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老後に2000万円では足りない?不安を解消する3つの方法

老後 2000万円

今回は老後に充実した生活を送れるようになるための資産運用、特に不動産投資について考察していきます。

日本の少子高齢化が著しく進展した結果、「賦課方式」と呼ばれる現行の年金制度では破綻するのではないかと危惧されています。

賦課方式とは、現役で働いている世代が負担している年金保険料を基本財源に高齢者世代への年金給付に充てる方式をいいますが、「年金だけで充実した老後生活を送れるか」という問題は、最近特に取り上げられています。

財務省の報告書では、2014年の段階で、65歳以上の方1人を20歳以上64歳以下の現役世代2.2人が支えている状態でしたが、2025年になると「65歳以上の高齢者世代1人を20歳以上64歳以下の方1.8人が支える」と推計されています。

現役世代と高齢者世代のバランスが崩れている状況や、特に最近金融庁が公表した報告書に対するインパクトが非常に大きく、年金制度に対してさらなる不安を抱いた方は多いでしょう。

 

老後に2000万円必要といわれる理由

金融庁が2019年に発表した報告書によると、仕事をリタイアして余生を迎える高齢夫婦世帯をモデルケースとして計算した場合、生活費などの定期的支出が月平均でおよそ26万円、年金などの定期的な収入が月平均でおよそ21万円となっています。

単純計算で毎月約5万円の赤字となり、老後に2,000万円が必要になる理由としているのは、赤字の状態が継続するものとして30年間でおよそ2000万円必要になるからです。

(定期的な収入)約21万円 – (定期的な支出)約26万円 = 約-5万円(毎月約5万円の赤字)

30年 × 12ヶ月 × 約-5万円 = 約-1,800万円

 

年金収入だけでは暮らせなくなる?!

各メディアは金融庁の報告書について連日取り上げていますが、政府は将来にわたって持続可能な公的年金であるとの主張を変えていません。

その大きな根拠は、平成16年に導入した「マクロ経済スライド」という仕組みの存在です。

 

マクロ経済スライドとは何か?

年金は原則として賃金や物価の伸びに伴って支給額も増えますが、その伸びが一定値以上になると年金の給付水準は自動的に調整されます。

年金給付を支える現役世代の数の減少に伴う年金保険料収入の減少、国民全体の平均余命の伸びに伴う給付費用の増加を年金給付の計算に反映させることで、将来にわたって現行の公的年金制度を持続させられるという仕組みです。

 

実際にいくら受給できる?

前年からの賃金や物価の伸び率からマクロ経済スライドによる調整率を減じた部分を年金として受給できます。

平成31年度における受給額は以下のようになっています。

 

  • 新規裁定者(67歳以下)の年金額の例
国民年金※1 65,008円(前年度比+67円)
厚生年金※2 221,504円(前年度比+227円)

※1 老齢基礎年金満額受給の場合:月額ベース

※2 夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額、また夫の平均報酬額42.8万円で40年間就労、妻がその期間すべて専業主婦とした場合

 

厚生年金における所得代替率とは?

厚生年金では所得代替率という概念が用いられます。

所得代替率とは、現役時代の手取り平均収入額に対する年金を受け取り始める年齢(65歳時点)での年金額の割合をいいます。

一方、国民年金の給付額は、保険料の納付月数だけに依存するものであり、厚生年金のように所得の多寡は影響しません。

また、金額ベースで給付を保障するのではなく率ベースで給付を保障することで、賃金や物価の水準にも対応した給付を実現しています。

 

所得の違いで所得代替率は異なる

一般的に所得が高い人の場合には所得代替率が低くなり、所得が低い人の場合は所得代替率が高くなります。つまり所得が高い人はこれまでの貯蓄などで老後の生活を十分賄うことができることが予想され、逆に所得が低い人の場合は自分の力だけで老後の生活を賄うのは難しい傾向があります。

そのため厚生年金では、現役時代の所得の格差よりも高齢者世代の所得の格差を平準化させる所得の再分配の機能を持たせています。

厚生年金のモデル世帯としては40年間厚生年金に加入し、その間の平均月収が厚生年金の平均月収と同額の夫であり、その間専業主婦の妻がいる世帯として議論を進めています。

 

