融資条件が厳格化しても、不動産投資を実現させるたった1つの方法とは?
不動産投資を始めるときに融資を受けられる方も多いと思います。
しかし金融引き締めにより、株式や不動産などリスク資産の価格上昇が続き、融資を受けることが難しくなっています。
新型コロナウィルスの影響で経済界が大きなダメージを受けている中、不況に強いと言われる不動産投資に注目が集まっています。一方で、不動産は高額のため、コロナ禍の現在は不動産に対する融資審査も厳しくなっており、サラリーマンがはじめて不動産投資をするには資金調達ができないという問題が起きています。
そこで今回の記事では、不動産投資のメリットや特徴のほか、融資を受けずにできる不動産投資(不動産小口化商品)について詳しくご紹介します。まとまった資金を用意するのが難しい方や、少額でできる不動産投資に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
不動産投資の融資審査が厳格化された理由
銀行の不動産投資に対する厳格化は、かぼちゃの馬車や、スルガ銀行の不正問題から継続しています。さらに、長期化する新型コロナウイルスの影響により、金融機関では従業員不足によりローン審査などの処理能力が低下し、不動産投資のための融資審査まで厳しくなっているのが現状です。
不動産投資に対する融資が厳格になった理由は他にもあります。長引く新型コロナウィルスによる影響を受けて、社会全体が売上を落とすなど大きな影響を受けているので、不動産投資を検討している人が勤めている会社に対する信用評価についても、今後の経営状態によっては下がる可能性があります。さらには、不動産への融資を申し込む人の給与も引き下げられる可能性もあります。
過去は繰り返されており、1990年代のバブル崩壊時も、2008年のリーマンショックを発端とした世界的な金融危機の際にも、同様に金融機関は中小企業に優先して融資を行っています。融資条件や経済優先度により、財務状況だけでは推し量ることが出来ないのです。
利回り以外の不動産投資による2つのメリット
不動産は価格が高いため、平均的な給与水準の方が現金で一括購入するのは難しい商品です。そのため、金融機関から融資を受けて不動産を取得し、家賃収入を得ながら返済するのが一般的です。
では、不動産投資を行うことで具体的にどのようなメリットが受けられるのか解説します。
減価償却費を活用して節税に有効
不動産投資の借入れ(ローン支払い)を行った場合、金利部分は経費として計上することができます。さらに不動産の建物部分に関する減価償却費(=時間の経過による価値減少分を費用に換算したもの)も同様に経費となります。不動産投資で得られる家賃収入よりもこれらの経費が上回ることになれば、マイナス所得として確定申告で給与所得などと合算できるので、いわゆる節税につながります。
評価額の圧縮効果により相続税対策に活用
不動産投資は相続税対策にもなります。不動産を相続する際の評価額は現金よりも低いので、例えば賃貸物件の場合、借家権割合が適用されるため建物の評価額は約50%減額となります。土地も貸家建付地として評価額は20%ほど減少します。
このように現金で相続するよりも建物で相続したほうが、相続資産の評価額がずっと低くなるので相続税を抑えることができます。そのため、不動産投資は相続税対策としても人気があります。
少ない資金で融資を受けずに不動産投資を実現!「不動産小口化商品」の仕組み
融資を受けることで得られるメリットがありますが、一方でリスクを伴います。
そこで、不動産購入のための融資を受けるのが難しい場合には、融資を受けずに不動産投資をする方法としておすすめなのが「不動産小口化商品」です。
不動産小口化商品とは、投資対象となる不動産を小口化して販売する商品です。通常のアパートやマンションのように所有権を持つことが可能で、運用により得られた家賃収入や売却益は購入した口数に応じて分配されます。
数万円から100万円程度からはじめられるので、融資を受けることなく購入できるのが魅力の一つであり、金融商品のような不動産投資と言えます。
では、どのようなメリットがあるのでしょうか。
任意組合型は節税対策になる
不動産小口化商品は大きく分けて「匿名組合型」と「任意組合型」の2種類があります。
匿名組合型は投資家が不動産運用をする事業者に出資するタイプで、物件の所有権は持たずに利益を分配金として受け取ります。1口わずか数万円から購入が可能で、物件の運用期間が数カ月からと比較的短いのが特徴です。
一方の任意組合型は、出資した投資家自身が共同事業者となります。そのため出資比率(購入口数)に応じて所有権も生じます。通常の不動産投資にように所有権があるため、相続税対策になる上、減価償却費として計上することも可能です。
不動産小口化商品はリスクを分散できる
