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不動産投資の失敗事例からリスクを検証|成功のポイントとは

不動産投資 失敗事例

不動産投資に興味があっても、金額の大きさから失敗を恐れてなかなか踏み出せない方は多いのではないでしょうか。もちろん実際に投資で失敗するケースはありますが、一般の会社員で不動産投資を成功させている方もこれまでに大勢います。

そこで今回は不動産投資の成功と失敗の分かれ目となるポイントについて考えます。実際にあった失敗事例から不動産投資のリスクを学び、成功に必要なノウハウを身に付けましょう。

 

適切に収支計算したかどうか

不動産投資では投資家が自ら物件の収支計算を行い、投資を判断することが大切です。次のように不動産会社から勧められるままに投資して失敗するケースが後を絶たないからです。

 

勧められるままに投資を行った失敗例

期待した利回りが達成できず年間収支が赤字になったケースです。

 

●投資者:38歳 男性 A氏
●物件:築7年のワンルームマンション 1室
●購入価額:2,500万円
●契約時の利回り:5.28%
●月家賃:11万円

 

A氏は2014年に都内にあるワンルームを購入しました。不動産会社の当初の試算では利回り5.28%、年間収支は27万円の黒字となる予定だったため、A氏は自ら収支計算せず購入を決意しました。

しかし、その試算には物件の取得費用が含まれておらず、維持管理費、修繕積立金、固定資産税等の経費や支払利息なども想定以上に多くかかり、1年目の収支は大幅な赤字となってしまいました。

さらに、2年目の収支も数万円の赤字となり、A氏は今後の赤字幅の増大を懸念し、売却をすることになりました。

 

失敗した理由

物件を購入する際に適切な収支計算をせず決めてしまい、結局失敗に終わるケースは少なくありません。

不動産会社は顧客に物件を勧める際に投資の試算を行い物件の魅力をアピールします。しかし、表面利回りで計算していたり、収支に悪影響するリスク要因を考慮しないなど、都合のいい数字を提示されるケースは意外と多いです。

そのため、当初の試算では黒字だった物件も、実際に投資すると経費等が想定外に多くかかり、儲けも少なく赤字となるわけです。

 

成功のポイント

不動産投資に成功する人は自ら物件の収支計算を行いその妥当性を評価して投資します。収支は、次の計算式で求めることができます。

〔(年間家賃収入-年間経費・税金等の支出+減価償却費×税率)×保有年数〕+資産の売却額>投資額〕

収支計算では、空室リスクや経費などを加味して各々の金額を適切に見積ることが不可欠です。どのような要因が投資額、年間収支や売却額などへのプラスになるのか、リスクになるのかを把握して投資の是非を判断しなければなりません。

 

収入の下落リスクが少ない物件を選んだかどうか

将来の家賃収入の下落の可能性が高い物件を選ぶと収支が悪化しやすくなるため、下落リスクの小さい物件を選ぶことが大切です。

 

収入の下落リスクの大きい物件に投資した失敗例

●投資者:40歳 女性 B氏
●物件:築3年のワンルームマンション 1室
●購入価額:1,800万円
●契約時の利回り:5.5%
●月家賃:8.25万円

 

B氏は5年前に東京都の郊外のワンルームを購入しましたが、その2年後の入居者の退去を契機に家賃の低下が進み、現在は赤字経営で苦労しています。

投資後1年目こそ年間収支は15万円のプラスでしたが、2年目以降は空室期間が長引き、家賃収入は大幅に減少しました。

物件の近くには大企業の事業所があり、単身者や独身者から需要がありましたが、事業所が移転したため入居者の確保が困難になったのが原因です。

 

失敗する理由

空室や滞納は家賃収入の減少リスクですが、収支計算でそれを考慮せずに投資して失敗することがあります。

「近所に大企業の事業所がある」など特殊な入居ニーズに依存した物件では、ニーズが無くなれば入居者確保は難しくなります。家賃が下落すれば年間収入の低下し、投資の失敗につながります。

ほかにも、「都心から遠い」「最寄り駅から遠い」「スーパー・コンビニが近くにない」「騒音や臭いを発する工場が近くにある」など立地条件に問題を抱える物件は、入居者が集まりにくいため注意する必要があります。

 

成功のポイント

投資に成功している方は、将来的な家賃収入の減少を抑えるため入居ニーズの高い立地や発展可能性のあるエリアの物件を選びます。

 

「地域への流入者が多い」
「企業や商業施設などの進出が多い」
「人口の増加が期待されている」
などのエリアであれば、特定の需要に頼らずとも入居希望者が集まるため、満室状態を長期間維持することができます。

