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不動産売却するなら大手企業と地元密着企業どちらが良いか?

不動産の売却は仲介会社に依頼するのが一般的ですが、大手の不動産会社か地元の不動産屋のどちらに任せたほうがいいのでしょうか。資金力や企業規模で勝る大手企業は、知名度もあり営業力などにも強みを持ちますが、不動産売却なら地元に密着した不動産屋のほうが信頼できると考える売主も少なくありません。

そこで今回は、不動産業者を選ぶ際のポイントなどを知りたい方のために、大手企業と地元密着企業のメリット・デメリットのほか、基本的な不動産の売却方法から売買仲介契約の種類を詳しく解説します。

 

不動産を売却する方法

まず、不動産を売却する方法には、①不動産の所有者が自ら買手を探して契約する方法と、②不動産会社に買い取ってもらう「直接買取」、③仲介会社と契約して買主を探す方法の3種類があります。

 

①個人売買

不動産の所有者が自ら買手を探して契約し売却する方法です。自分の親戚や友人、取引先等の会社関係者など自分のコネクションを活かして売却する個人売買になります。不動産会社に支払う仲介手数料が発生しないため、売却コストは抑えられますが、買主となる人は比較的限定されます。

 

②不動産会社に買い取ってもらう

不動産業者に直接売却する方法です。不動産業者の中には不動産を買い取り、それを転売するという企業もあります。仲介会社を通して買主を探すのに比べて、売却にかかる時間は短くなるのがメリットですが、売却価格が低くなるなどのデメリットもあります。

 

③仲介会社に依頼する

不動産業者に売却の仲介を依頼して売却する方法です。所有者が不動産業者と仲介契約を結び、不動産業者に買手の募集や売却の広告をしてもらうという最も一般的な売却方法です。

なお、仲介契約の種類には、「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3つがあります。どれを選ぶかで売却の時期や価格などに違いが生じるため、仲介契約を結ぶ際は、それぞれの特徴を把握した上で依頼することが大切です。

 

売買仲介契約の種類

次に、不動産会社に依頼する際に締結する売買仲介契約の内容を詳しく見ていきましょう。

 

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約とは、対象物件の売却について1つの不動産業者とのみ契約する形態です。専属専任媒介では依頼した仲介業者以外と当該物件について契約を結ぶことができず、さらに売主自身で買手を見つけてきても、その不動産業者を仲介しなければなりません。

専属専任媒介契約の有効期限は3カ月で、不動産業者には仲介契約の締結から5日以内のREINS(レインズ・不動産流通標準情報システム)への登録義務、週1回以上の仲介業務の報告義務が課せられます。

専属専任媒介契約では、仲介業者にとっては自社のみが仲介できるため、意欲的な売却活動が期待でき、早期売却も実現しやすいといったメリットがあります。

しかし売主が売却を依頼する不動産会社、実際に媒介契約を締結した1社のみに限られてしまうため、他に良い条件などで物件の買い入れを申し込まれたとしても、契約を締結した1社を通さずに売却をすることはできません。あわせて「自己発見取引(友人からの紹介や身内など、売主自らが発見した買主への売却)」も制限されるというデメリットがあります。

 

専任媒介契約

専任媒介契約を結べるのも1社のみですが、売主自身で買手を見つけてきた場合、その業者を介して契約する必要はありません。

専任媒介契約の有効期限は3カ月で、不動産業者には仲介契約の締結から7日以内のREINSへの登録義務、2週間に1回以上の仲介業務の報告義務があります。売主側で買手を探しながら、不動産会社にも依頼したい場合は専任媒介契約のほうが向いています。

メリット・デメリットに関しては、先に説明した専属専任媒介契約と大差ありません。専属専任媒介契約では認められない「自己発見取引」が認められる為、いま提示されている買い取り条件よりも、良い条件で買ってくれる買主を自分で見つけられた場合、物件をその方へ販売できるというメリットが加えられます。

 

一般媒介契約

一般媒介契約とは、複数の仲介業者に依頼できる契約形態です。自分で買手を探した場合は業者を通す必要はありません。さらに業者側にもレインズへの登録や仲介業務の報告義務は課されません。

売主にとっては複数の仲介業者と契約を結ぶことで幅広く買主を探すことができますが、業者にとっては別の会社に依頼される可能性もあるため、積極的な売却活動は期待しにくいといったデメリットもあります。専属専任媒介契約や専任媒介契約よりも売却に時間がかかる傾向もあります。

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不動産を売却する大手企業?地元密着企業? メリット・デメリット

全国展開しているような大手の不動産会社と地域に根付いた不動産屋では、それぞれ特徴が異なります。不動産を売却するのにどちらが向いているかは、それぞれのメリットとデメリットをよく吟味して判断すると良いでしょう。

 

大手企業のメリット

大手企業は、その資金力や規模を生かした情報量の豊富さや、売却力の強さ、安定した販売体制などが特徴になります。

 

