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3点ユニット物件の空室対策とは?投資効率に着目した事例をご紹介

3点ユニット 対策

3点ユニットとは、バス・洗面・トイレが一体となった、ビジネスホテルのようなスタイルです。

1980年代後半~1990年代初頭のバブル期に建設された、ワンルームアパートやマンションなどの物件に多く採用されました。このような物件は、一部屋当たりの広さも20㎡以下で築20年以上の古い物件が大半と言えます。

住宅供給が過剰と言われる現在では、バス・トイレ別で部屋の広さも20㎡以上が一般的な中で、特に人気がない間取りの筆頭ではないでしょうか?家賃を下げても入居者が決まらず、長期空室になっている物件も少なくありません。

今回は、あまり費用をかけずに入居率を確保できる、効果的な空室対策をご紹介します。3点ユニットにお悩みの大家さんは、是非ご参考ください。

3点ユニットは、流行したバブル時代の遺産?


バブル当時の賃貸市場は、「借りていただく時代」ではなく「貸してあげる時代」でした。
入居者本意ではなく建物をつくる施主や設計・建設会社の意向で供給されていました。賃貸住宅の供給戸数も今ほど多くなく、入居者が物件を選べる時代ではなかった背景もあり、入居者ニーズは無視されてしまいます。その結果、ワンルームマンションが大量に供給されました。

多くの戸数を確保しようと計画したため、一部屋当たりの面積も20㎡以下と狭くし、バス・トイレ・洗面を一体的に配置できる3点ユニットが主流でした。更に、洗濯機置場もバルコニーなどの屋外や共同で利用するスペースに設置するものもあり、今では不便で人気のない間取りの筆頭です。

 

3点ユニットバスのデメリット

3点ユニットバスは、欧米では当たり前の洋式スタイルですが、日本人の生活スタイルには馴染みにくいため、住まいとしては、あまり受け入れられません。出張で数日宿泊するビジネスホテルならば良いのでしょうか、住まいとしては敬遠される要素です。

入居者からは敬遠され、入居者募集サイトなどでも「バス・トイレ別」という表記もなされていることから、入居者が部屋探しをする際に重視するポイントでもあることが伺えます。

【3点ユニットが敬遠される理由】

  • 体を洗った後は、浴槽のお湯が泡だらけになって浸かれない
  • シャワーだけなら浴槽内で体を洗うことは可能ですが、ゆっくりお湯に浸かれない
  • 浴槽から出て体を洗えない
  • 仮に浴槽の外で体を洗えば、トイレの便器や床をはじめ、トイレットペーパーやタオルなども濡れてしまう
  • 一般的には温水便座(ウォシュレット)が設置できない
  • そもそも、日本人には浴槽内で体を洗うことが馴染まない

では、入居者に人気のないと言われる3点ユニットの老朽化アパートでも、大きな資金をかけずに家賃をUPして満室にすることは出来ないのでしょうか?

実は、工夫次第で十分可能性があります。

今回は、その可能性についてまとめてみました。入居者が決まる・決まらないのは、建物の仕様だけではありません。お金をかけて新しくすれば入居者が決まるわけではありません。

家が余っている時代、どんなに部屋を新しくしても新築物件にはかないません。部屋を新しくするのではなく、暮らすニーズに見合った価値にすることが重要です。これは、リフォームではなく、リノベーションの考え方です。

空室対策だけじゃない!リノベーションで新たな付加価値をつける方法

バス・トイレ分離などの工事は本当に必要か?

一般的に、入居者は新しい部屋を好むので、部屋を新しくリフォームしましょうという話が出ることが多いと思います。しかし、3点ユニットでは、バス・トイレ分離工事に大きな費用がかかります。それは、「修繕費にお金がかかる=業者のビジネスになる」ためです。

例えば、バス・トイレ・洗面を分離させるには、工事の諸条件や内容にもよりますが、少なくとも50万円~100万円以上は必要になるのではないでしょうか。工事費を家賃で回収するにも1年以上は必要となるケースが大半で、投資に対する回収(費用対効果)が悪いと言わざるを得ません。

もう少しコストダウンできる、浴室とトイレ部分を壁で分離する方法など、様々な製品や工事が行われていますが、それでも数十万円は必要です。

その他、部屋全体を改修するとなると、もっと大きな資金が必要となります。

そのため、工事資金の回収年度も2年以上必要となる可能性が十分考えられ、決して効率的な投資(費用対効果)とは言えません。そもそも、部屋自体が狭いため、分離工事をすることが難しいケースも多々あります。

では、この場合には、諦めるしか方法がないのでしょうか?

