる建築物です。

違反建築物は現行法令に違反しているため、「当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限」等の命令を受けることになります(建築基準法9条)。

 

既存不適格物件とは

既存不適格物件は、違反建築物や欠陥住宅とは異なるものとして区別されます。

既存不適格物件とは、建物の工事開始時点の建築基準法や条例等の規制に適合(合法)していた建築物が、その後の法令の改正により現時点では合法となっていない建築物のことです。

建築基準法は、建築物に関して「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準」を定めたものであり、建築物は一部を除き、この規定に従わなければなりません。

ところが、建築基準法は社会の変化に合わせて頻繁に改正されるため、既存のマンションや住宅の中には現行法令に合わない部分が生じ、改築等の変更が必要になるケースもあります。

改正の度に改築等が要求されると所有者や利用者への影響が大きくなるため、現在合法でない建築物でも、居住や使用を続けても「問題なし」と定められています(建築基準法第3条2項)。

但し、既存不適格物件を増改築する場合には、現時点の法令に適合させる必要があります。

 

違反建築物と既存不適格建築物との違い

前述のとおり、違反建築物とは、建築当時から法令に違反した違法な建築物のため、行政より建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限等の命令を受けることになります。

一方、既存不適格建築物は現行法令に適さない建築物ですが、そのまま利用・居住することが可能であるという点で、違反建築物と異なります。

既存不適格建築物を増改築などすることにより既存不適格を解除する為には、増改築や改修・補強などを施したりと現行の法令に合わせた対処が求められます。

このように既存不適格建築物は、大規模な増改築等をせずに利用するなら法的な問題にはなりませんが、違反建築物はそのままでは利用できないという点に大きな違いがあるわけです。

 

違反建築物となるケース

違反建築物や既存不適格物件は築年数が古い物件に多く見受けられます。
物件がどのような条件・状態のときに違反建築物や既存不適格建築物となるのかを確認していきましょう。

 

無許可、または建築確認申請の内容と異なる建物を建てたケース

例えば、無許可で建物を建ててしまったケースや、木造2階建ての建築確認申請をし、3階建てを建築したケースなどがあります。
このような物件は検査済証が発行されていませんので、検査済証のない物件となります。

 

建物建築後に敷地の一部を売却したケース

建築確認申請上の敷地(例えば、駐車場や緑地部分など)を一部売却することにより、許可を受けた敷地面積が減少し、建ぺい率や容積率が上限を超えた場合などのケースです。

 

無許可、または許可を受けた内容と異なる増改築や用途に使用しているケース

駐車場として許可を受けた1階部分を店舗として利用しているケースなどがあります。
また、マンションのベランダ(窓先)などの空地(避難経路)に駐輪場を増設してしまった場合なども、違反建築物になります。

このように、違反建築物は検査済証の有無だけでは判断できません。
検査済証があっても用途変更せずに住宅を店舗等に利用していたり、共用部分を住宅に改修して貸している物件なども法令上問題となる場合があるため、注意が必要です。

 

既存不適格物件となるケース

用途地域の設定や変更

用途地域が設定されていない地域が新たに住居専用地域などに設定された場合、設定前から建っていた工場等は既存不適格物件になります(都市部では都市計画に基づき12種類の用途地域を定めることができ、各種の該当地域では、各々に建ぺい率、容積率や高さ制限などが設定されています)。

 

建ぺい率や容積率の変更

建築当時は「建ぺい率 規定あり」「容積率 規定なし」であっても、その後の改正で容積率が規定されると既存不適格物件になることもあります。

また、用途地域の変更により容積率も変更されてしまう場合も同様です。

 

接道距離・隣地間距離の制限に関する変更

道幅の拡張により敷地が減少し、容積率が現行規定を満足できなくなる場合です(※用途地域により建物は敷地境界線から1メートルまたは1.5メートル以上離して建築しなければならないケースがあります)。

 

高さ制限に関する変更

斜線型の高度地区、道路斜線制限、容積率、建ぺい率、都市計画などにより建物の高さが規制されて変更される場合です。
例えば、道路斜線制限は、敷地が接する前面道路の反対側の境界線から一定の勾配で記された線(斜線)の範囲内(内側)が家の建築できる高さの上限となりますが、用途地域によりその勾配値が設定されています。
用途地域の変更があれば、道路斜線制限も影響を受け、建築物の高さも影響を受けることがあります。

日影規制の適用

日影規制が導入されたことにより、現状の建物の規模や形状では再建築できなくなる場合です。

 

既存の建物が新耐震基準を満たさなくなっている場合

1981年の建築基準法の改正により耐震基準が改正されました。

例えば、木造戸建住宅の場合、新耐震基準では接合部の種類が指定されていますが、旧耐震基準の時代は接合部に金物が使用されていないケースがあり、それらは既存不適格建築物となります。

 

新耐震基準とは?築古物件を選ぶリスク対策と注意点を解説

 

違反建築物への投資は原則避けるべき

違反建築物は、どんなに利回りが良くても不動産投資初心者や副業で賃貸経営を行う方には原則避けるべきです。

違反建築物は行政より是正措置命令が出されるリスクがあります。
また、違反建築物であることが判明した場合、銀行の融資が受けられない可能性があります。

簡易に・大きな予算をかけずに改修して適法状態にできる場合や、建物を取り壊してアパートやマンションを新築する場合以外はお勧めできません。

 

既存不適格物件を購入時に注意すべきポイント

既存不適格物件は一概に悪いとは言えません。
例えば、古くから存在する既存不適格物件は立地のいい場所に建築されていることもあります。

一般的には、商業施設・戸建住宅・アパート・マンションなどは、交通の便が良く、好立地な場所から建築されるため、既存不適格物件は駅の近郊にあることも多く、建物の価値は低くても土地の利用価値が期待できます。

