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不動産投資の最適な返済比率は50%以下!シミュレーションで徹底解説

不動産投資 返済比率

不動産投資で目標とするキャッシュフローを達成するには、返済比率を理解することが必要です。

賃貸経営には、空室・家賃下落・金利上昇・修繕費増大・入居者クレームなどの様々なリスクがあります。これらのリスクをゼロにすることは不可能なため、リスクに対応・許容できるようにすることが大切です。

その中で、たった一つの視点にフォーカスすることで、主なリスクを許容できるようになります。

それは「返済比率」です。

返済比率とは、「借り入れ返済額÷満室時における家賃・駐車場などの収入合計×100=返済比率(%)」で計算する「総収入に対する返済の割合」です。

返済比率が一定基準を保っていれば、返済が滞るリスク(資金ショートを起こすリスク)を低減できるのです。

初めて不動産投資を行う方に収支バランスをシミュレーションした、「返済比率を50%以下」の不動産投資を目指す方法、計算方法をご紹介していきます。

 

不動産投資における返済比率の重要性

1.借り入れ返済できなければ破綻する

不動産投資とは、全額自己資金で行う方は少なく、借り入れを伴う事業です。

よって、「借り入れの返済を確実に行う」ことが必要不可欠です。

なぜなら、株式や投資信託のような投資した自己資金だけ諦めれば良いのではありません。不動産投資の場合、借り入れを返済していかなければ大変なことになるのです。

金融機関への借り入れ返済ができなくなると、所有財産は差し押さえられてしまいます。物件は売却され、借り入れの返済に充当されます。

つまり、破綻状態という最悪のケースに陥る可能性があります。破綻状態にならないためには、収支計画で資金ショートを発生させないことが重要です。

 

2.資金ショートを起こさない目安が返済比率

資金ショートが発生し、返済が滞ることが破綻の要因であるならば、資金ショートしないようにすれば良いのです。

つまり、賃貸経営における家賃や駐車場などの収入から、借り入れ返済をはじめとする費用の支出を差し引いても資金ショートをしないという事が大切です。

収支バランス

不動産投資による賃貸経営は、借り入れ返済をはじめ、固定資産税等の税金関係の支出があります。

その他、物件所有時に必要となる維持管理費など、部屋を貸すためのリフォーム費用が捻出できなければ、入居者に部屋を貸すことができず、借り入れ返済の原資となる家賃収入が減ってしまいます。

これらの費用を空室や家賃の下落が発生しても、ある程度までなら支出できるという基準の目安が返済比率です。

 

不動産投資で重要な「収支計画書」4つのチェックポイントとは

 

返済比率は「50%以下」が良い理由

返済比率は何%が良いのでしょうか?

初めて不動産投資を行うならば、返済比率は50%以下を目安にしましょう。

毎月の満室時家賃収入が100万円の物件購入をした場合、借り入れ返済は毎月50万円以下にするという事です。

仮に、返済比率50%であれば、固定資産税や建物管理費などの賃貸経営に必要な諸経費が収入に対して20%、空室率が10%発生していても、20%相当の収入が残ります。

返済比較表

つまり、

満室時の家賃収入が100万円に対して空室率10%とすると、90万円の家賃が収入です。

 

家賃収入90万円(空室率10%)- 返済額50万円(返済比率50%)- 固定資産税や維持管理費20万円 (20%)= 20万円(20%)

 

の収入が残るという事です。

万が一、空室率が20%になっても手残りは10%相当ありますので、借入返済は可能です。このような目安の基準を持って不動産投資をすれは、破綻リスクを大きく低減できるのです。

逆に言えば、この基準以上の返済比率であれば、借り入れ返済ができず、破綻をする可能性が高くなります。とは言っても、物件の価値や購入される方の与信などの状況により60%でも問題ないケースも考えられます。

例えば、すでに十分な金融資産や収入を多く生み出している方は、金利の返済額を抑えるために、あえて短期間で融資を組むかもしれません。

不動産価値の下がらない、上がる見込みのある物件については将来価値を加味するかもしれません。

金融機関の与信が高い方は、低金利での資金調達メリットを優先し、返済比率が高くなっても可能な限り融資を受けて物件を購入するという考えや選択肢もあります。

このように、目安をどこにするかは各々の資産背景や考え方にもよるので、すべてが悪いという事ではありません。

ただし、初めて不動産投資をするならば、50%以下の返済比率にできる物件を選び、不動産投資の失敗リスクを低減すべきなのです。

 