今後の所得代替率の推移について

5年ごとに行われる厚生労働省の財政検証では、所得代替率の推移について複数の所得を例に検証しています。

平成26年におけるモデル世帯の所得代替率が62.7%でしたが、今後の財政検証によれば、景気の回復、労働市場の活性化がみられる状況では、モデル世帯の所得代替率は将来にわたって50%以上を確保する見通しです。

しかし、景気の悪化や、労働市場が閉鎖的な状況になった場合では、マクロ経済スライドにより年金財政のバランスをとった結果として、モデル世帯の所得代替率が50%を下回る見通しです。

将来にわたって最低50%の所得代替率を確保するとの公約を掲げている政府ですが、5年ごとに年金財政を検証で所得代替率が50%を下回るとの検証結果が出た場合には、給付と負担の仕組みを見直すことになっています。

しかし、日本人の長寿化や経済の低成長化を考慮すると、将来も所得代替率50%超を維持していくためには、年金支給開始年齢の引上げ、年金給付水準の引下げ、高齢者を雇用する場の確保、女性の就労促進などが必要であるとの意見があります。

 

老後の不安を解消する、資産運用と備え方

年金だけに頼った生活では充実した老後を送れない可能性もあると政府機関が発表している通り、長期的な視点で収入を確保する新たな手段を模索する必要があります。

例えば株式投資を行う場合には、株価の推移を逐一把握し、売買のタイミングを外さないように心がける必要がありますが、サラリーマンなど普段仕事をしている方の場合、株価の推移を逐一把握できる状況を作り出すのは難しいでしょう。

FXなどについても同様です。
FX(外国為替証拠金取引)とは、外国の貨幣を売買して、相場の価格差で利益を得る取引のことですが、取引対象国の政治情勢や経済政策の動向など確認するべき要素が多岐にわたるため、初心者がいきなりチャレンジすると大きな損失を被りかねません。

 

私的確定拠出年金(iDeCo)

現役世代からコツコツと貯めて、老後に安定した給付を受ける制度として、おすすめできる資産運用の一つに「確定拠出年金」が挙げられます。

確定拠出年金とは、国民年金や厚生年金といった公的年金にプラスして給付を受けることを目的として作られた私的年金制度です。

公的年金の場合、国が掛け金を運用し、のちに年金として決まった金額を受け取ることができますが、確定拠出年金は自分自身で掛け金を運用して、運用の成果に応じた金額を年金または一時金の形で受け取ることができます。

確定拠出年金による運用には税務上の優遇措置が設けられており、掛け金は所得税の計算上、社会保険料控除として所得控除対象になります。

また、受け取る給付について一括で受け取る場合は退職所得として、年金として受け取る場合は雑所得の公的年金等として扱われ、いずれも給料の受け取りの場合よりも所得税が軽減されます。

確定拠出年金にはこの他にも、企業が毎月一定の掛け金を拠出し、従業員が運用を行う企業型DCがあります。

 

NISA

NISAとは、2014年1月にスタートした「貯蓄から投資」の推進を目指して始まった、個人投資家のための税制優遇制度で、通常株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかりますが、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。

2022年8月時点で、NISAは成年が利用できる一般NISA・つみたてNISA、未成年が利用できるジュニアNISAの3種類があります。
・一般NISAは、株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有可
・つみたてNISAは、一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有可
・ジュニアNISAは、株式・投資信託等を年間80万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有可
※ジュニアNISAは、新規投資ができるのは2023年の末まで

少額で行えることや、投資初心者が始めやすい資産形成術ですが、金融庁によるNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について(2022年3月末時点)の、NISA(一般・つみたて)総口座数は1699万口座となり、

20歳以上の人口に対する稼働割合は、1億1540万人÷1699万=14.7% と低迷しています。

これを持って、政府は2024年以降に「新NISA」(仮称)を始めることが発表されています。

 

不動産投資

毎月安定した収入を確保する手段としては「不動産投資」もおすすめです。

不動産投資では、マンションやアパートなどの物件を購入し、賃貸に出して家賃収入を得ながら投資資金の回収を目指します。

物件取得の際は、金融機関から融資を受けるのが一般的で、家賃収入をローン返済に充てますが、完済後はまるごと手取りになるため、老後の生活資金に充てることができます。

不動産投資には様々な種類がありますが、老後の対策として向いているもの・向いていないものがあります。

  • 新築ワンルームマンション投資

マンションの1部屋分を購入して賃貸に出す投資法です。

家賃収入は物件ごとで異なりますが、あくまで1部屋分となるため、そこから毎月の住居管理費や借り入れ返済、それに伴う利子、修繕積立金、固定資産税など諸々の税金を差し引くと、手元に残る資金はあまり期待できません(大きくありません)。