一方で、購入後に予期せぬ費用発生や出口戦略に支障をきたす場合もあります。
既存不適格物件を購入する際には、以下の4つのポイントに注意してください。

 

①増改築・再建築等の注意点

②建物の価値やメンテナンス等での注意点

③融資面の注意点

④売却する際の注意点

 

増改築・再建築等の注意点

既存不適格物件の場合、現状の規模や形状では建て替えできない可能性があるため事前の物件確認が不可欠です。

旧耐震基準でつくられた既存不適格物件で新耐震基準を満たしていない場合、増改築や用途変更等を行う際には耐震面での問題が懸念され、耐震補強や老朽化対策の費用も考慮する必要があります。

また、既存不適格物件に投資した後、建て替えが必要となった場合に現状と同規模の建物を建てられず減築することになれば、採算が取れない可能性もあります。

物件によっては再建築不可というケースもあり、老朽化が進めば解体して更地で売却しなければならないこともあり、入居者に立ち退き等を要求する必要性も出てきます。

区分所有で投資している既存不適格物件のマンション等で建て替えが必要となった場合でも、様々な理由から実質的に再建築できないケースもあり得ます。

このような物件では買い手が付きにくく売却が困難になりやすいため、使用可能な期間に投資資金を回収する必要があり、より慎重に投資計画を立てることが重要です。

 

建物の価値やメンテナンス等での注意点

既存不適格物件は、建物自体が古いことも多く、法改正により増改築等での制約を受けやすいため、資産価値が低い傾向にあります。

古い建物は修繕の規模も大きく、回数も多くなりやすいため、運用コストが増大する恐れがあります。

最初は、取得費用が安く、利回りの高い魅力的な投資物件に見えても、管理費や修繕費などの運用コストが大きければ逆に負担のほうが重くなることもあるので注意が必要です。

 

融資面の注意点

既存不適格物件は、普通の物件に比べて資金調達が難しくなります。

将来の増改築・再建築などで問題を抱え、収益を生まなくなる可能性もあるため、金融機関からの融資は厳しくなります。場合によって融資を受けられない場合もあります。
そうなれば説得力のある担保を提供するなどの工夫をする必要も出てきます。

 

売却する際の注意点

既存不適格物件は、通常の物件に比べてどうしても売却しにくくなります。

「建て替えの際に減築する必要がある」「現状より低くする必要がある」「再建築ができない」などの制約を受ければ、物件の価値が低くなり、買手が付きにくいからです。

つまり、出口戦略に注意する必要があります。

既存不適格物件を売却するには、既存不適格物件を現行の法令等に合わせてどのようにリフォームできるか、どうすれば有効かつ魅力的な利用ができるか、などの提案力が問われます。

築古物件の売却実績が豊富な不動産会社なら、既存不適格物件の買い手を探し出し、その魅力を十分にアピールすることが期待できます。

 

既存不適格物件で高利回りの不動産投資を実現する方法

既存不適格物件が優位に働くケースについてご紹介します。
既存不適格物件の再建築不可の物件は、接道要件が満たされていないケースが一般的な理由です。
安く購入することができるため、高利回りでの不動産投資が実現できる可能性があります。

一方で、建物が利用できない状態になれば、収益を生み出すことができなくなります。
それでも固定資産税・都市計画税は納付しつづけなければなりません。

建物を再建築することができない土地のため、隣地を購入して再建築できる土地にするか、隣地の土地所有者に購入してもらうなどの工夫をしなければ、負の資産を所有し続けることになってしまいます。

違反建築物への不動産投資で高利回りを実現している一方で、プロや経験者でも痛い目に合うリスクがあり、一見、高利回りで魅力的に思えますが、不動産投資初心者の方や副業の方にはお勧めできません。

 

なぜ利回りが良いのかを冷静に見極める

利回りが良いからといって物件に飛びつくのではなく、なぜ利回りが良いのかを冷静に見極めることが大切です。

前述のように、違反建築物や既存不適格物件のことを理解せずに利回りだけで物件選びをしてしまうと、後々大きな費用が発生したり、トラブルになったりする可能性があります。

つまり、「利回りが良いのは何か問題があるから」と疑ってみることも必要です。
利回り、収益率や返済比率などの数値や指標だけでは把握できない、対象物件の本質(良し悪し)を見極める力も不動産投資には重要な要素です。

 

違反建築物や既存不適格物件を見分ける必要がある

後々の問題を起こさないようにするためには、違反建築物や既存不適格物件を見分ける必要があります。以下の点を業者にヒアリングして確認しましょう。

 

①検査済証の有無を確認する

②建築確認図面と現況の用途・利用状況を確認する

②新築当初と用途が異なる場合は用途変更手続きなどを確認する

③重要事項説明書および売買契約書などで確認する

 

不動産投資で中古アパートに潜むリスクとは?正しい物件の選び方

 

まとめ

既存不適格物件は違法な建物ではないため、大規模な増改築等をせずに利用するには問題がありません。取得費用・固定資産税等も安く、好立地にあり利回りの高い魅力的な物件も少なくありません。

しかし、現在の法令等により再建築や増改築などが困難になるケースもあり、出口戦略に大きく影響がある物件もあります。安易に再建築不可などの物件を選ぶと大きな損失に繋がりかねません。

所得税の節税対策などで中古・築古物件購入を検討する際は、十分な調査とリスクを回避するための計画を慎重に検討することが大切です。