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不動産投資の物件選びで大切な適正価格の見極めは?

不動産投資 適正価格

不動産投資では、購入する物件の収益力が投資の成否を分ける重要な要素となりますが、そもそも物件価格はどのように決まるのかをご存じでしょうか。不動産の価値を決める方法としては、利回りなどを基に算出する「収益還元法」(後ほど記事内で説明します)がよく活用されており、物件が稼ぎ出す力を見極める方法として知られています。

購入を検討している物件の価格が相場よりも高いのか低いのかを調べるためには、収益還元法のほか、国交相が公表しているデータを基とした物件価格の決まり方を知る必要があります。今回は不動産の適正価格の見極め方についてわかりやすく解説するので、投資物件選びにぜひ役立ててください。

 

そもそも不動産投資の成否とは

不動産投資では、物件売却時の最終的な収益から諸々の経費を差し引いた額が、物件取得費を上回れば、成功したと見ることができます。物件購入時の金額は投資計画の基礎になるため、物件を選ぶ際は収支計算を行い、最終的に黒字になるような投資計画を立てることが重要です。

 

(年間家賃収入-年間経費等の支出+減価償却費×税率)×保有年数+物件売却時の金額>物件の取得費

 

そのため物件の購入価格は目標を達成できる範囲内に設定することが大切です。無理に高額な物件に手を出すと、ローンの支払いに追われ、収支はたちまち赤字に転落します。まずは自身の資金力に見合う投資物件を選ぶことが重要です。

 

不動産の適正価格

個人の資金調達力によって収益目標は異なるため、不動産の適正価格も投資家ごとで異なることになります。検討する物件の価格が適正かどうかは、相場が参考になります。相場は、地価公示価格や成約価格など実際の不動産取引の状況に応じて決まるものですが、投資用不動産の場合、物件の収益力が重要視されます。居住用物件と違って、相場に対して「高い」「低い」だけの価値判断では適正価格を客観的に評価できないのが不動産投資の物件選びです。

 

収益還元法とは

投資物件の適正価格を評価する方法のひとつに「収益還元法」があります。収益還元法とは投資物件の収益力に基づいて資産価値を評価する方法で、物件が生み出す純利益を元に不動産価格(収益価格)を算出するものです。つまり、購入価格が算出された収益価格よりも低ければ「儲かる」ことになるため、適正価格の判断ができるようになります。

収益還元法には、「直接還元法」と「DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法」がありますが、各々特徴があり計算方法も異なります。

 

直接還元法

収益(家賃)から経費等を差し引いた年間の純利益額を還元利回りで割って収益価格を算出する方法です。

 

収益価格=年間の純収益÷還元利回り

 

たとえば、年間の家賃が200万円、経費等が80万円、還元利回りが5%である場合、収益価格は以下の通りです。

(200-80)÷0.05=2,400万円

 

つまり、収益面からは適正価格は「2,400万円以下」と判断できることになります。

なお、還元利回りとは不動産の投資額に対する一定期間(年間等)の利益の割合のことで、類似物件の取引事例、売出中の物件の利回りや、不動産会社等が公表している各地域の利回りなどのデータが使用されています。

 

DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法

一方、DCF法とは投資不動産の保有期間で獲得する純利益と、売却した場合の売却額(復帰価格)を現在価値に修正して収益価格を算出する方法です。

直接還元法は年間の純利益を一定であることを前提として計算しますが、実際、純利益は変動するため正確とは言えません。そこでDCF法では将来の期間を限定し、その期間での純利益を対象として、その値を現在の価値水準に評価しなおすことで、直接還元法より正確な収益価格を期待することができます。DCF法の計算式は以下のようになります。

 

 

割引率とは将来の収益を現在価値に割り戻すために使用される「利回り」に相当するもので類似物件の取引事例や、金融資産の利回りと不動産の個別性の関係などの点から求められています。

DCF方法は将来得られる収益を合算して収益価格とする方法ですが、各年度の収益価値に差があります。つまり、現在の100万円は1年後…2年後…と時間が経過するにつれて価値が少しずつ下がっていくという考え方です。

投資に例えて考えてみましょう。
100万円を年利5%の利回りで運用できれば、1年後には100万円×1.05=105万円となりますが、現在の価値に換算した場合、100万円÷(1+0.05)=約95.24万円となります。

DCF法による適正価格を算出する事例をご紹介します。

 

 

適正価格を把握するのに役立つ公的データ

不動産の価格は国土交通省が発表しているデータや都道府県が公表している数値も参考になります。公的な不動産価格には、主に以下の4つがあり、市場相場を推し量るデータとして活用されています。

 

●地価公示価格
●基準地価格
●路線価
●不動産鑑定士による不動産鑑定評価額

また、不動産市場の相場を調べるには、実際に取引された成約価格や不動産会社の販売価格、中古物件等の売出価格などの情報が役立ち、下記のような情報源の利用が有効です。

まとめ

不動産投資の適正価格を設定する場合、市場相場が1つの目安となるため公的な不動産価格、取引事例に基づく価格、不動産会社等の査定価格などで相場が検討されます。

また、適正価格については収益目標を踏まえて設定する必要があり、実質利回りなど物件の収益力から算出することが重要です。まずは投資目標を明確にし、自身の資金調達能力と合わせて、適正価格な物件を比較・検討して慎重に選ぶようにしましょう。