不動産は現物資産として不況にも強いのがメリットですが、例えば新型コロナウィルスの影響を受けて、店舗がテナントとして入る施設や会社がテナントとなるオフィスをはじめ、ホテルなどは収益性が低下する可能性があります。緊急事態宣言を受けて休業を続けた結果、収益が著しく低下した企業の経営状態が悪化しているのが主な理由です。
そのため不動産投資では物件の種類やエリアが異なるものを複数購入する「リスク分散」を図ることも大切です。しかし、個人投資家が現物不動産を複数購入するのは現実的に難しいでしょう。
一方、不動産小口化商品であれば少額から購入できるので、数百万円程度の資金が用意できれば、不動産の種類や立地を変えて複数所有することも可能です。
さらに不動産小口化商品は、入居者の家賃滞納等によりローン返済を自腹で行うといったリスクもありません。不動産投資を単なる資産運用ではなく、節税目的で検討する人にとっては不動産小口化商品を購入するだけで目的を果たせるのが大きな魅力です。
不動産小口化商品の注意点
融資を受けることなく少額の資金で購入できる不動産小口化商品ですが、注意点もあります。
現物不動産よりも利回りは低くなる
自分でアパートやマンションを購入し運用することに対して、不動産小口化商品の場合は利回りがどうしても低くなります。これは賃貸運用する会社に手数料を支払うためです。
現物資産として不動産を運用する場合も、その管理を行う不動産会社に手数料を支払いますが、不動産小口化商品を運用する会社は、その管理費用のほかに収益源となる手数料を差し引いて投資家に配当を支払います。
リスクを分散できるメリットがある反面、収益性に関してはある程度の妥協も必要となるでしょう。
流動性が低い
現物不動産の流動性も高いものではありませんが、不動産小口化商品も現金化したい時にすぐに売却できるわけではない点に注意しましょう。
例えば、不動産投資信託(REIT)などは上場されているものであれば好きな時にいつでも売却できます。しかし不動産小口化商品はそのようなマーケットが存在しないので、転売先を探すのに苦労する場合もあります。
不動産を運用する事業者が物件を売却し、運用が終了すれば購入した不動産小口化商品は現金に替えることになります。それまでの間は自由に現金化するのは難しいと考えておきましょう。
不動産小口化投資を始める3ステップ
では、実際に不動産小口化商品への投資を行うには、どうすれば良いでしょうか。初心者の方にも分かりやすく解説します。
不動産小口化商品を扱う事業者・商品を探す
まずは不動産小口化商品を扱う事業者を探しましょう。不動産小口化商品を運用する事業者はそう多くないので、「不動産小口化商品 事業者」と検索するだけで簡単に探すことができます。
資料請求や説明会などで情報収集する
不動産小口化商品を扱う事業者を見つけたら、次は運用する商品を選びます。投資家を募っている商品には様々な投資情報が記載されているので、しっかりチェックし、どの商品を購入するのかを検討することが大切です。商品概要を確認し、自分に合った商品かを確認しましょう。
不動産小口化商品の商品内容には、例えば次のような情報が記載されています。
・契約形態(匿名組合型か任意組合型かを選びます)
・1口の金額
・想定利回り(あくまでも予定される利回りです)
・想定運用期間(早期に現金化したい場合には1年など短期のものを選びます)
・募集開始日(人気の高い商品は早期に完売します)
・分配回数(年に分配金が支払われる回数です)
・対象物件(アパートかマンションか、あるいはオフィスかなど)
このほか、不動産小口化商品を取り扱っている企業では対象物件に関して詳しく紹介している場合もあります。このように商品内容をよくチェックし、ご自身の投資目的と照らし合わせたうえで、どの商品を何口購入するのかを検討するようにしましょう。
申込みを行い、契約を締結、入金して運用開始
申込みから契約までのおおまかな流れは以下になります。
1.不動産小口化商品の出資申し込み
2.契約締結・重要事項説明
3.出資金の振り込み(購入完了)
4.契約成立後に、運用開始(不動産投資のスタート)
まとめ
現物不動産を購入するためには一般的に金融機関の融資を必要とします。しかし新型コロナウィルスの影響により、サラリーマンがはじめて不動産投資を行うには融資が厳しい状況となっています。
そこで融資を必要とせず少額から購入できる不動産小口化商品を検討してみてはいかがでしょうか。メリットや注意点などは様々ですが、やはり現物資産である不動産を保有することには強みがあります。
また、融資環境が落ち着いたタイミングで不動産小口化商品を売却して自己資金に充当し、1棟アパートなどにステップアップすることも考えられます。
現物不動産投資の資金調達で悩んでいる方は、不動産小口化商品を候補の一つとして考えてみてください。