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不動産投資「レントロール」を見極める6つのチェックポイント

不動産投資 レントロール

不動産投資を行う際に必ず確認していただきたいものの一つに「レントロール」というものがあります。
レントロールをきちんと見分け判断できるようになれば、問題のある「ダメ物件」を避けられる可能性が高まります。では、一体どのような情報をを確認すれば良いのでしょうか。

今回は、そのレントロールに記載されている内容から読み取れる6つのチェックポイントをご紹介します。

レントロールとは?

レントロールとは、アパート・マンション各部屋の契約者名(入居者)・家賃・共益費・敷金・契約期間などの賃貸状況が一覧となって確認できる資料です。

満室物件でも、実際にどのような賃貸条件で入居者が入っているのかを確認することは、非常に大切なことです。興味がある物件ならば「レントロールを下さい」と求めれば、守秘義務契約を締結すれば開示してくれますので、必ず確認するようにしましょう。

このレントロールをもとにチェックすべき主な事項をまとめてみました。

 

家賃設定のばらつきをチェック!

物件により、間取り・部屋の広さ・階数などが同じでも、家賃設定に差がある場合があります。もし、高い家賃設定で入居している部屋があるならば、賃貸借契約日や入居期間を確認して下さい。

高い家賃設定の方は、新築当初から当時の家賃のままで入居している方の可能性があり、付近相場よりも高い家賃のままになっているのです。

特に新しく入居されている方の家賃と著しく異なる場合は、新たに入居者募集するときは、現在の相場家賃で募集しなければ入居者が決まらないと推測することができます。

つまり、新築当初の高い家賃設定の入居者が退去してしまったら、実際には家賃を下げて募集しなければならないため、購入当初よりも家賃収入が少なくなってしまいます。

家賃収入が下がってしまうという事は、当然利回りも下がります。物件購入する際の利回りは、現在入居されている家賃設定ではなく、新しく入居されている方の家賃設定や、最近の相場家賃による満室時の年間家賃収入で利回り計算しなおしてみると、将来の本当の物件利回りが確認できるのです。

例えば、ほぼ同じ立地・間取り・面積の物件の場合、次の条件で比較してみます。

 

≪物件A≫

  • 物件価格:3200万円
  • 年間収入:288万円 (収入内訳:7万円×2戸および5万円×2戸の月額家賃)
  • 表面利回り:9%

 

≪物件B≫

  • 物件価格:3000万円
  • 年間収入:240万円(収入内訳:5万円×4戸の月額家賃)
  • 表面利回り:8%

 

比較すると、表面利回りは物件Aの方が高くて良さそうです。
しかし、物件Aの月額家賃7万円の部屋が2つあることに注目してください。同じような立地・間取り・面積であれば、相場家賃は5万円であると想定できます。

そこで、物件Aの7万円を5万円に置き換えて計算してみると・・・
年間収入288万円 (収入内訳:万円×2戸および5万円×2戸の月額家賃)だったものが、年間収入240万円になります。

物件価格が3200万円だったので、表面利回りは、240万円÷3200万円=7.5%となります。

表面利回り9%に見えていた物件が実際には7.5%となりますので、物件Aよりも物件Bの方がお得になる可能性があるのです。

更に、長く入居していただいた方の部屋は、退去後の部屋の修繕費(原状回復費用など)が一度に多く必要になる可能性がありますので、考慮が必要です。

 

預り敷金の額をチェック!

家賃と同じように、預り敷金の額が多い方と、少ない方がいる場合には注意が必要です。特に新しい入居者の預かり敷金が少ない場合、入居時の初期費用を低減するサービスを実施した可能性があります。

つまり、入居募集に苦戦したため、入居者からの敷金・礼金・仲介手数料などをサービスする代わりに、家賃設定を維持して入居していただいている可能性があるのです。この場合、現状の家賃設定が高く、将来的には家賃を下げなければならない可能性があるという事を考慮しておくべきです。

更に、入居者から費用が受領できない代わりに、物件所有オーナーからAD(広告料)や手数料などの諸経費を多く支払って家賃水準を高く維持した可能性があります。売主としては、表面利回りを高く見せるとともに売却価格を高くできるため、このような方法で家賃設定を高くして入居させている可能性も秘めているのです。

この家賃設定を維持しようとすると、退去があった都度、募集に関する諸経費が多く必要となるため、決して安定経営とは言いにくい状況になります。結果、家賃を下げて募集しなければならないので、購入時の利回りが維持できなくなるのです。

一方で、新しい入居者でも預かり敷金が2~3カ月になっている場合には、今後の募集に関するサービスとして敷金などを減らして入居時の初期コストを下げるサービスができる余地があるという事です。

 

入居者の属性をチェック!

