デッドクロスに注意!黒字倒産を回避する7つの方法
アパート・マンション経営では、税務上は黒字でも収支(キャッシュフロー)上は赤字となるデッドクロスという現象が発生することがあります。場合により資金不足のため「黒字倒産」という事態に陥るケースがあります。
その原因は、所得税が多く発生し、キャッシュフロー上の収入と支出が逆転するためです。
このデッドクロスはアパート・マンション経営を行う際、避けては通れないリスクです。
そして、その解決策は主に次の7つの方法があります。
- 自己資金を多くして物件を購入する
- 繰り上げ返済
- 元金均等返済を利用する
- 返済期間を延ばす
- 売却する(現金化・買い換える)
- 別物件を購入する(資産を増やす)
- 現金を多く貯めておく
このように解決方法は様々あるので、デッドクロスの発生原因を理解し、あなたに合った対策を事前に準備しておくことが大切です。
なぜデッドクロスは発生するのか?
低金利時代という事もあり、不動産投資をする際は、なるべく自己資金を少なく、多くの銀行融資を受けて物件を取得することが一般的です。
その際、返済方法は毎月の返済額(元金+利息)を一定にする元利均等返済を利用していることが大半です。
しかし、元利均等返済の場合、図のように年々経費となる利息部分が減少し、経費にならない元金の返済額が多くなります。
時間とともに、お金の支出がない経費「減価償却」よりも、お金の支出があるのに経費化できない「元金返済」が大きくなった状態のことを、デッドクロスと言います。
さらに、お金の支出がない経費となる減価償却費も償却期間が終了するとなくなります。
図のように、減価償却期間よりも融資の返済期間が長い場合には、償却期間が終了するとデッドクロスが発生します。
特に中古物件は、減価償却期間が短いために単年度での償却額は大きくなり、所得税の節税効果が得られていたにも関わらず、減価償却期間が終了すると急に所得税が多く発生し、収支(キャッシュフロー)が悪化します。
以上のように、デッドクロスとは「減価償却費」 < 「元金返済」の状態になったことを意味します。
この現象により、元金返済は現金の支出があるにも関わらず経費化できないため、税務上は黒字となり所得税が大きくなります。この状態がさらに進み、現金がないにもかかわらず元金返済や所得税納税が発生するので「黒字倒産」ということになるのです。
デッドクロスを回避する7つの方法
では、どのようにデッドクロスを回避すればよいのか、7つの具体的な方法を詳しく見ていきましょう。
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自己資金を多くして物件を購入する
少額の自己資金やフルローンなど多くの融資を受けて物件を購入すると、返済額も大きくなりデッドクロスが発生しやすくなります。
その対策として、あらかじめ自己資金の比率を高くして物件を購入し、元本返済額を下げておく方法があります。
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繰り上げ返済
自己資金で繰り上げ返済をし、返済期間はそのままで元本返済額を下げる方法があります。
物件を購入してデッドクロスが起きるまではある程度の時間があるため、その間に得た収益をしっかりと貯めておき、タイミングをみて繰り上げ返済すれば良いでしょう。
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元金均等返済を利用する
元金均等返済とは、図のように返済元金が一定となる返済方法で、当初は残元金が多いため利息も多く、返済額も大きいのですが、年数経過とともに返済額が減る仕組みです。
減価償却費以下で元本返済額が一定となるように元金均等返済を利用すれば、減価償却期間はデッドクロスが発生しません。
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返済期間を延ばす
融資を受けた金融機関と交渉することや、借り換えにより返済期間を延ばすことで、毎月の元金返済を減価償却費よりも少なくする方法があります。
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売却する(現金化・買い換える)
デッドクロス発生前に売却して現金化することや、新たな物件に買い換え(資産の組み換え)を行うことも選択肢の一つとなります。
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別物件を購入する(資産を増やす)
一つの物件で「減価償却費<元本返済」の状態だったとしても、別物件を購入し、所有資産全体で「減価償却期間>元本返済」の状態をつくる方法が考えられます。
減価償却費の多い中古の木造アパートなどで課税所得を低減できれば、減価償却期間は所得税対策として効果があります。
高額所得者における節税対策の仕組みと同様の方法です。
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現金を多く貯めておく
やはり、余剰資金の確保は重要です。
デッドクロスにより収支がマイナスになったとしても、自己資金を多く確保できていれば「黒字倒産」することはありません。
まとめ
不動産投資のリスクとも言えるデッドクロスについては、様々な対策があります。
不動産投資はデッドクロスが発生するということを理解し、事前に対策をしておくことが重要です。
あなたがアパート・マンション経営を行っているのであれば、現在の状況を確認し、何年後にデッドクロスが起こるのか想定しておくことが大切です。
デッドクロスになりやすい状況としては、耐用年数以上の融資期間であることや、多くの融資額を受けているケースですが、そのような不動産投資にもメリットはあります。
将来訪れるデッドクロスのリスクを考えず、手元のお金を消費してしまう、あるいは家賃収入だけで暮らせると楽観的に考えてしまうことは危険です。
不動産投資で得たお金を無計画に消費せず、融資の繰り上げ返済や納税資金を確保するためにしっかり貯めて、リスクに備える・リスクを回避することは堅実な不動産投資の在り方です。
しかし、人間はお金が貯まると贅沢な使い方をしたくなるので、堅実に貯める自信がない場合は、普段使う口座とは別に管理することも一つの方法です。
減価償却やデッドクロスなどによる所得税対策は、税務面の知識です。
物件の選び方や立地などの知識も重要ですが、税務の知識も同様に重要です。
税務の知識は難しい要素でもありますが、あなたの資産形成をより安定的なものとするために、最低限の知識は得ておきましょう。