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深刻化する東京圏の人口一極集中!今後の不動産投資はどう考えるべき?

不動産投資 東京一極集中

国内で少子高齢化による人口減少が続くなか、例外として東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)では転入超過が続いて人口増加となっています。特に東京では不動産市場も好調なので、「不動産投資をするなら安定した賃貸需要が見込める都心以外にない」と決めつけてしまう方も多いようです。

しかし、東京の一極集中は不動産投資をする上で必ずしもメリットになるわけではありません。そこで今回は、首都圏人口の一極集中が不動産投資に与えるリスクと、今後の不動産投資を考える際のポイントをわかりやすく解説するので、ご一読ください。

 

東京一極集中の現状

総務省統計局の発表によると、都道府県間での移動者数は1970年代初めをピークに減少し、2010年に入ってからはやや増加に転じています。しかしこのデータを詳しく見てみると、ほとんどの道府県は「転入」よりも「転出」が多い状況の中で、東京を含む首都圏は人口増加につながる「転入超過」になっていることがわかります。

東京圏への転入超過数は増加を続け、2013年に9万6524人だった人口は、2019年には14万5579人、2021年には80,441人となっています。(総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2021年(令和3年)結果」より)

東京の人口が増加を続けていることで、オフィス需要も堅調に推移しています。事業用不動産サービス会社であるCBREの2020年における発表によると、東京のオフィス空室率は1%を切っています。人口増加による業務拡大に伴う移転や、大手メーカーの拠点集約などが背景にあると見られています。

 

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東京都によると、都内の2022年12月1日時点の人口は前年の同月より4万4千人増加し、14,042,127人だったと発表されました。これは、企業や大学などが集まり、賃金も比較的高い東京で就職や進学を希望する若年層の流入が要因とみられています。

また、国内で最も新型コロナウイルスの感染者数が多かったにもかかわらず、東京一極集中の傾向に歯止めがかからない状況となっています。

このように、人口の一極集中が経済成長と不動産価格の上昇を引き起こすなど、東京圏への投資は今後も多くのリターンが見込めると考えられます。しかし一方では、投資マネーを東京の不動産に集中させることには大きなリスクが潜んでいることも考慮しなければなりません。

 

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東京の不動産投資のリスクとは

不動産投資をする上で、人口の一極集中は次のようなリスクを招くこともあります。

 

・過度な競争がバブル崩壊の引き金にもなる

・東京は災害時の影響が大きい

・首都直下地震による不動産投資への影響

・新型コロナウイルス感染拡大にみる超過密都市のリスク

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

過度な競争がバブル崩壊の引き金にもなる

不動産投資における物件選びの基準の一つになるのが、「供給に対する需要の多さ」です。売買・賃貸を問わず、価格は需給バランスによって変動します。供給に対して需要が多ければ売買価格は上昇し、賃料も同様に上昇します。購入時よりも賃料が上昇すれば、収益性が増えるため、投資対象としての需要はさらに増加します。

人口増加が続く東京では、不動産への需要は今後も増加傾向が続くと考えてよいでしょう。新築物件の供給に関しても、東京での用地取得が困難となっていることから需要に対しての供給量が減少する可能性があります。

しかし、不動産は過熱感が高まると、バブルの形成と崩壊といったリスクが発生します。不動産投資における需要はありますが、競争が激しくなると価格上昇が加速し、やがてバブル崩壊を招く可能性も否定できないでしょう。

また、投資家による競争の激化は物件選別につながり、収益性が見込めない物件は価格が大きく下落する可能性もあります。つまり、東京で「収益が見込める物件」と「見込めない物件」の二極化が進む可能性も考えられます。今後は、情報収集における優位性がなければ、収益性の見込める物件を購入するのはさらに難しくなるかもしれません。

 

東京は災害時の影響が大きい

最近、首都圏における直下型地震の危険性が指摘されています。内閣官房国土強靱化推進室は、東京一極集中による災害リスクとして、膨大な建物被害と人的被害、救助活動の不足、帰宅困難者による混乱、避難所の不足などを挙げています。

また、エネルギー供給施設の被災による影響、交通混乱、物流停止による物質不足といった問題発生も指摘されています。特に2011年の東日本大震災による経済的ダメージは記憶に新しいでしょう。鉄工業生産は大きく落ち込み、生産活動の低下は全国に波及して個人消費活動も低下しました。

人口の流入が続く東京は災害に対する備えが十分に進んでいません。もし仮に大規模な自然災害(もしくは人的災害)が再び起これば、甚大な被害につながる可能性が高く、その結果として世界から投資マネーが引き上げられる可能性もあります。

 

首都直下地震による不動産投資への影響

首都直下地震への懸念が高まっているなかで、首都圏における住宅などの被害想定は約17万5000棟と発表されています(内閣府防災データより)。このような被害は不動産投資にも少なからず影響を与えると考えられ、実際に東日本大震災後の不動産投資市場では物件を選別する動きがあり、その後の住宅供給の増加により賃料は下落を続けました。

東京の不動産価格は、不動産経済研究所によれば、2012〜2019年にかけてほぼ毎年価格が上昇していますが、同時にマンションの建設費も上昇して価格上昇が続いているため、契約率は低下しているとのデータもあります。

不動産価格の高騰で購入できる物件が単純に少なくなったことが原因とも考えられますが、東京での不動産取得に対する警戒感の表れとも推測されます。仮にこのような状況で首都直下地震が発生すれば、不動産相場は大きく崩れることも予想されます。

