不動産投資詐欺に遭わないために知っておくべき手口と、不動産会社の見分け方
✅将来の収入不安
✅資産形成の必要性
✅インフレによる相次ぐ物価の値上がり
✅高齢化社会による社会不安
など、コロナ禍以降不動産投資が一層注目されている一方で、不動産投資に関する詐欺事件が報道されるケースも少なくありません。
不動産投資は大きな金額が動く分、必要な情報量も多く、契約に関しては専門知識や注意力が必要になります。
詐欺師はこうした点につけこみ、詐欺行為を行っているので、詐欺の手口や回避方法について事前に学んでおくことが大切です。
どのような点に注意すればよいのか、わかりやすくお伝えします。
不動産投資詐欺の手口と被害事例
不動産投資に限った話ではないですが、一般的に詐欺は情報格差を利用するケースが多く見られます。特に不動産投資詐欺では不動産に関する情報や知識の差につけこみ、「高利回り」「家賃保証」「将来の確実な値上がり」といった甘い言葉で投資話を持ちかけてきます。
このような詐欺では、手付金の支払いが終わると連絡が取れなくなるケースが多く、実物を確認させないまま書面や情報だけで話を進め、魅力に乏しい物件を不当な高値で売りつけるケースもあります。
また、実物(物件)を確認したからといって完全に信頼できるわけでもありません。詐欺グループのメンバーを住ませて「満室の優良物件」を装い、契約後に次々と退室していくというケースもあります。
事例1・サブリース契約や建築違反物件に関するトラブル
賃貸アパート大手のレオパレスにおける諸事件は不動産投資への信頼を大きく失墜させました。家賃を保証するサブリース契約の一方的な減額変更や不払い、施工物件において次々と建築違反が発覚し、社会問題となりました。
不動産投資では一方的な契約内容の変更や虚偽の説明が行われる場合もあり、そのリスクや損失はすべてオーナー負担となる可能性があることに注意しなくてはなりません。
また、将来予定されている建築関連法令の変更により違反物件となる可能性があるにも関わらず、投資家に知らせず契約させられる事例もあります。建築に関する法律に関して日頃から関心を持つとともに、契約する際には契約相手や該当物件を丁寧にチェックすることも重要です。
事例2・海外不動産投資における詐欺
国内不動産市場の停滞を背景に、個人や法人を問わず注目されているのが海外不動産投資です。日本国内よりもキャピタルゲイン(売却益)を期待できることから、人気の投資ジャンルの一つとなっていますが、情報が少ないことを逆手に取り、投資詐欺を行う悪質な業者やグループも存在します。「投資した物件が建たない」「実際見に行ったら違う物件だった」「現地で正しく登記が行われていない」「現地の代理人が無資格者だった」、などさまざまな詐欺事例があります。
海外では常識も取引ルールも日本とは異なります。そのため、自分の常識や知識だけで取引に臨むと騙されることもあります。海外不動産投資では、実績があり、現地情報に強い信頼できる不動産会社と協力して行うのが一般的です。信頼できる不動産会社の選び方については後述します。
狙われやすい人の3つの特徴
不動産投資詐欺のターゲットにされやすい方には次のような特徴があります。
①高属性の職業に就いている人
②貯蓄にゆとりのある高齢者
③ミレニアル世代
それぞれ見ていきましょう。
高属性の職業に就いている人
医師や公務員、企業の役員などは不動産業界では「高属性」と呼ばれます。高額融資ができる人でなければ高額物件の購入は難しいため、社会的評価の高い職業と収入を備えている方は、金融機関における融資も受けやすいという特徴もあります。
高収入であれば節税対策として投資先を探している方も多く、詐欺師たちはこうした点にもつけこみます。高属性の方々は警戒心の強い方も多いですが、詐欺の手口は年々巧妙化しているので、注意が必要です。
貯蓄にゆとりのある高齢者
貯蓄にゆとりのある高齢者は、不動産投資に限らずさまざまな詐欺の標的になりやすいと言えます。自身の健康や将来、また子孫への不安から、安定収入や資産を求める心理に詐欺師はつけこみ、不当な条件で不動産を販売したり、不動産を騙し取ったりするケースがあります。
ミレニアル世代
ミレニアル世代とは、1980年〜1995年前後に生まれた世代のことをいいます。この世代は長引く不況の中で成長してきたために将来への不安が強いといった特徴を持つほか、デジタルネイティブな世代で情報収集能力が高い反面、現物での確認を怠る傾向があります。詐欺師たちにとって、つけこみやすい性質が多い世代として注意が必要です。
不動産投資詐欺を回避する3つの方法