①情報量の豊富さ

不動産の大手企業は営業店を全国展開していたり、広範囲な情報網を築いたりしているため、物件や買手に関する豊富な情報量を持っているのが魅力です。大手企業なら全国規模で購入希望者にアピールすることができます。情報量の差は、物件を高く・早く売ることに繋がりやすいため、大手の情報量は売却の大きな力になってくれるでしょう。

 

②売却力の強さ

大手は全国規模の営業店、知名度やブランド力の高さ、プロモーション活動などに強みがあります。買手の集客力が高く、強力な販売推進が期待できます。

また、立地の良い営業店舗は顧客が集まりやすくなります。知名度・ブランド力も高ければ顧客も安心して店舗に足を運んだり、電話で相談したりしてくれます。また、物件の扱い件数の多い大手は、情報サイト等での広告費を低く抑えられるため、物件当たりの広告量を増やすことも可能です。依頼者の希望に沿った売却が実現しやすくなります。

 

③安定した販売体制

大手企業は、売却システムのマニュアル化や社内教育も整っているため、安定した売却活動が期待できます。

不動産の売却では物件自体に魅力があることも大切ですが、仲介会社の売却力もその成否に大きく影響します。売却方法が確立され、売却の知識・技能が優れた社員がいる企業ほど、依頼者の希望に合った売却が可能になります。

大手企業なら売却方法をマニュアル化し、営業スタッフの質をある程度担保しているため、担当者の当たり外れも少なく、安心して売却を任せることができます。

 

大手企業のデメリット

日本全国に支店に構える大手不動産会社であっても、その地域に何十年と根を下ろしてきた街の不動産屋には細かい情報量でかなわないこともあります。

 

①地域に根付いた情報が少ない

大手企業の場合、例えば地元の顧客と顔なじみになっても担当スタッフには店舗間の異動があるため、販売店が売却に役立つ情報を蓄積できていない場合もあります。有力な顧客情報や売却エリアの特徴、周辺住民の性格といった細かい地域情報を大手に頼るのは難しいでしょう。

 

②顧客目線に欠けることもある

大手企業では利益やノルマの達成が重視されることもあるため、場合によっては顧客目線に欠けた対応をされるケースもあります。

例えば仲介手数料を確保するために、物件を早く売却しようと安易な値下げを要請してくる不動産業者も中にはいます。売却活動を長引かせないために値下げが必要なときもありますが、思った以上の値下げを要求されることも少なくありません。

 

③売却に熱心とは限らない

大手の社員教育は一般的に充実していますが、経験の浅い担当者がつくこともあります。もちろん支店全体でバックアップしてくれることもありますが、担当者の知識や経験の豊富さのほか、売却に熱意をもって取り組んでくれることが何より重要です。不動産売却を成功させるためには、担当者の質や営業姿勢の見極めも時には必要です。

 

地元密着企業のメリット

地域に根付いた企業に不動産売却の仲介を依頼するメリットは次の通りです。

 

①地域の細かな情報が豊富

地域に長年根を生やして営業してきた地元の不動産屋は、独自のネットワークを築き上げています。大手が持っていないような顧客情報を握っていることも多く、特にクセのある物件(郊外物件や狭小地といった買手の見つけにくい物件など)を売却する場合は、大手企業よりも地元密着の不動産屋に依頼したほうがスムーズに売れる場合もあります。

 

②熱心な売却活動が期待できる

地元地域の物件を対象とする地域密着企業は、売却活動にも熱心なケースが多いと言えます。特に長年続いている地元の不動産屋は、それだけ顧客の信頼を勝ち取ってきた証拠でもあるので、顧客目線に立った熱心な取り組みが期待できます。

 

地元密着企業のデメリット

地元密着企業の場合、ブランド力やプロモーション量でどうしても大手企業に劣ります。また、取り扱い物件数が少ないと広告料も高くなるうえ、1件当たりの広告量は大手より少なくなります。そのため地元企業に大手以上の物件販売力を求めるのは難しい場合もあります。

また、不動産売却で得意分野と苦手分野がはっきりとわかれているのも地域密着企業の特徴です。大手企業は資金力や企業規模を武器に、戸建てからマンション・アパート、商業ビル、倉庫など万遍なく取り扱います。

一方、地域密着企業が取り扱う不動産のジャンルは、やはり大手よりも限られます。自分の売りたい不動産が戸建てなのか、投資用の区分マンションなのかといったジャンルによって、それが得意な地元の不動産屋に任せるかどうかを判断すると良いでしょう。

 

まとめ

不動産の売却で不動産会社に売買仲介を依頼するのが一般的です。売買仲介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があるため、物件の特徴や売却期間に応じて契約する形態を決めるといいでしょう。

また、仲介してもらう不動産業者も様々なタイプがあります。大手企業と地元密着企業のどちらを選ぶかは、それぞれメリット・デメリットがあるので、売却方針や物件の特徴、立地などに合わせて選択することが大切です。例えば複数の不動産会社に依頼できる「一般媒介契約」を結んでから、信頼できる1社を決めることもできますので、参考にしてみてください。

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