 

超過密都市のリスク

新型コロナウイルスにより、超過密都市・東京の感染拡大リスクがあらわになりました。このような事態を踏まえ、都民の意識や都内への転入(移住)がどのように変化していくのか注目する必要があります。

例えば、新型コロナウイルス感染拡大の中でも人口が増加した要因として、すでに就職や入学が決まっていた人たちの動きと考えることができます。新型コロナウイルスの影響が長期化すれば、これまで東京の企業や官公庁、大学などへの就職や入学をめざしてきた地方の若者たちの意識が変化する可能性があります。

また、企業も休業・生産停止や在宅勤務が行われたことで、経営方針や労務管理に大きな変化が起きる可能性があります。例えば、本社移転、機能分散、在宅勤務の日常化といった分散型経営の動きが出始めています。感染症だけではなく、首都直下地震などの大災害にも備えて一極集中のリスク回避に向けた動きが本格化していくことも考えられます。

長期化も予測される新型コロナウイルスは、人々の思考やライフスタイル、企業のあり方から国のあり方までも大きく変化する可能性があるのです。

実際に、新型コロナウイルスをきっかけに、都市部を離れて地方で暮らすことへの動きがあります。テレワークや遠隔授業によって「高い家賃を払ってまで東京に住み続ける意味や必要性がなくなった」と感じている人が増えているのです。

都内の賃貸物件における反響よりも、都内周辺の通勤1時間程度のエリアに住み替えニーズが発生しており、ある不動産事業者によると、反響件数が月に200件を超え、例年にない問い合わせがあるとのことです。

また、今後も在宅勤務化が進み、働く場所が自由になったとしたら就活生の2人に1人が“地方の企業に就職したい”“地方に住みたい”と思っているそうです。

政府や自治体からも地方創生への期待の声も聞かれており、今までの「東京一極集中」の大きな流れに変化の兆しがあります。

つまり、「不動産投資は都内」という神話が崩れる可能性があるという事です。

 

地方を含めた分散投資が大切

このように不動産投資における東京への一極集中はリスクが高いと判断することもできるので、今後は地方を含めた分散投資を検討する余地もあるでしょう。

そもそも投資にはリスク分散が重要です。投資マネーは有事の際には安全資産へと流れるのが基本なので、今は価格上昇が続いている東京に集中せず、災害リスクなどに備えて地方などへ分散しておくことも大切です。

 

地方物件の意外なメリット

不動産投資の物件を選ぶ上で「需要の少なさ」が指摘されがちな地方物件には、次のようなメリットがあります。

 

・分散投資がしやすい

・競合物件が少ない

・節税効果が高い

 

それぞれを詳しく確認してみましょう。

 

分散投資がしやすい

地方物件は東京と比べて価格が安いのが特徴です。都心のマンションを1戸購入する資金があれば、地方なら複数エリアへの分散投資も可能になります。

賃貸経営では常に満室状態になるとは限らないので、事前にある程度の空室リスクを見込んでおかなければなりません。保有する物件が少ないと、物件購入のための借り入れを自腹で支払うリスクが高まります。そこで、複数エリアに物件を分散させておけば、空き家リスク対策にもなるというわけです。

 

競合物件が少ない

不動産投資では周辺の競合物件もリスク要因のひとつになります。似たような条件の賃貸物件が周りに多くなると、それだけ賃借人をつけるのが難しくなります。例えば築年数や広さ、設備などが同じであれば、借り手は家賃が安いほうを選びます。そのため、場合によっては家賃を下げて募集せざるを得なくなり、収益性もそのぶん低下します。

一方、地方の場合、東京のように賃貸物件が密集しているわけではないので、競合も比較的少なくなります。需要に応じて適切な賃料設定ができるので、収益性も確保しやすくなります。

 

節税効果が高い

不動産投資では家賃を得るための経費を計上しますが、経費が収入を上回れば節税になります。

ポイントになるのは「減価償却費の計上」です。減価償却費とは賃貸物件のうち、建物部分に対して計上できる経費です。地方は東京と比べると土地代が安いので、購入価格のうち建物分の占める割合が土地に対して東京よりも高くなります。減価償却費を多く計上できれば経費も増えるので、赤字計上できる金額が増えて還付される税金も増えます。

このように地方物件は東京と比べて節税効果が高いというメリットがあり、収益性を高めることにもつながります。

 

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まとめ

新型コロナウイルス感染拡大やウクライナとロシアの戦争、記録的な円安や物価高などにより世界の経済情勢が混乱する中、現物資産である不動産賃貸経営の安定性や強みも注目されており、不動産市場はさらなる拡大も期待できます。その反面、不動産バブルの懸念や災害リスクの増加といった不安材料もあります。また、融資の厳格化や金融市場の混乱などの懸念もあります。

また、新型コロナの感染者数が大都市に集中する中、大都市郊外や地方圏へ移住し、在宅勤務で働く生活様式にも関心が高まっています。今後は人口の東京一極集中の流れが変わる可能性も十分考えられるため、不動産投資は不動産市場が好調だった東京のみを検討するのではなく、多様化する暮らし・働き方なども考慮する必要があります。

よって、リスクを分散させるために地方物件を含めた複数エリアなども検討することが大切になるでしょう。

 

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