このほか
「都心から近い」
「駅から徒歩10以内」
「スーパー・コンビニ等が近い」
「都心まで直通の電車が最寄駅で停車する」
「周囲に悪影響を与える工場等が近くにない」
といった環境にある物件も借手が多くなります。

 

こうした条件に合致する物件への投資は、低い空室率と家賃水準の維持を可能とし、家賃収入の減少を抑制するため、投資の成功につながります。

 

物件の修繕費用を適切に見込んだかどうか

投資後の経費等が想定以上にかかれば収支を悪化させます。物件選びでは適切な支出の見積もりも重要です。

 

支出の増加リスクの大きい物件に投資した失敗例

●投資者:52歳 男性 C氏
●物件:新築のワンルームマンション 1室
●購入価額:3,900万円
●契約時の回り:約4.5%
●家賃:14.5万円

 

C氏は7年前に都内にある新築ワンルームに投資しましたが、管理費や固定資産税などの経費が増加し年間収支が赤字になっています。

この物件は都心で立地も良く家賃収入はほぼ維持されていますが、建物の固定資産税が最近に約4万円も増加しました。また、毎月の維持管理費と修繕積立金も合わせて約1万円も値上げされたため、収支が赤字に転落してしまいました。

 

失敗する理由

新築物件への投資後、固定資産税を含む経費の増額に苦しむ投資家が少なくありません。

新築物件は中古物件に比べ投資額が大きくなり固定資産税等の額も大きく注意が必要です。また、新築マンションの建物部分では固定資産税が5年間2分の1となる軽減期間があり有利ですが、期間が経過すると税額は2倍となり年間収支が圧迫されます。

加えて維持管理費や修繕積立金が値上げされるケースも少なくありません。

このように物件を購入してから経費等が値上げされることもあり、それを見込んで投資しないと失敗につながります。

 

成功のポイント

投資に成功する方は、固定資産税や都市計画税の税額、維持管理費や修繕積立金の経費、ローンの支払利息を含む返済額を可能な限り正確に見積ることに注意を払います。

特に固定資産税等は高額になることがあるため正確な把握が求められます。新築物件の場合は、建物の軽減措置期間後の増額分を見込むことが重要です。

維持管理費や修繕積立金の値上げは、購入後5年以上10年未満や15年以上20年未満などの期間で実施されるケースが多いです。収支計算は将来の経費の値上げも考慮して行いましょう。

 

売却までの出口戦略を描いたかどうか

物件の売却価額が購入価格よりも大幅に下がり、大きな売却損が発生するケースがあります。

 

物件価格の下落による売却損で失敗した事例

●投資者:29歳 男性 E氏
●物件:3,600万円
●購入価額:新築年のワンルームマンション 1室
●契約時の利回り:約4%
●月家賃:12万円

 

E氏は2年前に都内の新築ワンルームを購入しましたが、諸事情により現金が必要となり当物件を売却しました。しかし、5年~10年経過で売却価格が購入価格の20%程度の下落が一般的とされる中、わずか2年しか経過していないにもかかわらず約20%も低い価格となり、  大きな損失となってしまいました。

購入前、E氏は新築と中古のどちらにするか迷っていましたが、新築のほうが買手が多く、高く売却しやすいと考えたため、十分な確認をしないままに新築に投資しました。

E氏は新築物件がこのように下落幅が大きいとは予想もしていなかったため、その認識不足を後悔しています。

 

失敗する理由

建物は一般的に時間の経過により価値が減少しますが、その傾向を把握せずに投資して売却で大きな損失を出すことがあります。

マンションも長期的に見れば物理的な劣化が徐々に進み、資産としての価値が減少します。物件の市場価格も徐々に減少するケースが多いですが、新築は販売時の広告宣伝費が価格に上乗せされているため、販売直後の価格の下落が大きくなります。

新築の場合、販売後の価格は5年までに販売時より2~3割下がることも珍しくありません。しかし、不動産市場の需給状況や各種建物の需要の違い等により下落の度合いが緩やかになったり、逆に上昇したりすることもあります。

こうした物件価格の特徴や市場の状況を把握・評価の上投資をしないと売却で大きな損失を出すことになるわけです。

 

成功のポイント

不動産投資で成功する方は、売却に関する物件の特徴を把握した上で投資回収の見込みを立てます。

例えば、マンションの場合、各地域で築年数の経過に伴う価格動向に違いが見られます。東京都では築1年~5年の間に価格が2~3割減少し、それ以降は築15年~20年までは徐々下落し、築20年では新築時の5~6割程度になります。

築20年以降は減少傾向が弱まり築40年程度までは価格水準がほとんど同じになる傾向です。

こうした特徴を可能な限り把握して物件を評価することが不動産投資の成功には欠かせないでしょう。