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「貯蓄から投資へ」将来の資産形成に向けた不動産の活用術

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日本政府は以前から「貯蓄から投資へ」というスローガンのもとで、投資促進のための政策を行っています。
今回は、資産形成の一つの方法として、不動産投資の活用について分かりやすく解説します。

老後2000万円不足問題などをきっかけに、国民の将来の資産形成に対する関心が高まりました。将来に向けての資産形成を検討している方はご参考ください。

 

スローガン「貯蓄から投資へ」はなぜ必要か?

「貯蓄から投資へ」という言葉は、政府が2001年に閣議決定した「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針概要」にまで遡ります。このスローガンの意図や経緯について簡単に確認してみましょう。

 

元々は「経済を活性化させること」が狙い

2001年に小泉内閣(当時)が閣議決定した「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針概要」では、「頑張りがいのある社会システム」の構築を目指すための考えが示されました。その中で、証券市場の活性化を目的に掲げられたのが「貯蓄から投資へ」のスローガンです。

当時はバブル経済と呼ばれた好景気が終わって株価はピーク時の3分の1程度にまで下がって、大手証券会社である山一証券が破綻するなど厳しい経済環境にありました。また、「金融ビッグバン」と呼ばれる金融業界の改革も行われていた時期です。当時から日本は貯蓄率が高く、この貯蓄を投資に回すことによってロンドンやニューヨークのような金融市場を東京に作り出すことが目的でした。

このときに具体的な政策課題として以下のものが必要だと指摘されていました。

 

①証券市場の信頼向上のためのインフラ整備

②魅力ある投資信託の実現

③税制改革

④投資家教育

 

国内経済を立て直すためさまざまな政策の整備や、各企業の商品開発が進められましたが、乱高下する株価や、金融機関の経営や営業手法に対する不信感、将来への不安などさまざまな要因により、その進展は阻まれています。その結果、約20年が経過した今でも、政府が期待したような市場環境は実現に至っていません。

 

老後の生活資金確保に関心が高まる

その後、安倍内閣になると、企業への投資を促すためにも「貯蓄から投資へ」の動きを強めるような税制改革が行われ、老齢世代が現役世代に積極的に財産を贈与し、投資を促すような仕組みが作られていますが、まだまだその成果は十分とはいえません。

しかし、金融立国を作るという国家的なビジョンとは関係なく、「貯蓄から投資へ」の動きが始まっています。特に「老後資金は年金の他に2000万円必要」という金融庁の報告書のニュースは多くの人に衝撃を与えました。その影響もあって老後資金の準備のために貯蓄ではなく投資を積極的に行う人が増えています。

現在は昔と違って、雇用環境は不安定な上、平均賃金は大きな上昇が見込めず、退職金も約束されていない中、現役世代は老後に対する備えを自ら行い始めるようになりました。さらに、2022年に入り、世界的な物価高やウクライナ危機、記録的な円安などにより、「貯蓄から投資へ」は意外な形で進展していると言える状況となっています。

 

老後資金はいくら必要?おすすめの不動産投資の方法をご紹介

 

貯蓄と投資の違いはリスクとリターン

貯蓄と投資は何が違うのでしょうか。両者の基本的な違いについて解説します。

 

「貯蓄」は「貯める」ことが目的

貯蓄とは、銀行などの金融機関にお金を預けることです。お金を預けることによって、資産を安全に維持し、わずかながらの利息を得ることができます。損失や元本割れの可能性は極めて低いものの、利率は物価上昇率ほどにもならないため、実質的には目減りしているとも言われ、また誰がやっても同じ結果になるのが特徴です。

 

「投資」は「増やす」ことが目的

投資は、「増やす」ことを目的にした「資産運用」です。貯蓄と比較するとリスクが大きくなりますが、その分リターンも大きく、知識がある人なら大きなリターンが期待できます。投資のための商品は外国為替や株式、不動産などさまざまなものがあり、それぞれそのリスクやリターン、ノウハウなどに違いがあります。投資はうまくいけば出資額の何倍にもなるため、貯蓄と比べて資産を大きく増やせるのが魅力です。

 

リスクとリターン

貯蓄と投資の主な違いは、リスクとリターンです。一般的に貯蓄はローリスク・ローリターンであり、投資はハイリスク・ハイリターンです。

貯蓄におけるリスクは、金融機関の破綻と物価上昇、リターンは基本的に利息収入をイメージするとよいでしょう。

一方、投資におけるリスクは、投資先の破綻や、募集する金融機関の破綻、物価上昇、商品の属する業界・市場の動向、地政学的リスクなど、商品特性によってさまざまなものがあります。リターンは、投資先からの分配(インカムゲイン)や、保有した資産の値上がり時の売却(キャピタルゲイン)などさまざまです。

