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賃貸併用住宅なら家賃収入で住宅ローンが返済できる!メリット・デメリットも

賃貸併用住宅 不動産投資

今回は、自宅を建て替える場合に、賃貸併用住宅にするメリットやデメリット、賃貸併用住宅に建て替える際の注意すべきポイントを詳細に解説します。

自宅の建替えは大きな資金を必要とすることから、住宅ローンの負担増で家計が苦しくなるのではと不安になる方もいるでしょう。
毎月の家賃収入を住宅ローンの返済に充てることができる賃貸併用住宅のメリット・デメリットを理解し、是非検討してみてください。

 

賃貸併用住宅とは

賃貸併用住宅とは、一つの建物に所有者の自宅部分と賃貸部分の両方を組み込んだ住宅をいいます。例えば、1階部分を所有者(オーナー)の自宅にし、2階部分を貸し出す場合などです。1つの住宅に、マイホームという「居住性能」と賃貸物件という「収益性能」の2つの機能を持たせることで、家賃収入を得ながら生活することが可能になります。

 

賃貸併用住宅のメリット

一般の住宅ローンは、不動産投資ローンに比べ金利が安く設定されています。そのため賃貸併用住宅の大きなメリットとしては、「金利が安い住宅ローンを利用できること」が挙げられます。

 

住宅ローンが利用できる/融資をうけやすい

自宅の建替えで賃貸併用住宅にする場合は、土地を所有しているため融資を受けやすいメリットもあります。住宅ローンを利用する場合は、賃貸併用住宅であっても、自宅部分については住宅ローン控除の対象になる場合があります。住宅ローン控除の対象にするには、「住宅の床面性が50㎡以上で自宅部分の面積が住宅全体の1/2以上」などが条件となります。

賃貸併用住宅として住宅ローンの融資対象になるか、また住宅ローン控除の対象になるかについては、事前に金融機関で確認しておくと良いでしょう(なお、どのような形式が賃貸併用住宅として認められるかについて金融機関によって異なり、例えば、「自宅部分の面積が50%以上」でないと賃貸併用住宅として認めないケースや、「25~50%未満」でも認めてくれる場合などがあります)。

 

家賃収入で住宅ローンを返済できる

賃貸併用住宅なら月々の家賃収入で住宅ローンを返済していくことも可能です。一般の住宅建設では、毎月の給与から一定額を住宅ローンの返済に回していきますが、賃貸併用住宅の場合は、極端な空室の長期化などがない限り、家賃収入を安定的にローン返済に充てることができます。そのため給与収入はそのまま他の用途に使えるなど、余裕を持った家計運営も期待できます。

 

相続税対策になる

相続税額は、相続財産の評価に基づき算出されます。相続財産を評価する際は、アパートのような賃貸物件は通常の所有不動産(自宅等)に比べて評価額が下がり、賃貸併用住宅の賃貸部分についても同様です。そのため通常の自宅を相続する場合に比べ、賃貸併用住宅では相続時の節税効果が期待できます。

 

①土地の評価額

土地に建っている家を貸している場合、評価額はおおむね20%程度低くなります。さらに、相続人が賃貸経営を承継する場合は、「小規模宅地等の特例」により200㎡までは評価額が50%下がります。

 

②建物の評価額

建物評価額の算出では「固定資産税評価額」が用いられますが、建物を貸している場合はその評価額が30%減少します。

土地・建物の評価額に対して税率がかけられ相続税額が算出されるため、不動産投資は相続税対策として大きな効果が期待できるというわけです。賃貸併用住宅では、賃貸部分については自宅部分と区分けされ、節税効果が見込めます。

 

固定資産税対策になる

土地の上に住宅を建てると、固定資産税・都市計画税の算定で課税対象となる額(課税標準額)が減額されるため、税金が安くなります。これを「小規模住宅用地の特例」といいます。

 

【小規模住宅用地の特例による課税標準額の減額】

区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分 評価額×1/6 評価額×1/3
一般住宅用地 小規模住宅用地以外の住宅用地 評価額×1/3 評価額×2/3

(注)税額は、課税標準額×税率で算出される

 

住宅1戸につき200㎡の面積部分までは「小規模住宅用地の特例」が適用され、税金が大幅に安くなりますが、200㎡を超える部分は一般住宅用地の扱いになり税金が2倍になります。

このことから、1戸だけのマイホーム(一般住宅用地)より、戸数が多くまとまっているアパートや賃貸併用住宅の敷地の方が有利になる場合もあります。例えば、住宅部分が1戸、賃貸部分が5戸の賃貸併用住宅では、総戸数6戸分の面積が小規模住宅用地の特例対象となります。すなわち、200㎡×6戸=1,200㎡までは、上表上段の小規模住宅用地として税額が安くなります。

 

管理の目が届きやすい

賃貸併用住宅では、自宅部分と賃貸部分が物理的に隣接しており、生活上でもオーナーと入居者が同じ敷地内で暮らすことになります。オーナーの生活エリアの中に建物の賃貸部分があり入居者も生活していることから、賃貸管理が非常にやりやすくなります。