特に、首都圏などの好立地と言われている物件は、価格が高騰して利回りが低くなっているため、増々手残りが期待できない状況になっています。

現在は異例ともいわれる金融緩和政策を取っていることもあり、低金利の最高45年ローンという商品も販売されていて、それをうまく活用することで毎月の支払いを低く抑えることも可能ですが、家賃の下落リスクや空室リスク、修繕費などの費用上昇リスクに耐えられるだけの余裕が見込めないために、新築ワンルームマンション投資は年金収入にプラスして収入を得る手段とはなりにくいでしょう。

このような物件は節税対策として販売されるケースが多く見受けられます。

そのため、物件選びの際には老後の安定収入の確保ができるのかどうか、シミュレーションして見極める必要があります。

一方で、物件購入時の年齢が若い場合には、将来の収入確保という点では一定の期待ができます。

例えば、定年退職までにローンを完済できれば家賃収入からの支出は管理費、修繕積立金、固定資産税などの税金のみの支出となるためです。

家賃相場にもよりますが、月数万円レベルで余剰資金を生み出すことも可能となり、お小遣い程度の収入は手元に残ることになります。

 

  • 中古ワンルームマンション投資

中古ワンルームの場合は、新築ワンルームよりも購入価格が安いため手を出しやすい投資先といえますが、実際いくらで購入できるかにより、長期的な投資対象として向いているかどうかが決まります。

特に、年金受給までの年齢と築年数とのバランスを考慮しましょう。

例えば、購入時の利回りが良くても古すぎる物件は注意が必要です。

なぜなら、大規模修繕や建て替え時期のタイミングにより大きな資金が必要になり、老後の安定した収入源になり得ない可能性があるためです。

投資物件を探す際は、セミナーや個別相談会に参加することで様々な情報を得るでしょうが、必ずネットや同業他社などから、近隣の似たような物件の購入価格を細かく調べる必要もあります。

不動産会社が提示した価格を一方的に受け入れて購入するのではなく、購入価格を引き下げる交渉をできるだけの知識を身につけておくといいでしょう。

中古ワンルームマンションにも、周辺地域の開発が促進されるなどの事情による価格上昇リスクがあります。

物件を探す際は、家賃収入から修繕積立金、管理費、固定資産税などの費用を差し引いた実質利回りで判断するようにしましょう。

物件購入後に価格が上昇した場合には売却によって価格変動リスクを回避することも可能です。

 

  • 一棟アパート、マンション投資

ある程度多額の融資を受けられる方であれば、一棟アパート・マンション投資は老後の年金対策として有効な手段のひとつです。

その理由として、他の不動産投資手法に比べると余剰資金を生み出しやすく、将来的に残債のない一棟アパート・マンションになれば、区分所有マンション一戸と比べて老後のゆとりある資金を大きく確保しやすいためです。

将来的にも、その資金と保有している土地を利用しての建物の建て替え、土地の売却など選択肢が広がります。

また、この資産を担保に二棟目・三棟目と資産を増やしやすくもなります。

 

  • 戸建て投資

諸事情により多額の融資が通らなくても、戸建て投資であれば老後の年金対策としては有効です。

少々築年数が古くても、リフォームによって月数万円レベルで余剰資金を生み出すことも可能です。

将来、マイホームとしての売却や、建物が古くなっても土地が残るため、立地によってはアパートへの建て替えなどの選択肢も考えられます。

 

まとめ

多くの方にとって「年金だけ」で豊かな老後を送ることは厳しい状況が予想されるため、自分の老後の資産形成としてどのような対策があるか、その中で比較的長期安定的に収入を得る手段として向いている手段を検討する必要があるでしょう。

もちろん100%安全な投資方法などはありませんが、リスクをできるだけ減らして安定した収入を確保するためには、積極的に情報収集する姿勢は大切です。

将来の年金対策に興味が湧いた方は、この記事を参考にご自身に最も合った資産運用の方法を検討してみてください。

また、資産運用の方法として不動産投資の不明点やご相談がございましたら、株式会社湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムにお気軽にご相談ください。

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