不動産投資について「節税になる」「年金対策になる」「生命保険の代わりになる」などといった誘い文句にも時には注意が必要です。実際、不動産投資は節税対策になったり、老後の生活資金にもなりえますが、誰でも必ずそうなるわけではありません。
不動産投資詐欺に遭わないために、以下の3つの方法を覚えておきましょう。
不動産投資の仕組みを学習し、知識を身に付ける
不動産投資はただの投資ではなく、その後はオーナーとして不動産ビジネスを行っていく必要があります。そのため、不動産ビジネスについてもしっかり学ぶことが必要です。不動産ビジネスについて知識がついてくると、物件選びの視点や契約上のリスク、不動産価値の変動要因などがわかってきます。こうした知識は事業の成功だけでなく、詐欺から自身を守るためにも重要です。
書類だけで判断するのではなく自分の目で確認する
不動産の売買は大きな金額が動くため、正しい取引が行われるように契約時にはさまざまな手続きが必要です。書類の確認や手続きを人任せにせず、確認すべき点は自分の目でしっかり確認することは、不動産投資詐欺の防止に効果があります。
例えば、取引相手の身元確認や、レントロール(賃借状況の一覧表)の内容、登記関係・融資関係の書類や手続きは特にしっかり確認を行いましょう。また、売買する不動産や付近の立地環境などは自分の目で必ず確認することが重要です。
詐欺被害に遭った場合の対処方法を把握しておく
不動産投資詐欺は巧妙化しており、どんなに対策をしていても被害に遭う可能性は捨てられません。いざという時のための対処法も事前に学んでおくことも大切です。
トラブル時は弁護士や司法書士など法律に強い専門家への相談ができれば心強く、裁判によって騙し取られたお金が返ってくる可能性もあります。
また、投資勧誘トラブルの多くは消費者庁で相談が可能です。宅地建物取引業では無理に契約を迫る行為は禁止されており、強制的な契約が行われた場合は、免許行政庁や宅建協会に相談することで注意や免許取消といった対応が行われることもあります。
信頼できる不動産投資会社の見分け方
不動産投資の成功のためには、専門知識を持つプロの協力が欠かせません。詐欺を避けるためにも次のような視点をもって、不動産投資会社を見分けるようにしましょう。
①メリットとデメリットの両方を説明してくれる
②シミュレーションを提供してくれる
③無理に契約を急かしたり金銭を要求したりしない
メリットとデメリットの両方を説明してくれる
信頼できる不動産会社は、投資家との関係を築くためにメリットだけでなくデメリットについても丁寧に説明してくれます。
悪質な不動産会社では、投資意欲が高まる方向にばかり誘導し、デメリットについては明言を避ける傾向があります。その場合、「事前の話と違う」といった詐欺にもなる可能性があるため、きちんと説明をしてくれる業者を選びましょう。不動産投資では確実に儲かるという物件はないので、「絶対」や「確実」を強調する業者には注意が必要です。
収支シミュレーションを丁寧に作成してくれる
優良な不動産投資会社ほど、不動産投資のシミュレーションをしっかり行うことができます。顧客のさまざま状況や、金利や入居率といった各種の変動要因を考慮し、最適な投資方法を考えるためのノウハウが蓄積されているからです。
逆にシミュレーションの作成に時間がかかったり、きちんとした書式がなく、根拠の乏しい数字で説明する企業には注意しなければなりません。
しつこい勧誘や契約や入金を急がせる業者には注意
悪徳な不動産業者に見られるのは、契約や入金を急がせるという行為です。「他にも希望者がいる」のは良い物件なら当たり前ですし、必ずしも先着順で取引相手が決まるのでもありませんので、急かすような営業トークには注意が必要です。
また、手続きの順番を無視して先に手付金を払わせるようなケースにも気をつけましょう。あくまで必要な情報を提供し、最善と思われるプランを提案して、あとは投資家の判断に委ねるのが優良な不動産投資会社のスタンスです。
まとめ
不動産投資では、悪質な業者や詐欺師による詐欺のリスクに注意が必要です。詐欺被害に遭わないためには、詐欺についての情報や、不動産取引についての正しい知識、そして信頼できる不動産業者とのパートナーシップが大切です。詐欺から自身を守るための土台をしっかり作って、そのあとに不動産投資しましょう。
また、不動産投資に関する知識に不安がある場合は、法テラスや弁護士といった第三者に依頼することも検討しましょう。
コストはその分かかりますが、大きな投資という意味では、「安心」を手に入れられます。