返済比率を50%以下にする方法

ベースとなる物件価格と満室時の家賃収入に対して、表面利回りが計算されます。しかし、単純に表面利回りだけでは、借り入れをした場合の返済が加味されていません。よって、その物件を購入して良いのかどうか判断できないのです。

そのためのチェックポイントが返済比率です。返済比率に対して一番影響を及ぼすのが借り入れ条件です。特に、返済期間や金利により変動します。

 

返済比率の比較とシミュレーション

同じ物件でも融資条件が異なれば、返済比率も異なります。

物件価格5,000万円 表面利回り7% の場合、返済期間、金利、自己資金の違いよって異なる返済比率をシミュレーションは以下の通りとなります。

 

A.返済期間20年と35年の場合の比較

返済期間が長ければ返済比率は低くなり、返済期間が短ければ返済比率は高くなります。

項目 返済期間

20年

返済期間

35年

物件価格 5,000万円 5,000万円
自己資金 500万円 500万円
借入金額 4,500万円 4,500万円
表面利回り 7% 7%
返済期間 20年 35年
返済金利 1.5% 1.5%
年間家賃収入 350万円 350万円
年間ローン返済 261万円 165万円
返済比率 74% 47%
差し引き 89万円 185万円

 

B.金利が2.5%と1.5%の場合の比較

金利が低ければ返済比率は低くなり、金利が高ければ返済比率は高くなります。

項目 金利2.5% 金利1.5%
物件価格 5,000万円 5,000万円
自己資金 500万円 500万円
借入金額 4,500万円 4,500万円
表面利回り 7% 7%
返済期間 35年 35年
返済金利 2.5% 1.5%
年間家賃収入 350万円 350万円
年間ローン返済 193万円 165万円
返済比率 55% 47%
差し引き 157万円 185万円

 

C.自己資金500万円と1,000万円の場合の比較

自己資金が多ければ返済比率は低くなり、自己資金が少なければ返済比率は高くなります。

項目 自己資金

500万円

自己資金

1,000万円

物件価格 5,000万円 5,000万円
自己資金 500万円 1,000万円
借入金額 4,500万円 4,000万円
表面利回り 7% 7%
返済期間 35年 35年
返済金利 2.5% 2.5%
年間家賃収入 350万円 350万円
年間ローン返済 193万円 172万円
返済比率 55% 47%
差し引き 157万円 178万円

 

返済比率を下げる3つのポイント

返済期間を長く設定する

金利を下げる

自己資金を多めに投じる

 

返済比率が高い場合のリスク検証

次に、返済比率が高いと破綻しやすい可能性を、中古物件と新築物件を例にとって比較します。

融資期間は法定耐用年数、物件の品質性能、構造ににより異なりますが、一般的には新築のほうが融資期間が長く受けることができます。

 

・ 物件A(中古物件):価格10,000万円 利回り10%。
・ 物件B(新築物件):価格5,000万円 利回り7%。

 

という2つの物件があったとすると、

物件Aは中古物件のため表面利回りは良いのですが、借り入れの条件として返済期間が15年になってしまいました。

物件Bは新築物件で表面利回りが低いのですが、返済期間が35年の融資が可能となりました。

両方とも1.5%の金利となりました。

自己資金は500万円を予定しています。

さて、どちらを購入しますか?

比較してみます。

返済比較_物件
比較すると、物件Aの方が返済比率は71%なのですが、返済後収入は292万円となります。

一方で、物件Bは返済比率が47%なのですが、返済後収入は185万円となります。

よって、同じ自己資金500万円で買えるならば、物件Aの方がメリットが大きいように思われますが、本当でしょうか?