貯蓄と比較すると、投資はリスクの種類も多く、リスクの発生確率や損失額が大きくなる傾向もあります。一方で、リターンも非常に大きく、投資商品への知識が収益に結びつきやすいという特性があります。

 

政府が進めてきた投資促進政策

政府は、投資を促進するためにさまざまな政策を行っています。2014年までは株式投資におけるキャピタルゲインの税額を20%から10%に減税するといった優遇措置などがありました。

また、投資促進政策の中でも代表的なのが「NISA」です。NISAとは、2014年1月にスタートした個人投資家のための税制優遇制度で、イギリスの個人貯蓄口座が元になっています。NISAでは毎年120万円の非課税投資枠が設定され、最大5年まで、株式・投資信託などの配当・キャピタルゲインなどが非課税です。積立用のつみたてNISAによる投資信託や、子供向けのジュニアNISAもあります。

このNISAの登場を機に、証券会社が積極的な営業活動を行った結果、2022年3月末には1120万を超えるNISA口座が作られていますが、一般NISAの稼働率は47.9%と、実際は総口座数の約半分の稼働率となっています。

その他、投資とは別ですが、将来に備えた確定拠出年金(DC、日本版401k)やiDeCoなどの年金制度改革も行われています。

 

株式投資に勝る不動産投資のメリットとは

日本では株式投資よりも不動産投資に対して信頼を置く人も少なくありません。株式投資と比較して不動産投資には次のような特徴・メリットがあります。

 

①ミドルリスク・ミドルリターンの投資法である

②担保として使うことができる

③生命保険の代わりになる

④分配が毎月行われ、投資の成果を実感しやすい

⑤購入後の楽しみも多い

 

ミドルリスク・ミドルリターンの投資法である

不動産投資は、一般的にミドルリスク・ミドルリターンの投資方法だといわれます。不動産は基本的に価値が安定しており、価格の変動要因も限られるためリスクはそれほど高くはありません。しかしその分、現在の国内状況では地価の大きな上昇も見込めないため、大きなキャピタルゲインを期待するのも難しいです。

 

担保としても使うことができる

不動産投資では、取得した不動産は収益源となるだけでなく、資金調達や各種の契約の際の担保として使うこともできます。不動産投資から収益を回収している途中でも新規の投資を行えることは、株式投資では見られない特徴です。

 

生命保険の代わりになる

不動産投資では、不動産購入のためにローンを組むのが一般的ですが、ローンの契約の中には「団体信用生命保険」の加入がほぼ必須となっています。仮に契約者が死亡した場合でも、ローンの残債は保険会社から支払われ、遺族には購入済みの不動産を残すことができ、生命保険と同様の効果があります。

 

分配が定期的に行われ、投資の成果を実感しやすい

半年に一度だけ配当がある株式と比較すると、投資による収益を実感しやすいことはメリットです。不動産投資は、不動産の購入後は大家業を行うことになるため、家賃収入が毎月発生します。また、不動産ファンドなどの場合でも、多くの商品で毎月分配が行われています。

購入後は経営者として楽しめる

不動産投資では、株式投資とは違い、アパートやマンションの大家として経営を行う楽しみがあります。不動産投資を機に経営についての勉強や、業者や住人といった関係者とのコミュニケーション、土地や建物の開発・維持管理に興味が向く人もいます。また、実際の管理業務などは管理会社に委託することもできるので、普段は仕事のあるサラリーマンの方でも負担を軽くすることが可能です。

株式投資の場合、購入後の運用は頻繁に株価情報やチャートをチェックする必要があるので、日々の行動に制限をかけずアクティブに活動したい人なら特に不動産投資の適性が高いと言えるでしょう。

 

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まとめ

「貯蓄から投資へ」の意図するところは時代を経る中で変化していますが、このスローガンに示される行動の変化が重要であることは変わりません。現在、人口減少時代に突入し、産業における日本の競争力も低下しつつあります。その中で、ミドルリスク・ミドルリターンな不動産投資は安定感があり、株式投資等にはないメリットも多く備えています。中長期的な資産形成におすすめ投資なので、ぜひ検討してみてください。

 

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