退去時のリスクを考慮すると、属性がバラバラならば良いことです。
しかし、中には法人に一括貸ししているケースもあります。この場合、一斉に退去され全戸空室になるリスクが潜んでいます。

その他、学生ニーズに依存した物件の場合、入学シーズンを外した退去が発生した場合、そのシーズンが訪れるまで空室の可能性があります。学生エリアでも社会人が入居できる環境があるかどうかチェックが必要です。

 

契約開始日(入居日)をチェック!

家賃が同じ水準で契約日(入居日)がある程度バラバラになっている物件は、入居者募集がしやすいと読み取れます。一般的に繁忙期と言われている1~3月などのシーズン以外で退去があっても入居者を決めることができる物件であるということです。入居時期がバラバラならば、一度に多くの退去者が重なる可能性も低いと推測できます。

新築間もない物件では契約日(入居日)は、ほぼ同じ時期になりますが、ある程度の築年数が経っている物件は、バラバラになるのが一般的です。

しかし、契約日(入居日)がある一定の時期に重なっているという場合には注意が必要です。
例えば、築年数の経過している物件にもかかわらず、契約日(入居日)が3月に集中している場合、この物件は3月にしか入居者が決まらないのかもしれないという事です。

仮に8月に退去が発生したとしても、翌年の3月までは空室である可能性があるのです。このような物件の場合、過去の物件入居状況を確認して下さい。

空室期間が長く、売りに出ているタイミングだけ満室になっている物件は、年間の空室率が高い物件になるので、開示されている利回りを割り引いて考えなければなりません。

一方で、新築にもかかわらず契約日(入居日)がかなり長期間にわたってバラバラになっているという事は、完成時に満室ではなかったと推測できます。建物完成時期の問題も考えられますが、満室になるまでに時間が必要だったという事です。つまり、新築でも人気がない物件という可能性があります。
この場合にも、付近の家賃相場とよく比較して確認して下さい。

大学生ばかりなら、学年がずれていることも理想です。なぜなら、学年が同じ場合は卒業とともに全員退去される可能性が高くなるからです。

 

家賃滞納の有無をチェック!

入居者が住んでいるにも関わらず、家賃滞納が発生している場合があります。満室なのですが、家賃収入が入ってこないことになります。新規に募集することができず、ある意味、空室よりも質が悪い状況と言えます。よって、滞納状況を確認することも非常に重要です。

もし、家賃滞納のある物件を購入する場合には、後々の面倒を考え、滞納分の家賃を精算しておいてもらうか、滞納者に退去してもらってから物件を購入することが望ましいです。

更に、家賃の滞納はいつ発生するかコントロールできるものではないので、特に初めて不動産投資を行うサラリーマンの方々は、物件購入の際には管理会社による「家賃滞納保証」というサービスが利用できる物件を選択することがベストです。

一般的な管理費でこのサービスを利用できる管理会社は多く存在するので、物件を購入する際には絶対に必要なサービスと考えておいて下さい。

 

想定家賃は適正?物件価格を高くするための仕掛けを見抜く!

物件が売りに出る直前の新規入居者が多い物件や、修繕やリノベーションを行っていないにも関わらず、直前に入居された方の家賃が高い物件は、物件を高く売るために何らかの仕掛けがある可能性があります。

例えば、当初数カ月はフリーレントという家賃をもらわない条件により、高い家賃で入居させているものもあるようです。

また、知人や親せき、業者ならば社員などを無理矢理入居させているケースもあるようです。この場合、物件購入後すぐに滞納が発生したり、一斉に退去したりするケースもあるようです。

このような物件は、当然その後の入居者募集に苦労するばかりでなく、滞納者続出の場合には、募集するにも滞納者が住んでしまっていて募集できませんので、非常に苦労することになります。

まさに不動産投資の失敗例となりますので、このような方法には引っかからないようにしましょう。

 

レアケース

付近相場よりも高い家賃設定なのですが、多くの方が長期入居であったり、新しい方も高い家賃のままで満室になっている物件もあります。このような物件は、非常に人気が高く価値ある物件と言えます。

入居率や収益性からみても、優良な物件なので売却されるケースは少ないのですが、もしそのような物件に出会えたら、それは掘り出し物です。

 

まとめ

物件購入を検討する際には物件情報として開示されている表面的な利回りだけでなく、将来的にも購入時の利回りを安定的に維持できるかどうか、レントロールで推測できます。

但し、近隣トラブルや、問題を起こす入居者などの詳細は情報は、レントロールには掲載されておらず、注意が必要です。

優良な業者や担当者からのお勧め物件であれば、良質ではない物件を紹介されることは少ないと思いますが、不動産投資のノウハウとして物件の良し悪しを見極めるためにも、しっかりとレントロールを確認するようにしましょう。