 

次に、上記の同じ物件で同じ借り入れ条件に、空室率を30%設定してみました。

すると、

返済比較_物件空室率追加

物件Aはマイナス8万円、物件Bはプラス80万円となります。

 

同様に、返済金利3%、空室率15%、家賃下落率10% となった場合も設定してみました。

返済比較_物件条件追加

物件Aはマイナス22万円、物件Bはプラス60万円となります。

以上によると、物件Bの方がリスクを許容できると言えます。

 

実際には、維持管理費・修繕費・固定資産税などの経費も必要となりますので、もっと厳しい結果となります。

ただし、空室率や家賃下落率は物件ごとに異なりますので、一律ではありません。

物件Aの方が築年数は古いのですが、家賃の下落率は低く、空室も出にくいという場合もあります。実際には、立地を含めた物件そのものの価値や賃貸経営などにより異なります。

すでに不動産投資で資産形成されている方や与信の高い方ならば、Aの選択肢もあり得ます。節税対策などの別の目的も考えられるためです。

また、物件選びのノウハウも備わっているため、空室率や家賃下落率も加味した現実に近い条件で返済比率を検討できるでしょう。

しかし、初めて不動産投資を行う方であれば、あれこれと難しいことを考えるよりは、物件取得のための条件のハードルを少し上げておくことで、不動産投資の失敗リスクを低減できるのです。

つまり、返済比率を50%以下にしておくことがベストです。

 

不動産投資の指標「イールドギャップ」とは|正しい活用方法を解説

 

返済比率を確認すれば、フルローンも怖くない?

不動産投資を始める時は、一般的に金融機関からの融資を利用します。

不動産価格が高騰している市況では、築浅・好立地でフルローンが利用できる物件は存在しませんが、時代によってはフルローンで購入できる可能性もあります。

その場合、フルローンであっても返済比率さえ低ければ、リスクは低減できるのです。

ある意味、返済比率の基準を満たせば、借り入れの額が増えても安定をして不動産投資をする事ができるという事です。

借り入れとは、額ではなく質で判断することが大切です。

つまり、確実に返済できる範囲であることが重要なのです。

返済が困難な借り入れは、少額でもすべきではないのです。

 

返済比率を下げる方法

もっと安全にという事であれば、家賃収入に対して40%以下を基準にという事も考えられます。

この水準を満たせば、多くの不動産投資を行って借り入れ額が大きくなっても、資金ショートを起こすリスクは大きく低減できています。

そして、借り入れ返済後の収入も十分に確保できます。

ただし、返済比率40%を目指すならば、購入できる物件が相当限られたり、自己資金を多く確保したりする必要もあります。

返済比率の目安を下げれば安全性は高まるのですが、物件を手に入れるハードルが上がります。

不動産投資を実現するのであれば、ご自身が許容できるリスクの範囲での返済比率を考えておく必要があります。

ある程度の目線で物件購入し、繰り上げ返済をして返済比率を高めていく方法もあります。

例えば、新築物件ならば数年間は修繕費用の発生もなく、空室や家賃下落リスクも低くなります。

よって、購入時の返済比率が高くても、当初の収入を繰り上げ返済に活用しやすく、購入後に返済比率を高めやすいと言えます。

 

知らないと損!不動産投資の融資(ローン)借り換えメリット・デメリットは?

 

まとめ

借り入れ返済ができなくなる原因は、収入より返済が多くなる「資金ショート」が発生することです。

一方で、不動産投資とは株式や投資信託のように投資した額がゼロになることもありません。

少なくとも土地という資産が残ります。

そういった意味でも借り入れ返済を確実に行えば、大きくリスクを低減でき、損することは少ないのです。

その目安として返済比率があるのです。

そもそも、返済比率が高ければ、収支計画上はマイナスになるリスクが高くなります。

高額所得者や不動産投資経験のある方で、節税目的や資産価値に対しての不動産投資など、ある程度リスクを許容しながら不動産事業を行う展開も考えられます。

しかし、初めて不動産投資を行うのであれば、返済比率50%以下にすべきです。

自己資金とのバランスで返済比率が50%以下となる物件規模を選びましょう。

例えば、10戸の新築アパートでは返済比率が50%以下になる自己資金が確保できないのであれば、8戸や6戸の物件規模にすることで、同じ自己資金額で返済比率を50%以下にすることができます。

初めての不動産投資ならば確実性を重視し、無理のない範囲でスタートしましょう。

 

株式会社湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムでは、お客様の財務状況をしっかり見つめながら、新築物件を販売するだけではなく、中古収益不動産の活用、資産再生、不動産小口化商品を使ったポートフォリオ構築、資産組換え、出口戦略の立案をはじめ、湘南エリアの不動産市況や活用例を交えながらご説明させていただくオンラインでの個別相談やセミナーを開催していますので、是非ご相談ください。