例えば、建物・設備の破損箇所や老朽化などを早く発見できたり、建物・設備の修繕工事を行う場合も、オーナーは同じ敷地内で生活しているため、施工業者の作業状況を随時チェックすることも可能です。入居者の家族状況や生活上の変化についても把握しやすく、家賃滞納にもすぐ対応することができます。

 

賃貸併用住宅のデメリット

賃貸併用住宅は、一般住宅と比較して下記理由から建築費が高くなる傾向にあります。

 

①建築延べ面積が広い

一般住宅は、自分が居住する住宅のみを建てればいいのに対し、賃貸併用住宅は、自宅部分に加え賃貸部分も建設する必要があるため、建築延べ面積が広くなります。

 

②設備費用がかかる

賃貸部分は1戸ごとに独立した住居としての機能を備える必要があるため、キッチン・浴室・トイレ・洗面所などを配置し、給湯器やエアコンもそれぞれ備え付ける必要があります。

 

このように建築費が多くかかるため、住宅ローン借入額も一般の住宅ローン以上の額になりやすく、それなりの返済負担となってきます(ただし、家賃収入を返済に回すことが可能です)。

また、「売却しづらい」というデメリットもあります。不動産投資では、様々な理由で賃貸経営から撤退することがありますが、一般のアパート経営では、アパートを投資用物件として入居者が入ったままの状態で売りに出すことが可能です。売却価格がいくらになるかといった問題はありますが、特別に悪い事情を抱えた物件でない限り買い手は現れます。

一方、賃貸併用住宅の場合は、オーナー自身がそこで生活していることから、まず自分の転居先を探さないと住宅を売りに出すことができません。オーナーが売却後に賃借人として住み続けるのを条件に売りに出す場合もありますが、例外的なケースといえるでしょう。

また、オーナーが転居先を確保したとしても、全戸が賃貸用として作られたアパートに比べ、賃貸併用住宅は自宅部分が付いているため、収益力の面で見劣りすることもあります。売りに出した場合でも、1棟まるごとアパートの建物と比較すると、高く売るのが難しい場合があります。

 

賃貸併用住宅にする際の注意点

賃貸併用住宅を運営する際の基本は、アパート経営と同じです。賃貸経営が成功するか否かは、物件が持つ固有の条件(物件の立地・間取り・築年数・周辺環境)に大きく左右されます。

 

立地による入居需要を調べる

物件が持つ固有の条件のうち、立地・周辺環境などは努力しても解決できない要素です。賃貸併用住宅の敷地が都心や最寄り駅に近いのか、どのような交通手段があるのか、周辺の治安や衛生状態・騒音などの条件は、入居者が厳しい目で審査するポイントです。

自分の敷地が賃貸経営で成功できる立地・周辺環境にあるかないかによって、賃貸併用住宅を建てるか、それとも普通の住宅にするかが決まります。そのため、賃貸併用住宅の建設を検討する段階で、下記のようなポイントについて入居需要を調べることが大切です。

 

  1. ターミナル駅まで直結しているなど交通アクセスが良い
  2. 最寄り駅から徒歩10~15分圏内
  3. スーパー、コンビニなど日用品が購入しやすい
  4. 閑静な住宅街にある
  5. 工場・下水処理場、墓地、風紀を乱すお店・施設などが近くにない

 

なお、自宅の建替えをどのような方向性にするかについては、信頼できる不動産業者の意見やアドバイスを貰った上で判断するほうが良いでしょう。

 

プライバシーを確保する

賃貸併用住宅では、オーナーと入居者が同じ敷地内で生活することになるため、お互いの生活パターンが把握できてしまいます。また、家賃の滞納やゴミの出し方などを巡ってトラブルが生じると、顔を合わせるのが気まずくなったりもします。

お互いのプライバシーを尊重できるようにするには、例えば、普段は顔を合わせないように自宅部分と賃貸部分について道路と出入りする動線自体を別にしたり、床材として防音性の高いクッションを敷き詰めるなど、必要な時以外は相手の生活に細かく干渉しない配慮と対策を施しましょう。

 

自宅と賃貸両方にノウハウのある業者選び

あなたの暮らしの場である自宅と、事業である賃貸が併用されている建物になるため、あなたの快適な暮らしを実現する空間と、賃貸事業を成立させるための経験とノウハウが必要です。

例えば、自宅はあなた自身が暮らす場所なので、あなたの想いや願いを予算に応じて提案してくれる力が必要です。一方で、賃貸部分はあなたが暮らす場所ではないため、事業性を加味し、入居者ニーズに最適な計画を提案してくれる力が必要です。

このように、設計段階での配慮が必要となりますので、自宅と賃貸両方に経験・ノウハウのある設計担当者がいる業者選びを心がけましょう。

 

まとめ

賃貸併用住宅では、「家賃収入で住宅ローンを返済できる」「節税対策ができる」など、通常の自宅建て替えにはないメリットがあります。しかし、賃貸物件の管理や入居者との人間関係が自分の日常生活の一部になることから、プライバシーの確保が課題になってきます。

賃貸併用住宅経営を始める際は、まず自分の敷地が入居需要の見込める立地条件を満たしているかなど、メリットとデメリットについて十分に調査・検討することが大切です。その上で、設計担当者との十分な打ち合わせにより、あなた自身の暮らしが守られる計画を実現しましょう。