3点ユニット物件の空室改善例

物件の入居者ターゲットを変える

例えば、入居者ターゲットを学生向けや単身社会人ではなく、外国人の方々など浴槽につかる文化のない方々を対象にする方法も考えられます。また、沖縄出身者にも浴槽につかる習慣がない方は多いようです。
入居者のターゲットを変えることで、入居者募集に3点ユニットが大きなデメリットにはならない可能性があるのです。

3点ユニットバスの最低限の改修と演出で工夫する

工事範囲の工夫が一番重要です。
「直すべきところは直し、妥協できるところは妥協する」です。
ターゲットとする入居者に共感いただける部分に対して、重点的にお金をかけることが大切です。ユニットバス部分だけでも、おしゃれな雑貨や植物を置いたり、清潔感のあるホテルライクな空間を創り上げることで、印象は各段にアップするでしょう。

部屋を家具付きにする

3点ユニット物件は単身者向けの賃貸住宅ですから、そもそも長期入居は考えにくい暮らし方と言えます。初めての一人暮らしをする方が対象であれば、家具付きにする方法も考えられます。

引っ越しする際に家具一式購入する必要がなくなり、その支出を抑えられるのであれば、他の物件との差別化にもなります。初めて一人暮らしを始める学生向けならば特に重宝されるかもしれません。通学の短期間だけ生活し、卒業後の住居は未定であれば、短期生活のためだけに家具一式を購入することは、無駄な出費になるからです。

入居者ニーズを把握した失敗しないリノベーション戦略3つのポイント

築26年の郊外アパートの賃料を50%アップさせ、満室にした具体的事例

実際に築26年以上経過した郊外の木造アパートで、8戸中4戸が長期空室状態の物件がありました。
このアパートでは、リノベーションして、最大50%家賃をアップさせたにも拘らず、部屋は満室になりました。

【実際に実行したリノベーションの内容】

  • 高い材料や素材を使用するのではなく、部屋のテイストを統一
  • 家具・家電付き
  • キッチンにガスコンロを設置(ガスコンロがない場合)
  • 建具を取り外し、押し入れなどの収納空間も広がりを演出
  • 収納ベッドを設置するなど、立体的な利用空間を創出
  • 3点ユニットの照明を明るくする
  • 3点ユニットに横長の大型鏡を設置
  • 日常的に手が触れるドアノブ・スイッチ類の一部を清潔かつオシャレなものに改修
  • キッチン・洗面などの金具をオシャレなものに交換
  • 棚を設置し、小物収納スペースを確保
  • 壁に一部アクセントクロス、有孔ボードを採用
  • キッチンは交換せず、塗装などで補修
  • 室内照明はライティングレール+ライト
  • 床の改修

3点ユニット_対策_リノベーション 3点ユニット_対策_リノベーション

部屋の傷み具合により金額は異なりますが、退去後の原状回復費用も含め、一部屋当たり20万円~40万円の費用でリノベーションを行いました。

家賃は月々3万円台でも空室だったものが、約5万円前後で満室です。

もちろん全ての工事内容をしなければならない訳ではありません。大切なことは「この場所に暮らす入居者ニーズがどこにあるのかをしっかりと考える」ことです。

そのニーズに見合う価値に再生(リノベーション)し、直さなくても良い部分はお金をかける必要はありません。

物件の状況によっては、もっとお金をかけずに済む可能性も十分考えられます。

【実行した事例の中で共通する大切なこと】

  • 高い材料や素材を使用するのではなく、部屋のテイストを統一すること
  • 日常的に手が触れるドアノブ・スイッチ類の一部を清潔かつオシャレなものに改修
  • 床と照明

家賃を下げて募集することのデメリット

一般的に3点ユニット老朽化アパートを所有されているオーナーは、以下のお考えの方がほとんどです。

  • 空室だらけで家賃を下げても入居者がなかなか決まらない。
  • そろそろ建て替え時か?
  • 売却しようか?
  • バス・トイレ別に修繕工事しようか?

しかし家賃を下げて入居者を募集すれば、修繕費を捻出するほどの収益が見込めなくなります。さらには、家賃を値上げすることも難しくなります。近隣の競合物件も賃料を下げてくる可能性もあります。
また、付近相場よりも低い家賃で募集することは、入居者の質が低下する問題もあります。悪循環でさらに老朽化が進み、ますます優良な入居者が決まりづらい状況に陥ります。
長い時間が経過すると、建物が存在する地域の賃料相場が下落していく可能性もあり、市場そのものを悪くしてしまいます。つまり、資産価値を下げることにつながります。

安易に、むやみに家賃を下落させることは好ましくありません。
諦めず、その前にリノベーションという方法を検討してください。

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まとめ

入居者に人気のない3点ユニットの古アパートで、空室や家賃の下落にお困りの大家さんは多いのではないでしょうか。

また、収支を改善しようとしても、業者からは3点ユニットを問題視され、家賃の減額や修繕を進められる方も多いのではないかと思います。

安易に家賃を下げることも問題です。
また、バス・トイレを別々にする工事は大きな費用が必要です。

家賃を大きく値上げでき、資金回収年度とのバランスで投資効果が高いのであれば問題ありませんが、実際には非効率の投資となるケースが多いのです。

今回のような事例など、工夫次第でまだまだ改善の可能性は十分ありますので、3点ユニットで諦める前に、発想を転換してみて下さい。

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